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ファイルⅧ:二つの事件
#2
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そこのホットニュースの中に、『立て籠もり』の文字が見えた。
私は、思わずそこの項目を押してしまった。
『コンビニにて、客を人質に取る、立て籠もり事件が発生。近隣住民の方は、速やかに避難指示に従い…。』
と記事には書かれていた。しかも、その記事が更新されたのは、5分前だ。
つまり、現在進行形で、フェイクではない限り、この事件は起きている…。
ハッとし、私は事務所のテレビを点けた。
案の定、その立て籠もり事件の内容で、全番組が、それで持ち切りだった。
「何か、物騒な事起きてる…。」
立て籠もり事件自体、この国では相当珍しい。
その中でも、今回の様な事件は、異様だ。
なぜなら、現場がコンビニである事。
普通、立て籠もりは、素性がばれることを嫌うため、なるべく、外から中の様子をうかがう事のできない様な建物や、階層を選ぶ。
だが、コンビニは、大部分はガラス張りになっており、更には防犯カメラや、凸面鏡などが、有るため、立てこもり犯にとって、一番嫌う建物だ。
そうなると、犯人は、自然と絞られてくる。
少し、この立て籠もり犯に興味が湧いてきた。
「大丈夫ですかね。」
日下部が、ぼそりとそう呟いた。
「何が?」
「土屋さん、どうやら、そのコンビニにいるみたいなんですが…。」
そう言うと、今度はパソコンの画面を見せてきた。マップの様な背景に、「土屋」と書かれている、赤い点が一つあった。
そして、その場所と、コンビニの場所を、改めて、照合した。
間違いない…。今、土屋が居る場所こそが、その立てこもり事件の、現場だった。
「「それを、早く言ってよ!」」
私と柏木の声が重なり、彼に車を出すように命令した、その時だった。
今度は、事務所の電話が鳴った。
それを宮間が受けた。もしかしたら、土屋かもしれないと思い、それを待った。
だが、全く別の依頼らしかった。
「分かり…ました…。」
「なんだって?」
「アマキちゃん、依頼です。今度は、正真正銘の爆弾魔です。」
時間は、30分程前に遡る。今日は、報告会があるため、早めに事務所に向かったのだが、その道中、少し違和感を覚えた人物を発見し、それを尾行した。
そして、奴はコンビニの前に来ると、少し躊躇った様に、入り口付近をウロウロしていた。
俺は、『何ある』と思い、一足先に、そのコンビニに入店した。
数分後、奴も、意を決した様に、コンビニに入ってきた。
店内をぐるりと一周し、レジの前に差し掛かった時だった。
奴の雄たけびと共に、悲鳴が店内に響き渡った。
私は、思わずそこの項目を押してしまった。
『コンビニにて、客を人質に取る、立て籠もり事件が発生。近隣住民の方は、速やかに避難指示に従い…。』
と記事には書かれていた。しかも、その記事が更新されたのは、5分前だ。
つまり、現在進行形で、フェイクではない限り、この事件は起きている…。
ハッとし、私は事務所のテレビを点けた。
案の定、その立て籠もり事件の内容で、全番組が、それで持ち切りだった。
「何か、物騒な事起きてる…。」
立て籠もり事件自体、この国では相当珍しい。
その中でも、今回の様な事件は、異様だ。
なぜなら、現場がコンビニである事。
普通、立て籠もりは、素性がばれることを嫌うため、なるべく、外から中の様子をうかがう事のできない様な建物や、階層を選ぶ。
だが、コンビニは、大部分はガラス張りになっており、更には防犯カメラや、凸面鏡などが、有るため、立てこもり犯にとって、一番嫌う建物だ。
そうなると、犯人は、自然と絞られてくる。
少し、この立て籠もり犯に興味が湧いてきた。
「大丈夫ですかね。」
日下部が、ぼそりとそう呟いた。
「何が?」
「土屋さん、どうやら、そのコンビニにいるみたいなんですが…。」
そう言うと、今度はパソコンの画面を見せてきた。マップの様な背景に、「土屋」と書かれている、赤い点が一つあった。
そして、その場所と、コンビニの場所を、改めて、照合した。
間違いない…。今、土屋が居る場所こそが、その立てこもり事件の、現場だった。
「「それを、早く言ってよ!」」
私と柏木の声が重なり、彼に車を出すように命令した、その時だった。
今度は、事務所の電話が鳴った。
それを宮間が受けた。もしかしたら、土屋かもしれないと思い、それを待った。
だが、全く別の依頼らしかった。
「分かり…ました…。」
「なんだって?」
「アマキちゃん、依頼です。今度は、正真正銘の爆弾魔です。」
時間は、30分程前に遡る。今日は、報告会があるため、早めに事務所に向かったのだが、その道中、少し違和感を覚えた人物を発見し、それを尾行した。
そして、奴はコンビニの前に来ると、少し躊躇った様に、入り口付近をウロウロしていた。
俺は、『何ある』と思い、一足先に、そのコンビニに入店した。
数分後、奴も、意を決した様に、コンビニに入ってきた。
店内をぐるりと一周し、レジの前に差し掛かった時だった。
奴の雄たけびと共に、悲鳴が店内に響き渡った。
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