187 / 281
ファイルⅪ:先手必勝
#16
しおりを挟む
「この方が、山田さんの本名と、個人情報ですね。」
女性スタッフは、パソコンの画面を、示した。
「宍戸優樹。ちゃんと、免許証の提示もしてあるね。クドーさん、照会できる?」
「今問い合わせてます。それにしても、三嶋と、どんな関係があるんですかね…。」
「それを、今、前園さんに調べて貰っています。」
それから、数分後、免許証の照会結果が出た。偽物ではなく、本物らしく、名前や住所、生年月日、顔写真は、全て間違いがないとのこと。ただ、前科や違反で捕まった経歴はないらしく、分かるのは、免許証に書いてあること以外は、不明とのことだ。
「そんな真面目な彼が、この事件に携わっていると考えると、少しやるせないですね…。」
私がそういうと、京子さんも賛同した。
「きっと裏があるんだと思う…。」
私たちは、バックヤードを後にし、宍戸が居るであろう、個室に向かった。
通路の左右の壁には、びっしりと、本棚が並べられており、人がすれ違うのもやっとといった、狭さだ。
私たちは、奥の方にある、個室へと向かった。その部屋が、宍戸が一週間ほど滞在している、部屋らしい。
「京子さんは、下がっていて下さい。警察が前の方が、怯みやすいので。」
「気を付けて下さい。三嶋動揺、銃を持っている可能性もあります。」
「その時は、逮捕する口実ができますね…。」
銃が怖くない訳がないが、それが事情聴取をしない、理由にはならない。話を聞かなければならないことには、変わりないのだから。
コンコンコンッと、三度ノックをした。すると、徐にドアが開き、眼鏡をかけた男性が顔を覗かせた。
「はい、何か?」
「宍戸優樹さんですね?少しお話良いですか?」
そういい、警察手帳を提示した。すると、宍戸は、血相を変え、ドアを閉めようとした。だが、京子さんが、それを許さず、ドアの隙間に足を、挟めた。
「無駄な抵抗はしない方がいいですよ?」
京子さんが、そういった瞬間だった。宍戸は、個室のテーブルに置かれていた、ドリンクのカップを、蹴り倒した。
「あ!」
中に入っていた液体は、個室内のパソコンに、飛散した。
私たちが一瞬怯んだ隙に、宍戸は、ドアを蹴破る様に、押し退け、狭い通路を、走っていった。
私は京子さんの前に出て、宍戸を負った。
「待て!」と言って、待つわけがないのだが、店内に居る客や、スタッフに“異常事態”だということを、伝えなければならない。
宍戸は、逃げながらも、本棚にあった漫画本や、貸出用の毛布などを、落とし、障害物を増やして行った。
そして、非常階段の前に来た時、外側から扉が開いた。
女性スタッフは、パソコンの画面を、示した。
「宍戸優樹。ちゃんと、免許証の提示もしてあるね。クドーさん、照会できる?」
「今問い合わせてます。それにしても、三嶋と、どんな関係があるんですかね…。」
「それを、今、前園さんに調べて貰っています。」
それから、数分後、免許証の照会結果が出た。偽物ではなく、本物らしく、名前や住所、生年月日、顔写真は、全て間違いがないとのこと。ただ、前科や違反で捕まった経歴はないらしく、分かるのは、免許証に書いてあること以外は、不明とのことだ。
「そんな真面目な彼が、この事件に携わっていると考えると、少しやるせないですね…。」
私がそういうと、京子さんも賛同した。
「きっと裏があるんだと思う…。」
私たちは、バックヤードを後にし、宍戸が居るであろう、個室に向かった。
通路の左右の壁には、びっしりと、本棚が並べられており、人がすれ違うのもやっとといった、狭さだ。
私たちは、奥の方にある、個室へと向かった。その部屋が、宍戸が一週間ほど滞在している、部屋らしい。
「京子さんは、下がっていて下さい。警察が前の方が、怯みやすいので。」
「気を付けて下さい。三嶋動揺、銃を持っている可能性もあります。」
「その時は、逮捕する口実ができますね…。」
銃が怖くない訳がないが、それが事情聴取をしない、理由にはならない。話を聞かなければならないことには、変わりないのだから。
コンコンコンッと、三度ノックをした。すると、徐にドアが開き、眼鏡をかけた男性が顔を覗かせた。
「はい、何か?」
「宍戸優樹さんですね?少しお話良いですか?」
そういい、警察手帳を提示した。すると、宍戸は、血相を変え、ドアを閉めようとした。だが、京子さんが、それを許さず、ドアの隙間に足を、挟めた。
「無駄な抵抗はしない方がいいですよ?」
京子さんが、そういった瞬間だった。宍戸は、個室のテーブルに置かれていた、ドリンクのカップを、蹴り倒した。
「あ!」
中に入っていた液体は、個室内のパソコンに、飛散した。
