207 / 281
ファイルⅫ:見えない爆弾
#7
しおりを挟む
柏木さんの居る、原動機室は、地下の2階から、更に、少しだけ下った位置に、存在していた。
「やぁ。クドーさん。」
彼女は、私の姿を見ると、右手を顔の近くで振り、そう挨拶した。
「“やぁ”って、何でそんなに緊張感が無いんですか?」
「ん~。ノリかな?」
警察になって、数年。色々な事件や、案件を対応してきた。だが、どれも、当然、それなりの緊張感を持って、臨んでいた。ノリで、事件を対応するようなことは、絶対に無かった。ましてや、今回の様な、“人命”が掛かっている様な事件なら、尚更だ。
「流石に、“ノリ”はどうかと、思いますが…。」
「まぁ、ノリは、言いすぎだけど、現状、“油断しろ”って言うのが、難しいでしょ?」
柏木さんが、顎に人差し指を当て、更に、続けた。
「一番、安全な場所に、アマキちゃんが、陣取って、犯人さんが、考えうる、全てのパターンを、模索してるし、一番危険な、
“会場”の方は、ホームズの狂犬二匹が、眼と鼻を光らせてるから、対人なら何とかなる。
ツッチーは、唯一単独で行動して貰って、別角度から、犯人像を算出中です。それだけじゃなくて、”裏”ラストホームズも、今回全員、もれなく参戦してますから、もう、負ける気しません。」
柏木さんがそう言うと、隣で聞いていた、浅野さんも、賛同するように、頷いた。
彼等の実力は、よく知っている。だからこそ、偶に、我々の“味方”で良かったと、思うときが何度かある。
だからこ、怖いのだ。この状況ですら、余裕と取れる、この落ち着きといい、実際、それを説得させる、優秀な、人材の存在。
警察のトップの人たちですら、彼等に依頼するくらいに、我々からは、認知されている。
これが、もし、逆の立場となった場合…。
「クドーさん!」
急に、大声で名前を呼ばれ、身体が反射的に、ビクついてしまった。
「それ以上は、考えないで。」
私の名前を呼んだのは、京子さんだった。
「私たちが、一番よく知っています。警察を敵に回してしまった時のことを…。ですが、安心して下さい。」
イヤホンの奥から、天木さんが、続けた。
『私たちは、クドー…警察は、絶対に裏切らないし、敵には回らない。そう言う、約束だから…。それに、お金貰ってるからね。
“やっぱりごめんなさい。”なんてことはしない。その代わり、ウチの面子、ちょっと癖が強いから、振り回されすぎないように…。』
彼女に続く様に、柏木さんも、“そう言う事”と、相槌を打った。
「やぁ。クドーさん。」
彼女は、私の姿を見ると、右手を顔の近くで振り、そう挨拶した。
「“やぁ”って、何でそんなに緊張感が無いんですか?」
「ん~。ノリかな?」
警察になって、数年。色々な事件や、案件を対応してきた。だが、どれも、当然、それなりの緊張感を持って、臨んでいた。ノリで、事件を対応するようなことは、絶対に無かった。ましてや、今回の様な、“人命”が掛かっている様な事件なら、尚更だ。
「流石に、“ノリ”はどうかと、思いますが…。」
「まぁ、ノリは、言いすぎだけど、現状、“油断しろ”って言うのが、難しいでしょ?」
柏木さんが、顎に人差し指を当て、更に、続けた。
「一番、安全な場所に、アマキちゃんが、陣取って、犯人さんが、考えうる、全てのパターンを、模索してるし、一番危険な、
“会場”の方は、ホームズの狂犬二匹が、眼と鼻を光らせてるから、対人なら何とかなる。
ツッチーは、唯一単独で行動して貰って、別角度から、犯人像を算出中です。それだけじゃなくて、”裏”ラストホームズも、今回全員、もれなく参戦してますから、もう、負ける気しません。」
柏木さんがそう言うと、隣で聞いていた、浅野さんも、賛同するように、頷いた。
彼等の実力は、よく知っている。だからこそ、偶に、我々の“味方”で良かったと、思うときが何度かある。
だからこ、怖いのだ。この状況ですら、余裕と取れる、この落ち着きといい、実際、それを説得させる、優秀な、人材の存在。
警察のトップの人たちですら、彼等に依頼するくらいに、我々からは、認知されている。
これが、もし、逆の立場となった場合…。
「クドーさん!」
急に、大声で名前を呼ばれ、身体が反射的に、ビクついてしまった。
「それ以上は、考えないで。」
私の名前を呼んだのは、京子さんだった。
「私たちが、一番よく知っています。警察を敵に回してしまった時のことを…。ですが、安心して下さい。」
イヤホンの奥から、天木さんが、続けた。
『私たちは、クドー…警察は、絶対に裏切らないし、敵には回らない。そう言う、約束だから…。それに、お金貰ってるからね。
“やっぱりごめんなさい。”なんてことはしない。その代わり、ウチの面子、ちょっと癖が強いから、振り回されすぎないように…。』
彼女に続く様に、柏木さんも、“そう言う事”と、相槌を打った。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
10日間の<死に戻り>
矢作九月
ミステリー
火事で死んだ中年男・田中が地獄で出逢ったのは、死神見習いの少女だった―…田中と少女は、それぞれの思惑を胸に、火事の10日前への〈死に戻り〉に挑む。人生に絶望し、未練を持たない男が、また「生きよう」と思えるまでの、10日間の物語。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。某大学の芸術学部でクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。かつての同級生の不審死。消えた犯人。屋敷のアトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の六人は、大学時代にこの屋敷で共に芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。グループの中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる