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ファイルⅢ:行方不明調査
#7
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柏木さんに着いたのは昼前だった。思っていたよりも、数倍良い所に住んでいた…。
マンションの入り口は完全にオートロックで、エントランスも広い。外からだと、数えるのが嫌になるほど、階層が多い。エレベーターを見ると一番上が五十階らしい。
「すごい所住んでますね…。」
エレベーターが下りてくる間、思わず、呟いてしまった。
「流石に班長となると、もらえる金額も多くてね。あたしより、アマキちゃんの方が稼いでいるけどね。」
エレベーターのドアが開き、乗り込んだ。柏木さんは三二階のボタンを押し、ドアを閉めた。
部屋のドアを開け中に入れてくれた。
「お邪魔します。」
「ただいまー。」
すると奥の方から、聞いたことのある声が響いた。
「もう帰ったんですか?って、クドーさんまで…。」
ぱたぱたと忙しなく走ってきたのは、身長は、天木さんと変わらないくらいの大きさだ。
服装は上下白いスウェットに黄色いエプロンをしている。眼鏡の奥に見える瞳は左右で色が若干違う。顔は見たことないが、声で分かった。
「ひょっとして、ミカさんですか?」
「あ、そうか。直接会うのは初めてですね。お察しの通りです。」
美歌さんが丁寧にお辞儀した。工藤刑事も、釣られてお辞儀した。
「今、あたしこんなんだから、色々手伝ってもらってるの。」
柏木さんが左腕をちらつかせながら説明した。彼女は靴を脱ぎ、スリッパも履かず、裸足のまま、部屋の中に入って行った。一方、美歌さんはスリッパを、慣れた手つきで出してくれた。
リビングに入ると、大きめの水槽が目に入る。水草や石がきれいに並ぶ水の中を色とりどりの小魚たちが泳ぎ回っている。
「クドーさんも何か飲みます?」
美歌さんキッチンから顔だけ、ひょっこりと出し、訊ねてきた。柏木さんは、持っていたコンビニ袋からコーラを取り出していた。それを両足で起用に挟み、キャップを外そうとしていた。
「あぁダメです!私がやりますから!」
美歌さんがそれに気付いて、止めようとしたが、時既に遅し。プシュっと、爽快感ある音とともに、キャップが開いた。
「もう…。お行儀悪いですよ…。」
「これくらい、やらせてよ。なんでもやってもらってちゃ、悪いから。」
なるほど、それで裸足だったのかと、一人で納得した。
その後、紅茶を淹れてもらい、本題に入った。柏木班の活動許可が下りた話を聞いて、美歌さんもリンさんと同じ反応をしていた。
しかし、昨日の件を聞いたあたりで、彼女なりに予想していたらしく、パソコンや必要な機器を準備してくれていたらしい。
すると、柏木さんのスマホに着信が入った。相手は亮太さんだった。それをハンズフリーにし、テーブルの上に置いた。
「俺は中に入るわけには行きませんので、この状態で良いですか?」
「別に気にしないのに。」
「できれば、気にして欲しいです。」
「じゃぁ、一足先にお願していい?」
「構いません。」
「アマキちゃんを追って。今、あの娘の居場所突き止められるの、貴方しか居ないから。」
亮太さんは『了解』とだけ言い、電話を切った。
「天木さんを追うって?」
工藤刑事が不思議そうな顔で柏木さんを聞いた。今追ってるのは、日下部さん達に怪我を負わせた犯人。なのに、どうして天木さんを追うのか疑問だった。
ゆっくりと柏木さんが説明してくれた。
「あの人は、もうとっくに動いてるよ。しかも独断で。
それに、リュー君がどうして、ああなったのかも、知ってると思う。だから、リョータ君にお願いした。」
マンションの入り口は完全にオートロックで、エントランスも広い。外からだと、数えるのが嫌になるほど、階層が多い。エレベーターを見ると一番上が五十階らしい。
「すごい所住んでますね…。」
エレベーターが下りてくる間、思わず、呟いてしまった。
「流石に班長となると、もらえる金額も多くてね。あたしより、アマキちゃんの方が稼いでいるけどね。」
エレベーターのドアが開き、乗り込んだ。柏木さんは三二階のボタンを押し、ドアを閉めた。
部屋のドアを開け中に入れてくれた。
「お邪魔します。」
「ただいまー。」
すると奥の方から、聞いたことのある声が響いた。
「もう帰ったんですか?って、クドーさんまで…。」
ぱたぱたと忙しなく走ってきたのは、身長は、天木さんと変わらないくらいの大きさだ。
服装は上下白いスウェットに黄色いエプロンをしている。眼鏡の奥に見える瞳は左右で色が若干違う。顔は見たことないが、声で分かった。
「ひょっとして、ミカさんですか?」
「あ、そうか。直接会うのは初めてですね。お察しの通りです。」
美歌さんが丁寧にお辞儀した。工藤刑事も、釣られてお辞儀した。
「今、あたしこんなんだから、色々手伝ってもらってるの。」
柏木さんが左腕をちらつかせながら説明した。彼女は靴を脱ぎ、スリッパも履かず、裸足のまま、部屋の中に入って行った。一方、美歌さんはスリッパを、慣れた手つきで出してくれた。
リビングに入ると、大きめの水槽が目に入る。水草や石がきれいに並ぶ水の中を色とりどりの小魚たちが泳ぎ回っている。
「クドーさんも何か飲みます?」
美歌さんキッチンから顔だけ、ひょっこりと出し、訊ねてきた。柏木さんは、持っていたコンビニ袋からコーラを取り出していた。それを両足で起用に挟み、キャップを外そうとしていた。
「あぁダメです!私がやりますから!」
美歌さんがそれに気付いて、止めようとしたが、時既に遅し。プシュっと、爽快感ある音とともに、キャップが開いた。
「もう…。お行儀悪いですよ…。」
「これくらい、やらせてよ。なんでもやってもらってちゃ、悪いから。」
なるほど、それで裸足だったのかと、一人で納得した。
その後、紅茶を淹れてもらい、本題に入った。柏木班の活動許可が下りた話を聞いて、美歌さんもリンさんと同じ反応をしていた。
しかし、昨日の件を聞いたあたりで、彼女なりに予想していたらしく、パソコンや必要な機器を準備してくれていたらしい。
すると、柏木さんのスマホに着信が入った。相手は亮太さんだった。それをハンズフリーにし、テーブルの上に置いた。
「俺は中に入るわけには行きませんので、この状態で良いですか?」
「別に気にしないのに。」
「できれば、気にして欲しいです。」
「じゃぁ、一足先にお願していい?」
「構いません。」
「アマキちゃんを追って。今、あの娘の居場所突き止められるの、貴方しか居ないから。」
亮太さんは『了解』とだけ言い、電話を切った。
「天木さんを追うって?」
工藤刑事が不思議そうな顔で柏木さんを聞いた。今追ってるのは、日下部さん達に怪我を負わせた犯人。なのに、どうして天木さんを追うのか疑問だった。
ゆっくりと柏木さんが説明してくれた。
「あの人は、もうとっくに動いてるよ。しかも独断で。
それに、リュー君がどうして、ああなったのかも、知ってると思う。だから、リョータ君にお願いした。」
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