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第三部
第七章 二度目の恋と最後の愛 10
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シーナが目を覚ますと、床に正座をさせられたカインの姿が目に入った。
目をこすりながら起き上がると、シエテとフェルエルタが抱きついてきた。
「シーたん!!大丈夫?苦しいところはない?痛いところは?気持ち悪くない?大丈夫?」
「シーちゃん大丈夫?気持ち悪くない?気持ち悪いよね?大丈夫?うがいしようか?うがいしようね?」
二人の剣幕にシーナは瞬きを繰り返すだけだった。
そして、気を失う前のことを思い出してかっと顔が熱くなるのが分かった。
自然に唇に触れたシーナは、無意識に口を開いていた。
「そっか、私。カイン様に口を吸われて……。口を吸われた?えっ、えっ?それって、唇と唇がくっついたってことで……。わっ、私……、カイン様とキスしちゃったんだ……。キスがあんなにすごいって知らなかった……。でも、凄く嬉しい」
シーナの独り言が聞こえたシエテとフェルエルタは、ハイライトが消えた瞳でカインを殺意のこもった目で睨みつけていた。
カインは、シーナがあの口付けを嫌がってはいない上、喜んでいることに歓喜した。
現実に戻ってきたシーナは、カインが何故正座させられているのかと首を傾げていると、ミュルエナが丁寧に説明してくれたのだった。
ミュルエナ曰く、部屋を出ていった二人が心配で、影から様子を見ていたら大変なことになっていたので止めに入ったということだった。
そして、シーナが気を失うほど激しい口付けをしたことへのお仕置きだと説明したのだ。
実際には、下世話なミュルエナが覗きに行こうとしたところ、シエテたちがそれに気が付き後をついてきたという訳だ。
そして、二人がイチャつきだして、カインがシーナにキスをしだしたところまでは良かったのだが、驚くシーナを他所にカインは舌を入れ始めたところでシエテとフェルエルタがブチギレて覗き部屋を飛び出していったのだ。
ミュルエナが、それを追いかけて行くとカインから引き剥がした気を失ったシーナを抱きかかえたシエテとフェルエルタが、カインに「ケダモノ!!死ね!!」「ロリコン!!死ね!!」と言いながら睨みつけていたのだ。
ミュルエナは、そんなカインにニヤニヤしつつもそれを声には出さずに言ったのだ。
「ああ、やっぱり~。美少女ちゃんのヤワヤワお口を吸って、ベロ入れましたね~。これはお仕置きが必要ですね~」
そう言ってから、とりあえずとカインに正座をさせたのだった。
ミュルエナの説明を聞いたシーナは、恥ずかしそうにしながらも抱きつくシエテとフェルエルタに言ったのだ。
「にーに、お姉ちゃん。苦しくて意識を失っちゃったけど、私はカイン様から与えられる苦しみなら受け入れられるよ。それに、これからは夫婦になるんだから、もっと大変なことだってきっとあるよ。でも、私はそれでもカイン様と一緒に乗り越えるから。だから二人とも私は大丈夫だよ」
そう言って、二人に微笑みかけたのだ。
その笑顔を見たシエテは、長い間見守ってきた大切な人の恋が実り、愛が育まれる瞬間を目の当たりにして寂しいような嬉しいような複雑な気持ちになった。
そんなシエテを知ってか知らずか、シーナはそんなシエテを抱きしめてから小さな声でシエテにだけ聞こえるように言ったのだ。
「にーに、ありがとう。ごめんね。でも、私はカイン様と歩くって決めたの。だからもう大丈夫だよ。今度は、にーにが自分の幸せのために歩いてほしいの。大丈夫だよ、にーには私のお兄ちゃんなんだから」
「シーたん……。分かった。これからは少し自分のことも考えてみるよ。シーナに心配をかけないようにな。だって、俺はシーナのお兄ちゃんなんだから」
そう言って、シーナとシエテは額同士をくっつけて微笑みあったのだった。
それから、数日間王都を観光した後に揃ってディアロ領に戻っていったのだった。
カインは、領地に戻ってから一番にシーナの両親に挨拶に向かった。
「お嬢さんとの結婚を許してください」
両親はカインの登場に驚きはしても、その言葉にはニコニコしながら言ったのだ。
「そうですか、領主様。うちの娘をよろしくおねがいします」
「あらあら、うちの娘も領主様のこと好いていたのね~。領主様の片思いだとばっかり思っていたけど、良かったわ~」
「おいおい、俺は、シーナも領主様に気があると思っていたぞ~」
「そうかしら~、あなたもシーナの気持ちには気づいてなかったわよ~。あの子の鈍感はあなた譲りよ~」
「いいや、鈍感で可愛いところはお前に似てるよ」
そう言って、カインの片思いがダダ漏れだったと言いながらイチャつき出したのだった。
カインは、自分の気持がシーナに伝わる前から、知られていたことに羞恥で顔を赤くしていたが、すんなりと結婚を許してもらえたことに安堵していた。
