探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅪ:先手必勝

#9

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 地図上に、いくつもの“×”印を書き込んでいった。それも、もの凄い速さで…。傍から見れば、地図に、“適当”にバツ印を落書きしているようにも見える。だが…。
 「相変わらず、お見事だな…。」
 前園警部が、そういうと、私に、目的地のフラグが、幾つか立っているスマホの地図アプリを見せてきた。それを、その地図と、噛み合う場所に、重ねて見せた。
 すると、バツ印の場所と、地図アプリの、フラグの位置が、ぴったりと、当てはまった。
 「これって…。」
 「そう、東京都内中の、ネットカフェの位置。そこから、“人”が動くであろうと、予測できる場所を、線で結んで、最終的な、あぶり出しを行う。」
 「ちょ、ちょっと、待ってください!って事は、京子さんって、東京中のネカフェの位置、把握しているってことですか?」
 そんなこと、本当にあり得るのか…。いくら記憶力に優れた、人間だって、建物の位置を、完璧に、しかも正確に、覚えることなど、できるものなのか…。
 天木さんだったら…。と考えるが、多分、彼女でも、今の京子さんのやっている、芸当は、できそうにもない…。
 『京子は、確かに、知能的にも優秀だが、それは、あくまでも、中の上に過ぎない…。
 だが、一点だけ、突出した才能が、ある。それが、空間認識能力だ。』
 無線の奥から、相沢さんが、そう話した。
 「空間認識能力?」
 漫画や、ネットなんかで、よく、見たり聞いたりするから、ある程度は、知っている。
 物体の、位置や方向、大きさなどを、素早く把握、認識する力だ。本来なら、どんな人にも、その力は、ある程度は備わっている。特に、女性よりも、男性の方が、その感覚が、優れているらしい…。だから、男性の方が、地図を、覚えやすい。車の運転がうまいなどがある。
 「だからと言って、地図の位置を、こんな鮮明に、記憶できるんですか?」
 「京子さんは、さっき言った“趣味”のおかげで、視野が少し広いんです。更に、“人”に対しての、予測も得意なんです。
それらを、平行して、街中を歩くと、彼女の頭の中で、地図が作られていく。それを、忘れていないだけです。」
前園警部が、補足する…。もし、仮にそうだとしても、地図を、ここまでの範囲、覚えられるものだろうか…。それと、彼女の“趣味”が、いっそう気になってきた…。
 「あれ?ちょっと待ってください。ってことは、京子さんって、東京全土、隈なく散策したって、事ですか?」
 「流石に、それは、ないですよ、クドーさん。もちろん行ってないところは、ありますし、そこは、書き込めない…。でも、情報は、多い方が、地図は、正確になる。だから、覚えて居る場所は、全部、埋める。」
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