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ファイルⅤ:探し物
#7
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『今日も学校,お疲れ様です。
最近帰りが遅いですが,バイトですか。
それとも,彼氏でもできたのですか。
私は,毎日あなたの事を見守っています。』
手紙の書き出しは、こんな感じだった。私も、この手紙を読んだ時、違和感を覚えたのは、間違いなかった。だから、天木にも確認を入れた。そしたら案の定、彼女も同様の意見だった。
「この手紙に心辺りとかある?」
「最初は、昔付き合ってた元カレだと思ったんですけど、彼は九州に居ますし、明らかに年齢も違うので…。」
この手紙には、切手も消印もされておらず、住所も書かれていない。よって、直接ポストに入れに来ていることになる。
「この手紙の事、私たちと警察以外に、知ってる人いる?」
「専門学校の友人2人だけです。二人とも、警察署まで同行してくれました。」
現時点で、その友達二人は除外していいだろう…。文の書き方や構成からして、調理師学校生の確率は低いからだ。
「親兄弟以外で、一番親しい人とかは?」
「ん~。5つ上の従姉かな?九州に居るときは、近所に住んでて、小さい頃から遊んでもらってて。東京に進学するって言ったら、凄い応援してくれて…。」
「その人、今はどこに居るの?」
「高校卒業と同時に、上京して働いてる。私と違って頭良かったから、出版系の仕事してるみたいです。」
一言に出版系と言っても、色々ある…。印刷会社とか、そんな所か…。違和感に繋がりそうな所は、今の所、皆無だ…。
改めて手紙の方に目を落とす。書き出しの文から察するに、常に動きを監視されていることになる。
「でもその手紙、変なんですよね…。私、バイトはやってますけど、帰りが遅く成る事は、月に一回ある程度で、その他は特に帰りが遅くなるとか無かったんですよね…。
だから、見守っているという割には、結構ガサツですよね…。」
ん?完全に動きを把握している訳ではない…。つまり、肉眼、もしくは映像で見ている訳ではない…。そうなると、考えられるのは、生活音。つまり、盗聴。足音やドアを閉める音等で、他人の動きを観察することは可能だが、それには限度がある。
普段と変わらない生活の中で、音に変化があったとすると…。
「もしかしてだけど、最近模様替えとかした?」
「え?ま、まぁ…。でも、冷蔵庫とテレビの位置かえただけですよ?」
「その時、延長コードとか電源タップとか、動かさなかった?」
「……あ、確かに動かしました。私の部屋、ロフト付きのワンルームで普段はロフトで寝てるんですけど、そこに、スマホとかパソコンとかの充電用に、下で冷蔵庫とかで使ってたやつ、持っていきました。」
「それ、ホームセンターとかで買った物?」
「上京して引っ越してきたとき、さっき言った、従姉のお姉さんに…っ。」
相場さんもそこまで言って、何かに気付いたらしく、息を詰まらせた。
この手紙の違和感の謎が、解けてしまった…。
急いで亮太に電話を掛けたが、繋がらず。仕方なく、天木に掛けた。2コール目で出た。事務所で、何かを飲んでいた最中だったらしく、少し咽ていた。
「アマキちゃん、さっき見せた手紙、どうやって、年齢と性別割り出したの?」
『どうって、単純に文章構成で。誤字や脱字は見受けられない、奇麗な文章だったから、今どきの若い子じゃないし、何より、使ってる単語や言い回しから、それなりに知的に思えたから…。』
「解ったよ、違和感。この文章、教科書みたいじゃない?読点は使わずに、カンマを使ってたり、訊ねてる文章なのに、『?』使わなかったり…。」
『…そっか、碌に教科書見てない私は、気が付かない訳だ…。犯人の目星は付いてるの?』
「付いてるけど、リュー君いない?盗聴器、探すの手伝ってほしいくて。」
『ゴメン、生憎今出払って…。』
『俺が行くよ。』
天木とは別に、男の声が奥の方で響いた。その声の主は、もちろん知って居る。日下部より、もしかしたら頼りになるかもしれない…。
彼が事務所を出て行き、宮間と二人だけになってしまった。
「アマキちゃん、嘘は感心しませんね…。本当は、あの写真見た時に、既に知ってたでしょ。」
「でも、犯人までたどり着いたのは、カエだよ?私は、文章を見て、思った事を行っただけ。」
気付いて欲しかったのは、この謎ではなく、私と柏木は違う土俵には立っていない事。
残念ながら、私は、彼女が格上だとも格下だとも思っていない。
それなのに、私に劣等感を覚え、張り合おうとするのは、お門違いも良い所…。
