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ファイルⅧ:二つの事件
#7
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スーツを着込むなんて、久々だった。季節が夏の為、ネクタイやジャケットを着る必要はないが、それでも、少し、堅苦しい。
だからこそ、この姿は、余り好きにはなれない…。毎日、こんなものを着て、仕事をしに行っている、人たちは、本当にご苦労な事だ…。
「ホームズ・宮間修二様、天木涼子様、柏木楓様、以上三名が、到着しました。」
そう、私たちを案内してくれていた、女性が、大きな扉の前で声を張り上げた。
中からは、色々と準備の真最中なのか、忙しそうな音が聞こえている…。
『どうぞ。』
扉を開けると、案の定、ドタバタと、色んな人たちが、行きかっている。
「久しぶりですね、ホームズの諸君。」
そう声を掛けてきたのは、奥の方で腕を組んでいる、一人の男性だった。
名前は、芦原真護。階級は『警視長』。警察庁警備局国際テロリズム対策課長。度々仕事の依頼をくれる、いわば、お得意様だ。
依頼内容は、その肩書からして、かなり危険な物だったりもする。
そのため、内容によっては、断ることもできる。
だが、今回は、引き受けてしまった。彼等も、人員が、足りないらしい。
「お久しぶりです。芦原警視長。」
宮間が代表で挨拶をした。
「まさか、土屋が例の人質事件に関与しているとは…。」
「私どもも、つい先ほど知ったばかりですので、何とも…。」
「そんな事より、早く要件を伝えて下さい。こんな堅苦しい格好、余り好きではないので。」
軽く世間話をする彼らに、嫌気がさしたのか、柏木が、呆れた口調で物申した。
「相変わらず、手厳しいお嬢さんだこと…。」
「やれやれ」と言わんばかりの、態度で芦原は首を横に振った。
「では、本題に入りましょう。今回君たちに集まって貰ったのは、お察しの通り、テロの捜査をしてもらいたい。」
そう言うと、芦原は、スクリーンに、英語圏の新聞や雑誌の文字を切り抜いた様な、手紙が映し出された。
訳すと…。
『この国の、政治は腐っている。神の使者によって、滅ぼされるであろう。』
「怪文書も、甚だしいね…。中学生の作文だって、もっと真面な事書くね…。」
私の率直な感想がそれだった。柏木も、同意だったのか、二、三度頷いた。
ただ、引っかかるのは、この文章で使っている、新聞や雑誌の文字。
私も、一応、日本で手に入る英語の雑誌や新聞は、粗方目を通すが、所々に出てくる、文字の羅列は、ここ半年は、見た事がない…。
となると…。
「この文章は、少なくとも、今から一か月前に、作られたもの。もっと言えば、これを作った人は、意外にも、食べ歩きが好きだったりするかも…。」
だからこそ、この姿は、余り好きにはなれない…。毎日、こんなものを着て、仕事をしに行っている、人たちは、本当にご苦労な事だ…。
「ホームズ・宮間修二様、天木涼子様、柏木楓様、以上三名が、到着しました。」
そう、私たちを案内してくれていた、女性が、大きな扉の前で声を張り上げた。
中からは、色々と準備の真最中なのか、忙しそうな音が聞こえている…。
『どうぞ。』
扉を開けると、案の定、ドタバタと、色んな人たちが、行きかっている。
「久しぶりですね、ホームズの諸君。」
そう声を掛けてきたのは、奥の方で腕を組んでいる、一人の男性だった。
名前は、芦原真護。階級は『警視長』。警察庁警備局国際テロリズム対策課長。度々仕事の依頼をくれる、いわば、お得意様だ。
依頼内容は、その肩書からして、かなり危険な物だったりもする。
そのため、内容によっては、断ることもできる。
だが、今回は、引き受けてしまった。彼等も、人員が、足りないらしい。
「お久しぶりです。芦原警視長。」
宮間が代表で挨拶をした。
「まさか、土屋が例の人質事件に関与しているとは…。」
「私どもも、つい先ほど知ったばかりですので、何とも…。」
「そんな事より、早く要件を伝えて下さい。こんな堅苦しい格好、余り好きではないので。」
軽く世間話をする彼らに、嫌気がさしたのか、柏木が、呆れた口調で物申した。
「相変わらず、手厳しいお嬢さんだこと…。」
「やれやれ」と言わんばかりの、態度で芦原は首を横に振った。
「では、本題に入りましょう。今回君たちに集まって貰ったのは、お察しの通り、テロの捜査をしてもらいたい。」
そう言うと、芦原は、スクリーンに、英語圏の新聞や雑誌の文字を切り抜いた様な、手紙が映し出された。
訳すと…。
『この国の、政治は腐っている。神の使者によって、滅ぼされるであろう。』
「怪文書も、甚だしいね…。中学生の作文だって、もっと真面な事書くね…。」
私の率直な感想がそれだった。柏木も、同意だったのか、二、三度頷いた。
ただ、引っかかるのは、この文章で使っている、新聞や雑誌の文字。
私も、一応、日本で手に入る英語の雑誌や新聞は、粗方目を通すが、所々に出てくる、文字の羅列は、ここ半年は、見た事がない…。
となると…。
「この文章は、少なくとも、今から一か月前に、作られたもの。もっと言えば、これを作った人は、意外にも、食べ歩きが好きだったりするかも…。」
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