66 / 281
ファイルⅢ:行方不明調査
#23
しおりを挟む
七年前、天木が黒沢たちに拉致され、軟禁された事案。その時、天木に解かせるはずのパスワード。それが、失敗したから、復讐と言う意味で、『青木涼子』と言う、名前と背丈が似ている、少女を誘拐した。だが、それも失敗し、そっくりな、青木雅を誘拐してしまった。
そう思っていた。
「あなた方がやろうとしていた事は、罪の擦り付け。」
パスワードの解析。確かに天木程の頭脳があれば、簡単に解く事が出来るだろう。
だが、それは、専門的な知識や技術を持つ者にやらせても、結果は同じだろう。
天木にやらせたかった、理由は一つ。ファイルを彼女が開いた、その事実が欲しかった。
「アマキちゃんがそのファイルを開けば、自動で動く、ウイルス的なものを仕組んでたんでしょ?
で、今回は、それに含まれていたであろう、ツールを復元、そして、中身を偶然にもゲットできたの。」
流石に、時間はかかったが、ウチの美歌を舐めないで頂きたい。
元とは言え、前職はホワイトハッカー。その道の類なら、天木よりも知識があり、技術は日下部のそれを凌駕する。
一番最初に、その罠に感づいたのは、天木だった。それも、七年前既に。
だから、彼女はパソコンに触れることは、しなかった。
「青木涼子と言うのは、相手金融会社の総務部長の愛人との間にできた、隠し子。同じく、青木雅さんも。」
当然、そうなれば虐待だの、よからぬ噂も立つ。まぁ、立てたのは、彼等だろうが…。
その青木涼子を使って、実の父親に復讐と言う名の、シナリオで罪を擦り付ける事が、可能となる。
「でも、安心したよ。貴方が、天木涼子と日下部竜司を知らなくて。」
「どういうことだ?」
「貴方が捕まえてる、その娘、天木涼子じゃないよ。」
そう柏木が言い終えた後、秋山が抑えていた、ヤラの手が離れ、勢いよく、吹き飛んだ。
「切り札は、最初に切った方が負け。貴方が今まで相手していたのは、ホームズで一番強い人よ。」
「流石にフラフラではありますがね…。」
先ほどまで、そこで倒れていた、日下部の姿はなく、代わりに亮太が立っていた。
そのまま、ヤラまで近づいて行き、片手で彼の胸倉を掴み、持ち上げた。
「手負いのリューさん真似るの、美味かっただろ。」
「可笑しい…。さっきまで、完全にリュウだった…。」
「目に見えてた物が、全て真実とは限らない。」
「他人を騙すのと、変装は得意でね。」
亮太が、ヤラを投げ飛ばし、得意気に話した。
すると、コツコツと、空間内に靴音が響き渡る。先程突っ込んできた、六輪車の方からだ。
逆光で、よく見えないが、頭に包帯を巻いている。
「悪い、遅くなった。」
今度こそ、本物の日下部だった。
「ヤラ、手負いで悪いが、本気で行くぞ。」
そう呟いた瞬間、視界から、彼の姿が消えた。
いや、一瞬の内に、間合いに入り、ヤラの腹部に、蹴り込んでいた。
見ているだけでも、痛かった。その勢いのまま、ヤラは後ろに後退る。
「まずは、一本。」
「そうだ、これだ…。リュウ!十年ぶりに、潰してやる。」
そう思っていた。
「あなた方がやろうとしていた事は、罪の擦り付け。」
パスワードの解析。確かに天木程の頭脳があれば、簡単に解く事が出来るだろう。
だが、それは、専門的な知識や技術を持つ者にやらせても、結果は同じだろう。
天木にやらせたかった、理由は一つ。ファイルを彼女が開いた、その事実が欲しかった。
「アマキちゃんがそのファイルを開けば、自動で動く、ウイルス的なものを仕組んでたんでしょ?
