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ファイルⅩ:潜入捜査
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「だって、皆いまいち緊張感がないから…。
私が、現場まで出向いて、喝を入れてやらなきゃと思って…。」
決して“楽しそうだから”と、思ったわけではない…。芥子の事だ。そんな言い訳、直ぐ見破れる。だが、今はイヤホンとマイク越し…。彼女に、今の私の感情を読み取る事は、できない。
「それは、そうかもしれないけど、そこまでしたら、司令塔の意味がないでしょ?」
案の定、疑われることなく、話を進められた。
「それに、天木ちゃんが、そこまでしなくとも、大丈夫。カツキ君が、来てくれたから。」
芥子がそう言った直後、地を這う様な、男の低い声が、イヤホンから響いた。
「おい。」
そのたった一言で、現場に居るメンバー含め、その場に居た人物、全員に、悪寒が走知った。空気が張り詰めるという言葉は、こういう事を、示すのだろう。
「人命が、かかっているんだぞ、節度を保てよ、お前ら。
天木も、もっとしっかりしろ、現状お前が、一番トップってこと、自覚しろ。」
怒鳴り声よりも、迫力がある、よく通る、低い声で、説教を受けると、嫌でも空気が変わる。
これが、“裏”ラストホームズの、リーダー格、植月桂樹。所属は、クサカベ班、特殊作戦実行員。頭脳は、私と土屋を足して、2で割った様な、レベル。頭がいいというよりは、ずる賢い。悪知恵が働くと言った方が、いいかもしれない。
物理的な喧嘩で言えば、日下部や亮太、秋山の方が断然強いが、タフさで言えば、植月の方が上。
彼は、篠崎を除き、ホームズ三人目の古株。
そして、元探偵の実績すら持ち合わせている。私も、昔から、何度も彼と仕事を、こなしてきた。
だが、彼の出生から、経歴まで、知らない事が多すぎる。知って居る事と言えば、前述の、“元探偵”と言う事と、“現金しか、信用しない”と言う事…。
今から7年と3か月前。当時18歳になったばかりの私は、社会人の右も左も分からなかった。ただ、バイトの様な仕事をこなすような日々は続いた。
そんな中、初めて、事務所の外に出て、仕事をする機会ができた。その時に、一緒に行動してくれたのは、植月だった。
初めての、仕事は、探偵では、定番の「浮気調査」。新婚である夫婦の、嫁さんの行動が、少しおかしい事に、気が付いた、旦那さんからの、依頼だった。
結局、それは、旦那さんの早とちりで、お嫁さんの方には、浮気はおろか、兄弟以外の、男性の影すらなかった。
その仕事の終わりに、植月に、つけ麺を一杯ごちそうになった。
「天木、お前、好きな人とか居るのか?」
私が、現場まで出向いて、喝を入れてやらなきゃと思って…。」
決して“楽しそうだから”と、思ったわけではない…。芥子の事だ。そんな言い訳、直ぐ見破れる。だが、今はイヤホンとマイク越し…。彼女に、今の私の感情を読み取る事は、できない。
「それは、そうかもしれないけど、そこまでしたら、司令塔の意味がないでしょ?」
案の定、疑われることなく、話を進められた。
「それに、天木ちゃんが、そこまでしなくとも、大丈夫。カツキ君が、来てくれたから。」
芥子がそう言った直後、地を這う様な、男の低い声が、イヤホンから響いた。
「おい。」
そのたった一言で、現場に居るメンバー含め、その場に居た人物、全員に、悪寒が走知った。空気が張り詰めるという言葉は、こういう事を、示すのだろう。
「人命が、かかっているんだぞ、節度を保てよ、お前ら。
天木も、もっとしっかりしろ、現状お前が、一番トップってこと、自覚しろ。」
怒鳴り声よりも、迫力がある、よく通る、低い声で、説教を受けると、嫌でも空気が変わる。
これが、“裏”ラストホームズの、リーダー格、植月桂樹。所属は、クサカベ班、特殊作戦実行員。頭脳は、私と土屋を足して、2で割った様な、レベル。頭がいいというよりは、ずる賢い。悪知恵が働くと言った方が、いいかもしれない。
物理的な喧嘩で言えば、日下部や亮太、秋山の方が断然強いが、タフさで言えば、植月の方が上。
彼は、篠崎を除き、ホームズ三人目の古株。
そして、元探偵の実績すら持ち合わせている。私も、昔から、何度も彼と仕事を、こなしてきた。
だが、彼の出生から、経歴まで、知らない事が多すぎる。知って居る事と言えば、前述の、“元探偵”と言う事と、“現金しか、信用しない”と言う事…。
今から7年と3か月前。当時18歳になったばかりの私は、社会人の右も左も分からなかった。ただ、バイトの様な仕事をこなすような日々は続いた。
そんな中、初めて、事務所の外に出て、仕事をする機会ができた。その時に、一緒に行動してくれたのは、植月だった。
初めての、仕事は、探偵では、定番の「浮気調査」。新婚である夫婦の、嫁さんの行動が、少しおかしい事に、気が付いた、旦那さんからの、依頼だった。
結局、それは、旦那さんの早とちりで、お嫁さんの方には、浮気はおろか、兄弟以外の、男性の影すらなかった。
その仕事の終わりに、植月に、つけ麺を一杯ごちそうになった。
「天木、お前、好きな人とか居るのか?」
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