209 / 281
ファイルⅫ:見えない爆弾
#9
しおりを挟む
「別に、クドーさんを卑下したわけでは…。
」と、亮太さんが、言い訳をし始めたタイミングで、柏木さんのスマホが鳴った。そうやら、メッセージアプリの通知音の様だ。
「おしゃべりは、そこまでにして、さっそく動きましょう。」
京子さんが、そう言い、柏木さんに、メッセージの内容を、見る様に、指示した。
『今送ったのは、“多分”爆弾か、それに類似した装置が、設置されていると、思われる場所。カッシーとクドーは、刑事さんたち、総動員で、それを探し出して。発見した場合、速やかに報告よろしく。爆破物処理の人が来るまで、絶対に、人は近づけさせないで。』
天木さんが、詳細を説明している間に、柏木さんは、今のデータを、私と前園警部のスマホに転送させた。データの内容は、このホテルの見取り図と思われる、物に、赤く丸が付いている箇所が、幾つか或る。数にして、大体、20以上は、あるだろう…。
「こんなに、候補が、あるんですか?」
『それくらい、このホテルは、大きいからね。これでも、相当絞った方だよ…。』
新帝都ホテルは、都内でも、最大級の大型ホテルだ。
階層は地上部だけで39階。部屋数は、3000を超え、更には、大広間や宴会場、会議室などといった、部屋も、幾つか存在する。
それほど広くて、大きな施設内から、その様な装置を探すとなると、確かに、骨がおれる。そして、今回のこの事件の情報に関しては、混乱等を、避けるため、一部の人間を除き、警察と、ホームズのメンバーしか知らない。まして、マスコミや、メディアの人間にも、最新の注意を払い、詳細の報告を、行っていない。
だから、公にならずに、隠密に処理するようにと、命令が出ている。
だから、人を増員するにしても、限度がある。あまりにも、大勢で行動すると、今このホテル内に居る、一般人や、報道関係者、政治関係者等に、怪しまれることだろう…。
「どうやって、動きましょうかね…。もう少し、絞れれば、こちらとしても、動きやすいですが…。」
『流石に、これ以上は、私には無理…。図面上じゃ、見えない世界があるから…。』
天木さんが、そう応えた。確かに、図面はあくまでも、標準的なものに過ぎない。ちょっとした、物の位置や、部屋の間取りなんかは、変わっていても、可笑しくはない。
“疑わしきは罰せよ”とは、よく言ったものだ。
「仕方ない…。一つ一つ、虱潰しに、探しますか…。」
「爆弾の形状とかって、凡そ検討は付いているんですか?」
『多分、タイマー式の、“明らかにこれでしょ”っていう感じの物だと思う。』
「よし、じゃ、探しますか。」
こうして、天木たちの、長い一日が、幕を開けた。
」と、亮太さんが、言い訳をし始めたタイミングで、柏木さんのスマホが鳴った。そうやら、メッセージアプリの通知音の様だ。
「おしゃべりは、そこまでにして、さっそく動きましょう。」
京子さんが、そう言い、柏木さんに、メッセージの内容を、見る様に、指示した。
『今送ったのは、“多分”爆弾か、それに類似した装置が、設置されていると、思われる場所。カッシーとクドーは、刑事さんたち、総動員で、それを探し出して。発見した場合、速やかに報告よろしく。爆破物処理の人が来るまで、絶対に、人は近づけさせないで。』
天木さんが、詳細を説明している間に、柏木さんは、今のデータを、私と前園警部のスマホに転送させた。データの内容は、このホテルの見取り図と思われる、物に、赤く丸が付いている箇所が、幾つか或る。数にして、大体、20以上は、あるだろう…。
「こんなに、候補が、あるんですか?」
『それくらい、このホテルは、大きいからね。これでも、相当絞った方だよ…。』
新帝都ホテルは、都内でも、最大級の大型ホテルだ。
階層は地上部だけで39階。部屋数は、3000を超え、更には、大広間や宴会場、会議室などといった、部屋も、幾つか存在する。
それほど広くて、大きな施設内から、その様な装置を探すとなると、確かに、骨がおれる。そして、今回のこの事件の情報に関しては、混乱等を、避けるため、一部の人間を除き、警察と、ホームズのメンバーしか知らない。まして、マスコミや、メディアの人間にも、最新の注意を払い、詳細の報告を、行っていない。
だから、公にならずに、隠密に処理するようにと、命令が出ている。
だから、人を増員するにしても、限度がある。あまりにも、大勢で行動すると、今このホテル内に居る、一般人や、報道関係者、政治関係者等に、怪しまれることだろう…。
「どうやって、動きましょうかね…。もう少し、絞れれば、こちらとしても、動きやすいですが…。」
『流石に、これ以上は、私には無理…。図面上じゃ、見えない世界があるから…。』
天木さんが、そう応えた。確かに、図面はあくまでも、標準的なものに過ぎない。ちょっとした、物の位置や、部屋の間取りなんかは、変わっていても、可笑しくはない。
“疑わしきは罰せよ”とは、よく言ったものだ。
「仕方ない…。一つ一つ、虱潰しに、探しますか…。」
「爆弾の形状とかって、凡そ検討は付いているんですか?」
『多分、タイマー式の、“明らかにこれでしょ”っていう感じの物だと思う。』
「よし、じゃ、探しますか。」
こうして、天木たちの、長い一日が、幕を開けた。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

聖女の如く、永遠に囚われて
white love it
ミステリー
旧貴族、秦野家の令嬢だった幸子は、すでに百歳という年齢だったが、その外見は若き日に絶世の美女と謳われた頃と、少しも変わっていなかった。
彼女はその不老の美しさから、地元の人間達から今も魔女として恐れられながら、同時に敬われてもいた。
ある日、彼女の世話をする少年、遠山和人のもとに、同級生の島津良子が来る。
良子の実家で、不可解な事件が起こり、その真相を幸子に探ってほしいとのことだった。
実は幸子はその不老の美しさのみならず、もう一つの点で地元の人々から恐れられ、敬われていた。
━━彼女はまぎれもなく、名探偵だった。
登場人物
遠山和人…中学三年生。ミステリー小説が好き。
遠山ゆき…中学一年生。和人の妹。
島津良子…中学三年生。和人の同級生。痩せぎみの美少女。
工藤健… 中学三年生。和人の友人にして、作家志望。
伊藤一正…フリーのプログラマー。ある事件の犯人と疑われている。
島津守… 良子の父親。
島津佐奈…良子の母親。
島津孝之…良子の祖父。守の父親。
島津香菜…良子の祖母。守の母親。
進藤凛… 家を改装した喫茶店の女店主。
桂恵… 整形外科医。伊藤一正の同級生。
秦野幸子…絶世の美女にして名探偵。百歳だが、ほとんど老化しておらず、今も若い頃の美しさを保っている。
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
無限の迷路
葉羽
ミステリー
豪華なパーティーが開催された大邸宅で、一人の招待客が密室の中で死亡して発見される。部屋は内側から完全に施錠されており、窓も塞がれている。調査を進める中、次々と現れる証拠品や証言が事件をますます複雑にしていく。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる