探偵注文所‐アラカルト‐

調査ファイル１：素行調査

#13

　『協力するのは別に構わないんだけど、何か戦略か計画があるの？』
　柏木さんがそう聞いてきた。
　「取り敢えず、アミちゃんたちがリューさんと合流するまで、監視続行。まぁ二人をというよりは、彼女らの“周り”をですが…。
　合流したら、ミカを回収してもらって、港区と江東区の方の空き倉庫と廃工場を調べてほしいです。」
　『空き倉庫と廃工場？』
　「はい。少し前に、神治組の声が掛かった人物が、港区と江東区で3人逮捕されてるんですよ。容疑は詐欺。本人たちは、“資金集め”って供述したらしいですが、可笑しいんですよ。資金集めだけだったら、別にわざわざ関東に出てまでやる必要がありません。まぁ足が付かない様にって意味では、無くはないですが、わざわざ組織の名前が明らかになってしまってるので、その線は消えます。
　唯一残っているのは、抗争のための目くらましが妥当でしょう。」
　「なるほどね…。つまり、その辺りにまだ警察が発見してない事務所とかアジトがあるってことね？」
　美歌額の汗をぬぐいながらそう言った。
　「そういうこと…。こっちはリューさんも、居るから、ある程度人を抜いても問題ないと思うから、3人はそっちを調べてクドーさん等と連携して、情報の提供を頼む。
　リンさんは、女の子の現在位置から、狙撃できそうなポイントを探して、リョータさんに情報を送って下さい。」
　『狙撃って…。』
　「さっきも言った通り、神治組は手段を択ばないって。どこから狙ってるか分からない以上、少なくとも“目”が必要です。あっても損はない情報だと思います。」
　『…了解。』
　暫く沈黙があった後、リンさんは了承した。
　『…それは良いんだけど、その倉庫と廃工場、どうやって調べるのよ。港区と江東区ってかなりの面積あるのよ？ローラーするにも人手も時間足りないし、当てずっぽうってでも、かなりの強運がないと引き当たらないし…。』
　熊谷が落胆した様にそう言った。熊谷は、アマキ班の一員だったはずだが、少し察しが悪い様だ…。
　「さっき言っただろ…。詐欺事件で逮捕されたってことは、かなりの頻度で連絡を取り合うだろ。そうなれば、短時間で、しかも大量に連絡を取り合っているエリアがあるってことだ。それを美歌なら調べられる。そうだろ？」
　「まぁね…。電話番号は分からないから、特定まではできないけど、基地局を絞れれば、位置ならかなり絞れる。」
　なるほど！と熊谷の声が聞こえた。
　「そういうこと。頼めるか？」
　「任せて。場所調べるだけなら、簡単だから。」
　「頼りにしてる。」
　そう言い、暫くすると、コンビニに、京子と女の子が現れた。