探偵注文所‐アラカルト‐

八雲 銀次郎

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調査ファイル1:素行調査

#7

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 私の自宅は、事務所から15分程歩いたところにあるのだが、いつもなら徒歩で帰るのだが、流石に小さい子を知らない街で歩かせる分けにもいかず、仕方なく日下部に車で送って貰うことにした。
 「ねぇ、帰りに何か買って帰るけど、何か食べたいものある?」
 車に乗る直前、自宅の冷蔵庫には、数本の缶チューハイとおつまみ用のチーズしか入っていないことを思い出した。
 自分の名誉のために先に断っておくが、今日、静空ちゃんが来なくても帰宅途中に買い物に寄るつもりでいた。決して、ズボラで普段は弁当や総菜を買っているわけではない。今日は、本当にたまたまで…。
 「アミさん、断りが長いと言い訳に聞こえるので、そこら辺で辞めた方が良いですよ。」
 バイクに跨った、亮太にそう言われたため、仕方なく…。
 「だから…。もう、いいです…。静空ちゃん、何か食べたいものない?あのお姉さんが、なんでもご馳走してくれるらしいから。」
 とはいえ、このくらい小さい子が、食べ物の好き嫌いはあっても、自分の好きな料理は、まだ知らないのでは…。というより、
 「静空ちゃんって、いくつ?」
 見た目的には、2~3歳程度だと思うが…。
 静空ちゃんは、指を3本立ててた。
 「3歳か…。」
 「来年から年中に上がるから、それに合わせて、北海道に移住する算段らしい。」
 秋山が補足した。
 「なるほどね…。それじゃなおさら、料理名なんてわかる訳もないか…。」
 まぁ、それはスーパーに行ってから考えても良いか…。
 そう日下部に伝え、私たちはそれぞれ、発信させた。

 「食べたいものあったら教えてね。」
 大したものは作れないが、子どもが食べそうなものくらいなら、何とか作れるはずだ…。
 「…ちゅるちゅる…。」
 静空ちゃんは、消え入るような声でそう言った。
 「ちゅるちゅる?」
 というと、大体思い浮かぶのは麺類だが、料理の数は山ほどある。
 ラーメンにうどん、パスタに春雨…。パッと思い付いただけでもいくつかあるのに加え、そこから料理となると、絞り切れない…。
 「ちゅるちゅるって、どんなの?味とか匂いとか、色とか…。」
 「…あかいの…。」
 となると、おそらくパスタだろう…。味や匂いはともかく、色まで特定できれば、スーパー内を歩けば、答えが出てくるはずだ…。
 そう思っていたのだが、意外とこれが難題だった。
 最初は、ナポリタンか、ミートソースのスパゲッティだと思っていたのだが、違ったらしい…。
 パスタソースのイラストを見せても、彼女は、首を縦には振らなかった。
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