彼女には、私には持ち合わせていない才能が別にある。ない物は羨まず、手にしてるものだけで、頑張って欲しい…。
最近帰りが遅いですが,バイトですか。
それとも,彼氏でもできたのですか。
私は,毎日あなたの事を見守っています。』
手紙の書き出しは、こんな感じだった。私も、この手紙を読んだ時、違和感を覚えたのは、間違いなかった。だから、天木にも確認を入れた。そしたら案の定、彼女も同様の意見だった。
「この手紙に心辺りとかある?」
「最初は、昔付き合ってた元カレだと思ったんですけど、彼は九州に居ますし、明らかに年齢も違うので…。」
この手紙には、切手も消印もされておらず、住所も書かれていない。よって、直接ポストに入れに来ていることになる。
「この手紙の事、私たちと警察以外に、知ってる人いる?」
「専門学校の友人2人だけです。二人とも、警察署まで同行してくれました。」
現時点で、その友達二人は除外していいだろう…。文の書き方や構成からして、調理師学校生の確率は低いからだ。
「親兄弟以外で、一番親しい人とかは?」
「ん~。5つ上の従姉かな?九州に居るときは、近所に住んでて、小さい頃から遊んでもらってて。東京に進学するって言ったら、凄い応援してくれて…。」
「その人、今はどこに居るの?」
「高校卒業と同時に、上京して働いてる。私と違って頭良かったから、出版系の仕事してるみたいです。」
一言に出版系と言っても、色々ある…。印刷会社とか、そんな所か…。違和感に繋がりそうな所は、今の所、皆無だ…。
改めて手紙の方に目を落とす。書き出しの文から察するに、常に動きを監視されていることになる。
「でもその手紙、変なんですよね…。私、バイトはやってますけど、帰りが遅く成る事は、月に一回ある程度で、その他は特に帰りが遅くなるとか無かったんですよね…。
だから、見守っているという割には、結構ガサツですよね…。」
ん?完全に動きを把握している訳ではない…。つまり、肉眼、もしくは映像で見ている訳ではない…。そうなると、考えられるのは、生活音。つまり、盗聴。足音やドアを閉める音等で、他人の動きを観察することは可能だが、それには限度がある。
普段と変わらない生活の中で、音に変化があったとすると…。
「もしかしてだけど、最近模様替えとかした?」
「え?ま、まぁ…。でも、冷蔵庫とテレビの位置かえただけですよ?」
「その時、延長コードとか電源タップとか、動かさなかった?」
「……あ、確かに動かしました。私の部屋、ロフト付きのワンルームで普段はロフトで寝てるんですけど、そこに、スマホとかパソコンとかの充電用に、下で冷蔵庫とかで使ってたやつ、持っていきました。」
「それ、ホームセンターとかで買った物?」
「上京して引っ越してきたとき、さっき言った、従姉のお姉さんに…っ。」
相場さんもそこまで言って、何かに気付いたらしく、息を詰まらせた。
この手紙の違和感の謎が、解けてしまった…。
急いで亮太に電話を掛けたが、繋がらず。仕方なく、天木に掛けた。2コール目で出た。事務所で、何かを飲んでいた最中だったらしく、少し咽ていた。
「アマキちゃん、さっき見せた手紙、どうやって、年齢と性別割り出したの?」
『どうって、単純に文章構成で。誤字や脱字は見受けられない、奇麗な文章だったから、今どきの若い子じゃないし、何より、使ってる単語や言い回しから、それなりに知的に思えたから…。』
「解ったよ、違和感。この文章、教科書みたいじゃない?読点は使わずに、カンマを使ってたり、訊ねてる文章なのに、『?』使わなかったり…。」
『…そっか、碌に教科書見てない私は、気が付かない訳だ…。犯人の目星は付いてるの?』
「付いてるけど、リュー君いない?盗聴器、探すの手伝ってほしいくて。」
『ゴメン、生憎今出払って…。』
『俺が行くよ。』
天木とは別に、男の声が奥の方で響いた。その声の主は、もちろん知って居る。日下部より、もしかしたら頼りになるかもしれない…。
彼が事務所を出て行き、宮間と二人だけになってしまった。
「アマキちゃん、嘘は感心しませんね…。本当は、あの写真見た時に、既に知ってたでしょ。」
「でも、犯人までたどり着いたのは、カエだよ?私は、文章を見て、思った事を行っただけ。」
気付いて欲しかったのは、この謎ではなく、私と柏木は違う土俵には立っていない事。
残念ながら、私は、彼女が格上だとも格下だとも思っていない。
それなのに、私に劣等感を覚え、張り合おうとするのは、お門違いも良い所…。
彼女には、私には持ち合わせていない才能が別にある。ない物は羨まず、手にしてるものだけで、頑張って欲しい…。
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