私たちが一瞬怯んだ隙に、宍戸は、ドアを蹴破る様に、押し退け、狭い通路を、走っていった。
私は京子さんの前に出て、宍戸を負った。
「待て!」と言って、待つわけがないのだが、店内に居る客や、スタッフに“異常事態”だということを、伝えなければならない。
宍戸は、逃げながらも、本棚にあった漫画本や、貸出用の毛布などを、落とし、障害物を増やして行った。
そして、非常階段の前に来た時、外側から扉が開いた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
それでもミステリと言うナガレ
崎田毅駿
ミステリー
流連也《ながれれんや》は子供の頃に憧れた名探偵を目指し、開業する。だが、たいした実績も知名度もなく、警察に伝がある訳でもない彼の所に依頼はゼロ。二ヶ月ほどしてようやく届いた依頼は家出人捜し。実際には徘徊老人を見付けることだった。憧れ、脳裏に描いた名探偵像とはだいぶ違うけれども、流は真摯に当たり、依頼を解決。それと同時に、あることを知って、ますます名探偵への憧憬を強くする。
他人からすればミステリではないこともあるかもしれない。けれども、“僕”流にとってはそれでもミステリなんだ――本作は、そんなお話の集まり。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
婚約破棄の日の夜に
夕景あき
恋愛
公爵令嬢ロージーは卒業パーティの日、金髪碧眼の第一王子に婚約破棄を言い渡された。第一王子の腕には、平民のティアラ嬢が抱かれていた。
ロージーが身に覚えのない罪で、第一王子に糾弾されたその時、守ってくれたのは第二王子だった。
そんな婚約破棄騒動があった日の夜に、どんでん返しが待っていた·····
宝石のような時間をどうぞ
みつまめ つぼみ
キャラ文芸
明るく元気な女子高生の朝陽(あさひ)は、バイト先を探す途中、不思議な喫茶店に辿り着く。
その店は、美形のマスターが営む幻の喫茶店、「カフェ・ド・ビジュー・セレニテ」。
訪れるのは、あやかしや幽霊、一風変わった存在。
風変わりな客が訪れる少し変わった空間で、朝陽は今日も特別な時間を届けます。
母からの電話
naomikoryo
ミステリー
東京の静かな夜、30歳の男性ヒロシは、突然亡き母からの電話を受け取る。
母は数年前に他界したはずなのに、その声ははっきりとスマートフォンから聞こえてきた。
最初は信じられないヒロシだが、母の声が語る言葉には深い意味があり、彼は次第にその真実に引き寄せられていく。
母が命を懸けて守ろうとしていた秘密、そしてヒロシが知らなかった母の仕事。
それを追い求める中で、彼は恐ろしい陰謀と向き合わなければならない。
彼の未来を決定づける「最後の電話」に込められた母の思いとは一体何なのか?
真実と向き合うため、ヒロシはどんな犠牲を払う覚悟を決めるのか。
最後の母の電話と、選択の連続が織り成すサスペンスフルな物語。
【完結】深海の歌声に誘われて
赤木さなぎ
ミステリー
突如流れ着いたおかしな風習の残る海辺の村を舞台とした、ホラー×ミステリー×和風世界観!
ちょっと不思議で悲しくも神秘的な雰囲気をお楽しみください。
海からは美しい歌声が聞こえて来る。
男の意志に反して、足は海の方へと一歩、また一歩と進んで行く。
その歌声に誘われて、夜の冷たい海の底へと沈んで行く。
そして、彼女に出会った。
「あなたの願いを、叶えてあげます」
深海で出会った歌姫。
おかしな風習の残る海辺の村。
村に根付く“ヨコシマ様”という神への信仰。
点と点が線で繋がり、線と線が交差し、そして謎が紐解かれて行く。
―― ―― ―― ―― ―― ―― ――
短期集中掲載。毎日投稿します。
完結まで執筆済み。約十万文字程度。
人によっては苦手と感じる表現が出て来るかもしれません。ご注意ください。
暗い雰囲気、センシティブ、重い設定など。
Please,Call My Name
叶けい
BL
アイドルグループ『star.b』最年長メンバーの桐谷大知はある日、同じグループのメンバーである櫻井悠貴の幼なじみの青年・雪村眞白と知り合う。眞白には難聴のハンディがあった。
何度も会ううちに、眞白に惹かれていく大知。
しかし、かつてアイドルに憧れた過去を持つ眞白の胸中は複雑だった。
大知の優しさに触れるうち、傷ついて頑なになっていた眞白の気持ちも少しずつ解けていく。
眞白もまた大知への想いを募らせるようになるが、素直に気持ちを伝えられない。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる