探偵注文所

八雲 銀次郎

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ファイルⅥ:詐欺捜査

#4

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 嘘。そんなこと、ここの家に入る前に分かっていた。
 表札に、詐欺グループがよくやるマーキングがされていなかった。
 意図はそれぞれのグループによって変わって来るが、少なくとも、何らかの目印は付けていく。それなのに、ここの表札には、その痕跡すらなかった。
 実際、マーキングしないグループもあるが、ここは住宅街。しかも、周りを囲む様に家が立ち並んでいる、こんなど真ん中に、白昼堂々と、詐欺をしに来るものだろうか…。
 それ以外に、気になった物が一つ。玄関の脇にあった、物置小屋の隙間から、こっそりと覗いていた、サッカーボール。
 ほんの少ししか、見えなかったが、かなり古い様だった。
 『一人暮らしのおばあさんの自宅』には、とてもじゃないが、似付かわしくない。
 しかも、何故私たち探偵を騙し、200万という大金を欲しがったのか。それが、今回の依頼のカギとなる…。
 「藍里さん、改めてお話聞きたい事あるので、外に来てもらっても宜しいですか。」
 そう言って、真田さんを家の外に呼び出した。
 外は相変わらず、焼ける様な暑さだった。幸い、周りの建物が日陰となり、涼しい場所は、確保できた。
 「調査の手がかりになるかもしれないので、幾つか質問します。おばあさんとは、言うからの知り合いなんでしょうか…。」
 「私が、小学3年の夏からです。両親が、知人のお葬式に行く際に数時間だけ預けられたのが、きっかけです。」
 「なるほど。では、最近自分の身の回りの中で、不審に思った事はありますか?」
 「いえ、特に変わったことは…。」
 それから幾つか質問をし、終了した。
 同じような質問を、おばあさんにもした。答えは、真田さんと、ほぼ同じだった。
 それを聞いたところで、手がかりが見つかるかは分からなかったが、何となく見えて来た…。

 真田さんのおばあさん宅から車で10分程の場所に、美歌が割り出した公衆電話は存在した。
 現在日本にある公衆電話は約15万台。携帯電話が復旧している現在でも、災害があったときの為等、諸々な理由で、路上や駐車場、駅前など、至る所に設置されている。
 しかし、その約半数は、屋内に設置されている。
 今回の公衆電話も、あろうことか、『病院』という公共施設の中にある。
 「位置的にはこれだね…。」

 美歌が指を指したのはATM付近にある、緑の公衆電話だ。
 俺自身、この病院には、先日までお世話になっており、病院の内部は、粗方知って居た。
 「犯人は、入院していたって事?」
 「それか、病院の関係者か…。」
 しかし、ATMの前で詐欺とは、見上げた根性だ…。ATMには一台一台、カメラが付いており、俺の見立てでは、公衆電話の位置は、完全にとらえている…。
 
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