探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅫ:見えない爆弾

#5

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 前園本人と話すのは、かなり久しぶりの事だった。何せ、最近は、工藤とか言う刑事としか、警察の人間と、喋る機会など、なかったから…。
 「久しぶりですね、前園さん。じゃぁ、その装置か、何か、まだ不明だけど、それは、警察に任せても、良いんですか?」
 『むしろ、そうしてくれると、助かる。こちら側が、無理言って、こんな無茶な事案を、依頼しているんだ。人や手間が欲しいなら、好きなだけ、我々を使え。』
 「じゃぁ、現場はお願いするね?指示は、カッシーに一任するから、よろしく。」
 「ラジャ」と、二人分の返事が聞こえ、私は、久々に、ソファに腰を下ろした。癖が強い、ホームズメンバーより、警察たちの方が、幾らか、扱いが簡単だ。
 まぁ、中には、扱いづらい人間も、居るだろうが、それは、前園本人が、把握している居はずだ。だから、私は、次の報告が上がって来るまで、暇なのだ…。

 『じゃぁ、工藤、お前現地に行って、柏木と連携取れ、それが一番お互い遣り易いだろ?』
 スピーカー越しに、前園のその言葉が木霊した直後だった。
 『クドーさん、今日来てるんですか?』
 さっきまで、会話に入ってくる気配が無かった、宮間がそう訊ねた。
 『はい、一応着いてきました。』
 工藤の返事も聞こえた。
 『それは、心強いね。』
 「じゃぁ、クドーさんの携帯に、現地の見取り図と、設備情報の資料、添付しておきますね?」
 柏木と笹井がそれぞれ、そう言った。
 『じゃぁ、リョータ君は、細部の小部屋まで、偵察してきて、物は、もしかしたら、カモフラージュされてる可能性あるから。』
 『ラジャ。』
 『会場内に居るメンバーは、刑事さんたちと連携して、取り敢えず、ロビーに集まる様に、指示してもらって良い?』
 さっきまで、やる気が殆ど感じられなかった、柏木が、指示を出し始めた。
 工藤の名前が出ただけで、柏木班を始め、急に統率力が、上がった。彼女に関しては、名前と年齢と性格以外は、殆どよく知らない。それでも、何故か、彼女の周りには、人が良く集まる。癖の強い、ホームズのメンバーでさえも…。
 だからこそ、ホームズの味方である以上、これ以上心強い人物は、居ない…。だが、少し悔しい…。
 事実上、私自身、ホームズに在籍して、かなりの年月が、立っている。所謂、古参メンバーの筈なのだが、メンバーは、私が指示を出しても、統率力が、欠ける…。土屋と連携を取って、何とかなるレベルなのだが…。
 「ちょっと妬けるなぁ…。」
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