で、今回は、それに含まれていたであろう、ツールを復元、そして、中身を偶然にもゲットできたの。」
流石に、時間はかかったが、ウチの美歌を舐めないで頂きたい。
元とは言え、前職はホワイトハッカー。その道の類なら、天木よりも知識があり、技術は日下部のそれを凌駕する。
一番最初に、その罠に感づいたのは、天木だった。それも、七年前既に。
だから、彼女はパソコンに触れることは、しなかった。
「青木涼子と言うのは、相手金融会社の総務部長の愛人との間にできた、隠し子。同じく、青木雅さんも。」
当然、そうなれば虐待だの、よからぬ噂も立つ。まぁ、立てたのは、彼等だろうが…。
その青木涼子を使って、実の父親に復讐と言う名の、シナリオで罪を擦り付ける事が、可能となる。
「でも、安心したよ。貴方が、天木涼子と日下部竜司を知らなくて。」
「どういうことだ?」
「貴方が捕まえてる、その娘、天木涼子じゃないよ。」
そう柏木が言い終えた後、秋山が抑えていた、ヤラの手が離れ、勢いよく、吹き飛んだ。
「切り札は、最初に切った方が負け。貴方が今まで相手していたのは、ホームズで一番強い人よ。」
「流石にフラフラではありますがね…。」
先ほどまで、そこで倒れていた、日下部の姿はなく、代わりに亮太が立っていた。
そのまま、ヤラまで近づいて行き、片手で彼の胸倉を掴み、持ち上げた。
「手負いのリューさん真似るの、美味かっただろ。」
「可笑しい…。さっきまで、完全にリュウだった…。」
「目に見えてた物が、全て真実とは限らない。」
「他人を騙すのと、変装は得意でね。」
亮太が、ヤラを投げ飛ばし、得意気に話した。
すると、コツコツと、空間内に靴音が響き渡る。先程突っ込んできた、六輪車の方からだ。
逆光で、よく見えないが、頭に包帯を巻いている。
「悪い、遅くなった。」
今度こそ、本物の日下部だった。
「ヤラ、手負いで悪いが、本気で行くぞ。」
そう呟いた瞬間、視界から、彼の姿が消えた。
いや、一瞬の内に、間合いに入り、ヤラの腹部に、蹴り込んでいた。
見ているだけでも、痛かった。その勢いのまま、ヤラは後ろに後退る。
「まずは、一本。」
「そうだ、これだ…。リュウ!十年ぶりに、潰してやる。」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【毎日20時更新】アンメリー・オデッセイ
ユーレカ書房
ミステリー
からくり職人のドルトン氏が、何者かに殺害された。ドルトン氏の弟子のエドワードは、親方が生前大切にしていた本棚からとある本を見つける。表紙を宝石で飾り立てて中は手書きという、なにやらいわくありげなその本には、著名な作家アンソニー・ティリパットがドルトン氏とエドワードの父に宛てた中書きが記されていた。
【時と歯車の誠実な友、ウィリアム・ドルトンとアルフレッド・コーディに。 A・T】
なぜこんな本が店に置いてあったのか? 不思議に思うエドワードだったが、彼はすでにおかしな本とふたつの時計台を巡る危険な陰謀と冒険に巻き込まれていた……。
【登場人物】
エドワード・コーディ・・・・からくり職人見習い。十五歳。両親はすでに亡く、親方のドルトン氏とともに暮らしていた。ドルトン氏の死と不思議な本との関わりを探るうちに、とある陰謀の渦中に巻き込まれて町を出ることに。
ドルトン氏・・・・・・・・・エドワードの親方。優れた職人だったが、職人組合の会合に出かけた帰りに何者かによって射殺されてしまう。
マードック船長・・・・・・・商船〈アンメリー号〉の船長。町から逃げ出したエドワードを船にかくまい、船員として雇う。
アーシア・リンドローブ・・・マードック船長の親戚の少女。古書店を開くという夢を持っており、謎の本を持て余していたエドワードを助ける。
アンソニー・ティリパット・・著名な作家。エドワードが見つけた『セオとブラン・ダムのおはなし』の作者。実は、地方領主を務めてきたレイクフィールド家の元当主。故人。
クレイハー氏・・・・・・・・ティリパット氏の甥。とある目的のため、『セオとブラン・ダムのおはなし』を探している。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
四次元残響の檻(おり)
葉羽
ミステリー
音響学の権威である変わり者の学者、阿座河燐太郎(あざかわ りんたろう)博士が、古びた洋館を改装した音響研究所の地下実験室で謎の死を遂げた。密室状態の実験室から博士の身体は消失し、物証は一切残されていない。警察は超常現象として捜査を打ち切ろうとするが、事件の報を聞きつけた神藤葉羽は、そこに論理的なトリックが隠されていると確信する。葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、奇妙な音響装置が残された地下実験室を訪れる。そこで葉羽は、博士が四次元空間と共鳴現象を利用した前代未聞の殺人トリックを仕掛けた可能性に気づく。しかし、謎を解き明かそうとする葉羽と彩由美の周囲で、不可解な現象が次々と発生し、二人は見えない恐怖に追い詰められていく。四次元残響が引き起こす恐怖と、天才高校生・葉羽の推理が交錯する中、事件は想像を絶する結末へと向かっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる