探偵注文所

八雲 銀次郎

文字の大きさ
上 下
91 / 281
ファイルⅥ:詐欺捜査

#6

しおりを挟む
 真田さんと思わしき人物が、病院に入って行くのが見て取れた。
 「これだけでは、真田ちゃんが電話をした人と、同一人物とは断定できませんね…。」
 「どん詰まりだな…。」
 奥の手がないわけではないが、この程度の案件で、それを使うのは、忍びない…。
 どうにか、詐欺が嘘だと言うのが、立証できれば、自然と動機も見えてくるはずなのだが、今はそのヒントすらない…。
 「どーしますか。」
 美歌が少々飽きた様に、声を上げた。
 「この娘の学校、行ってみるか。」
 「学校名聞き忘れましたよ…。」
 「大丈夫、覚えている人居るから。」
 そう言って、柏木に電話を掛けた。

 昨日、真田さんが、俺たちに話しかけて来た時、彼女は制服を着ていた。
 だが、生憎俺は制服の知識は皆無で、ましてや、どこにでもある様な、夏用のセーラータイプだった。
 『な、何?』
 少し焦った様な声だった。そして、確実に口をもごもごさせている…。
 更に、ハンズフリーにしていたため、美歌にも丸聞こえだった。
 「班長…何食べてるんですか?」
 『ミ、ミカちゃん⁉』
 驚いた様な声が、車内に響いた。どうやら、マカロンなる物を食べていたらしい。
 そんな事より、真田さんの学校を割り出してもらわないと…。
 『確か、『西之宮高校』だと思ったけど…。事務所の最寄り駅で降りたんだから、間違いない。』
 「了解、それと、アマキさん居ます?居たら変わって欲しい。」
 『生憎今コンビニ行ってる…。戻ってきたら、電話させた方が良い?』
 「いないなら良いです。ありがとうございます…。」
 そう言って、電話を切った。
 「『西之宮』って、結構優秀なんだね…。」
 美歌曰く、公立校ではあるが、それなりに偏差値が高く、進学率は毎年90%を超えているらしい。
 「取り敢えず行ってみるか…。」
 アクセルを踏み、病院の駐車場を後にした。
 
 「リューさんって、なんで他の班長達と話すとき、敬語なんですか?」
 信号待ちをしていた時、不意に美歌かそんな疑問を投げつけられた。
 「同じラストホームズですし、私たちと接するときみたいに、砕けた感じの方が良いと思いますけど…。」
 天木同様、この娘も意外と鋭い…。いや、こういう仕事している以上、それが一番良いのだが…。
 「あの3人は、やっぱり俺の目から見ても、別格だ。頭脳じゃ絶対に勝てない…。」
 「でも、身体能力とか、機械的技術で言えば、他の三人以上ですよね?」
 そうかもしれないが、やはり班長と名乗る以上、そう言うところは流石の俺でも、気にする。
 ただ、俺も昔、班長を決める基準を、字野崎と宮間に聞いた。
 その時は、『誰かが補える様に』と答えていた。
 結局、俺はそれに適任だったのか、不明だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【毎日20時更新】アンメリー・オデッセイ

ユーレカ書房
ミステリー
からくり職人のドルトン氏が、何者かに殺害された。ドルトン氏の弟子のエドワードは、親方が生前大切にしていた本棚からとある本を見つける。表紙を宝石で飾り立てて中は手書きという、なにやらいわくありげなその本には、著名な作家アンソニー・ティリパットがドルトン氏とエドワードの父に宛てた中書きが記されていた。 【時と歯車の誠実な友、ウィリアム・ドルトンとアルフレッド・コーディに。 A・T】 なぜこんな本が店に置いてあったのか? 不思議に思うエドワードだったが、彼はすでにおかしな本とふたつの時計台を巡る危険な陰謀と冒険に巻き込まれていた……。 【登場人物】 エドワード・コーディ・・・・からくり職人見習い。十五歳。両親はすでに亡く、親方のドルトン氏とともに暮らしていた。ドルトン氏の死と不思議な本との関わりを探るうちに、とある陰謀の渦中に巻き込まれて町を出ることに。 ドルトン氏・・・・・・・・・エドワードの親方。優れた職人だったが、職人組合の会合に出かけた帰りに何者かによって射殺されてしまう。 マードック船長・・・・・・・商船〈アンメリー号〉の船長。町から逃げ出したエドワードを船にかくまい、船員として雇う。 アーシア・リンドローブ・・・マードック船長の親戚の少女。古書店を開くという夢を持っており、謎の本を持て余していたエドワードを助ける。 アンソニー・ティリパット・・著名な作家。エドワードが見つけた『セオとブラン・ダムのおはなし』の作者。実は、地方領主を務めてきたレイクフィールド家の元当主。故人。 クレイハー氏・・・・・・・・ティリパット氏の甥。とある目的のため、『セオとブラン・ダムのおはなし』を探している。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

四次元残響の檻(おり)

葉羽
ミステリー
音響学の権威である変わり者の学者、阿座河燐太郎(あざかわ りんたろう)博士が、古びた洋館を改装した音響研究所の地下実験室で謎の死を遂げた。密室状態の実験室から博士の身体は消失し、物証は一切残されていない。警察は超常現象として捜査を打ち切ろうとするが、事件の報を聞きつけた神藤葉羽は、そこに論理的なトリックが隠されていると確信する。葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、奇妙な音響装置が残された地下実験室を訪れる。そこで葉羽は、博士が四次元空間と共鳴現象を利用した前代未聞の殺人トリックを仕掛けた可能性に気づく。しかし、謎を解き明かそうとする葉羽と彩由美の周囲で、不可解な現象が次々と発生し、二人は見えない恐怖に追い詰められていく。四次元残響が引き起こす恐怖と、天才高校生・葉羽の推理が交錯する中、事件は想像を絶する結末へと向かっていく。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...