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ファイルⅥ-ⅱ:癒しの森
#2
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探偵には本来、受けた依頼に対しての調査や工作を行う調査員の他に、依頼人の問い合わせや打ち合わせを行ったり、調査結果の報告や時にはアフターフォローを行う相談員が居るらしい。
私が電車の中で出会った、柏木楓さんや社長である宮間さんもそれに該当するが、彼らは調査員も兼任している為、最低限の事しかできない。
そんな中、芥子さんは本業でカウンセラーもやっており、アフターフォローを主体に行う、ホームズ専門のカウンセラーでもあるらしい。
そんな彼女が鼻歌交じりに用意してくれた紅茶は、香りがとても華やかで、とても心が安らいだ。
丁度コーヒー豆を挽き終わった頃、日下部さんが、犬二頭を引き連れ、このログハウスに戻ってきた。
犬たちは、水が入っている皿に伏せ、静かに水分補給を始めた。
日下部さんは、奥の方にある冷蔵庫を開け、牛乳の様な白い飲料が入ったペットボトルを取り出した。
それを三口ほど飲んだ後、芝生の庭に面した大きな窓から外に出て行った。
犬たちは疲れているのか、それを追わず、各々寛ぎ始めた。
すると笹井さんが、それを待っていましたと言わんばかりに、彼らを撫でまわし始めた。
「この子たちは狼犬のジャックとリリィ。基本吠えたり噛みついたりしないから、安心して。」
笹井さんが、そう教えてくれた。個人的には、猫派なのだが犬も嫌いではない。
笹井さんが撫でていないもう一頭の方に、恐る恐るしゃがみ込んだ。
すると、急に立ち上がり、尻尾を振ってきた。
「そっちがリリィ。女の子なんだけど、女の子大好き。」
手を差し出し、彼女の頭に手を置くと、嬉しそうに舌を出した。
毛並みは流石に猫には敵わないが、それでも、もふもふの塊には変わりはない。
気が付けば、何度も撫でまわしていた。
「狼犬なんて、珍しいでしょ?」
芥子さんのその声を聞くまで、夢中になっていた。私だけでなく、笹井さんも…。
「か、可愛いですね!この子達!」
はっとし、取り敢えずそう取り繕った。
狼犬。読んで字の如く、狼と犬の雑種だ。犬にはそれ程詳しい訳では無いが、ネットや動物動画などで、何度か見たり、耳にしたりしていた。
だから、それくらいの事は知っている。
「アメリカ・ツンドラ・シェパードっていう狼とシェパードを混ぜた犬種。しかも、狼の血が75%流れてる、“ハイパーセント”って言われる、ちょっと特殊な種でもあるの。」
芥子さんがそう言うと、私の隣に座り、リリィの顔や耳、爪先や尻尾の端まで満遍なく触り、毛並を梳かした。
それが、お気に入りらしく、私が撫でた時よりも更に、嬉しそうな表情をした。
私が電車の中で出会った、柏木楓さんや社長である宮間さんもそれに該当するが、彼らは調査員も兼任している為、最低限の事しかできない。
そんな中、芥子さんは本業でカウンセラーもやっており、アフターフォローを主体に行う、ホームズ専門のカウンセラーでもあるらしい。
そんな彼女が鼻歌交じりに用意してくれた紅茶は、香りがとても華やかで、とても心が安らいだ。
丁度コーヒー豆を挽き終わった頃、日下部さんが、犬二頭を引き連れ、このログハウスに戻ってきた。
犬たちは、水が入っている皿に伏せ、静かに水分補給を始めた。
日下部さんは、奥の方にある冷蔵庫を開け、牛乳の様な白い飲料が入ったペットボトルを取り出した。
それを三口ほど飲んだ後、芝生の庭に面した大きな窓から外に出て行った。
犬たちは疲れているのか、それを追わず、各々寛ぎ始めた。
すると笹井さんが、それを待っていましたと言わんばかりに、彼らを撫でまわし始めた。
「この子たちは狼犬のジャックとリリィ。基本吠えたり噛みついたりしないから、安心して。」
笹井さんが、そう教えてくれた。個人的には、猫派なのだが犬も嫌いではない。
笹井さんが撫でていないもう一頭の方に、恐る恐るしゃがみ込んだ。
すると、急に立ち上がり、尻尾を振ってきた。
「そっちがリリィ。女の子なんだけど、女の子大好き。」
手を差し出し、彼女の頭に手を置くと、嬉しそうに舌を出した。
毛並みは流石に猫には敵わないが、それでも、もふもふの塊には変わりはない。
気が付けば、何度も撫でまわしていた。
「狼犬なんて、珍しいでしょ?」
芥子さんのその声を聞くまで、夢中になっていた。私だけでなく、笹井さんも…。
「か、可愛いですね!この子達!」
はっとし、取り敢えずそう取り繕った。
狼犬。読んで字の如く、狼と犬の雑種だ。犬にはそれ程詳しい訳では無いが、ネットや動物動画などで、何度か見たり、耳にしたりしていた。
だから、それくらいの事は知っている。
「アメリカ・ツンドラ・シェパードっていう狼とシェパードを混ぜた犬種。しかも、狼の血が75%流れてる、“ハイパーセント”って言われる、ちょっと特殊な種でもあるの。」
芥子さんがそう言うと、私の隣に座り、リリィの顔や耳、爪先や尻尾の端まで満遍なく触り、毛並を梳かした。
それが、お気に入りらしく、私が撫でた時よりも更に、嬉しそうな表情をした。
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