探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅩ:潜入捜査

#2

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 「え?リョータ君、FPS系得意なの?」
 「得意っていうか、最近やりこんでいるのは、それくらいですね…。」
 「じゃぁ、今度やろう?私も、この間、SC5(据え置き機)買ったし。」
 「良いですよ。接待なしで行きますよ。」
 一番緊張感を持って欲しい、彼女らが、一番リラックスしている。それは、悪くない。変な緊張感を持ったまま、任務をこなすよりは、断然良い。のだが…。
 『で?アマキちゃん、何だっけ?』
 「あ、えっと…。変わった様子とか…ない?」
 『特にないよ。』
 「あ、そう…。引き続き、調査お願い。」
 『了解!』
 何とも楽しそうだった…。私は、役職柄、現地に赴くことなく、本部。もしくは指令室で、モニターの前で、胡坐をかいて、現場に居るメンバーに、指示を出すことが多い。その為、毎回、思うことがあり、溜まることもある…。
 「よし!」
 私は、そう言い、出入り口のハッチに向かった。だが、全力で、ミカに腕を掴まれ、止められた。
 「ちょ、どこ行くんですか⁉」
 「私も、現場行く!ここじゃ、暇!」
 「落ち着いて下さい!現場まで、5キロくらいありますよ!」
 ここは、柏木たちの居るホテルから、直線距離で、5.2キロ離れた、とある高速道路のサービスエリアに位置している。ここなら、巨大な、トレーラー、“クジラ”が、駐車していても、怪しまれることはない。
 それに、サービスエリアと言う事もあり、買い出しや、用足しもある程度可能だ。
 だが、高速道路と言う事もあり、息抜きに“散歩”と言う事は不可能だ…。
 「タケのバイクに、二ケツする!」
 岡本と尾形が、護衛として、このサービスエリアに居る。尾形は、四輪の車だが、岡本は、小回りのききやすい、愛車のオートバイで来ている。
 それに乗せてもらって、本気で、現場である、ホテルに乗り込もうと目論んだ。
 「行くったら、行くの!」
 「アマキさんが言ったら、誰が指示出しするんですか?」
 「知らないよ!ツッチーか、アミちゃんに頼めばいいんじゃないの?」
 現実逃避と言うのは、必要だと思う…。私だって、たまには、脳を使わず、身体だけ動かして、仕事をしたい…。
 『アマキちゃん?今貴女が、その場を離れたら、作戦どころか、依頼自体、失敗する可能性があるわ…。しかも、 今回は、一般時からの依頼ではなくて、笹野次長、直々の依頼。貴女が指示しなくて、どうするの?』
 スピーカー越しに、芥子の声が響いてきた。
 実際、アミもツッチーは、現状ここに居ない為、私しか、現場を指揮する人物は、居ない。それは、分かっているのだが…。
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