シーナの両親から結婚の許可をもらった後のカインの行動は早かった。
即座に王都に手紙を書き、シーナと結婚する旨を伝えた。
あまりに早いカインの行動に国王と王妃は、密かに黒い笑みを浮かべたのだった。
幸いなことに、アメジシスト王国では貴族の結婚について緩いところがあったため、シーナとの結婚はすんなりと認められたのだった。
カインは、早くシーナと夫婦として一緒に暮らしたいという思いから、大至急結婚の準備を進めていた。
結婚式は、貴族にしては珍しく小規模なものだった。
そのため招待客は、少数だった。
シーナの両親と友人。カイン側は、世話になったイグニシス公爵家にだけ招待状を送った。
イグニシス公爵家からは、後継ぎであり、カインの悪友でもあるセシル・イグニシスが来ることになっていた。
あっという間に準備期間は過ぎ、結婚式当日となった。
目をこすりながら起き上がると、シエテとフェルエルタが抱きついてきた。
「シーたん!!大丈夫?苦しいところはない?痛いところは?気持ち悪くない?大丈夫?」
「シーちゃん大丈夫?気持ち悪くない?気持ち悪いよね?大丈夫?うがいしようか?うがいしようね?」
二人の剣幕にシーナは瞬きを繰り返すだけだった。
そして、気を失う前のことを思い出してかっと顔が熱くなるのが分かった。
自然に唇に触れたシーナは、無意識に口を開いていた。
「そっか、私。カイン様に口を吸われて……。口を吸われた?えっ、えっ?それって、唇と唇がくっついたってことで……。わっ、私……、カイン様とキスしちゃったんだ……。キスがあんなにすごいって知らなかった……。でも、凄く嬉しい」
シーナの独り言が聞こえたシエテとフェルエルタは、ハイライトが消えた瞳でカインを殺意のこもった目で睨みつけていた。
カインは、シーナがあの口付けを嫌がってはいない上、喜んでいることに歓喜した。
現実に戻ってきたシーナは、カインが何故正座させられているのかと首を傾げていると、ミュルエナが丁寧に説明してくれたのだった。
ミュルエナ曰く、部屋を出ていった二人が心配で、影から様子を見ていたら大変なことになっていたので止めに入ったということだった。
そして、シーナが気を失うほど激しい口付けをしたことへのお仕置きだと説明したのだ。
実際には、下世話なミュルエナが覗きに行こうとしたところ、シエテたちがそれに気が付き後をついてきたという訳だ。
そして、二人がイチャつきだして、カインがシーナにキスをしだしたところまでは良かったのだが、驚くシーナを他所にカインは舌を入れ始めたところでシエテとフェルエルタがブチギレて覗き部屋を飛び出していったのだ。
ミュルエナが、それを追いかけて行くとカインから引き剥がした気を失ったシーナを抱きかかえたシエテとフェルエルタが、カインに「ケダモノ!!死ね!!」「ロリコン!!死ね!!」と言いながら睨みつけていたのだ。
ミュルエナは、そんなカインにニヤニヤしつつもそれを声には出さずに言ったのだ。
「ああ、やっぱり~。美少女ちゃんのヤワヤワお口を吸って、ベロ入れましたね~。これはお仕置きが必要ですね~」
そう言ってから、とりあえずとカインに正座をさせたのだった。
ミュルエナの説明を聞いたシーナは、恥ずかしそうにしながらも抱きつくシエテとフェルエルタに言ったのだ。
「にーに、お姉ちゃん。苦しくて意識を失っちゃったけど、私はカイン様から与えられる苦しみなら受け入れられるよ。それに、これからは夫婦になるんだから、もっと大変なことだってきっとあるよ。でも、私はそれでもカイン様と一緒に乗り越えるから。だから二人とも私は大丈夫だよ」
そう言って、二人に微笑みかけたのだ。
その笑顔を見たシエテは、長い間見守ってきた大切な人の恋が実り、愛が育まれる瞬間を目の当たりにして寂しいような嬉しいような複雑な気持ちになった。
そんなシエテを知ってか知らずか、シーナはそんなシエテを抱きしめてから小さな声でシエテにだけ聞こえるように言ったのだ。
「にーに、ありがとう。ごめんね。でも、私はカイン様と歩くって決めたの。だからもう大丈夫だよ。今度は、にーにが自分の幸せのために歩いてほしいの。大丈夫だよ、にーには私のお兄ちゃんなんだから」
「シーたん……。分かった。これからは少し自分のことも考えてみるよ。シーナに心配をかけないようにな。だって、俺はシーナのお兄ちゃんなんだから」
そう言って、シーナとシエテは額同士をくっつけて微笑みあったのだった。
それから、数日間王都を観光した後に揃ってディアロ領に戻っていったのだった。
カインは、領地に戻ってから一番にシーナの両親に挨拶に向かった。
「お嬢さんとの結婚を許してください」
両親はカインの登場に驚きはしても、その言葉にはニコニコしながら言ったのだ。
「そうですか、領主様。うちの娘をよろしくおねがいします」
「あらあら、うちの娘も領主様のこと好いていたのね~。領主様の片思いだとばっかり思っていたけど、良かったわ~」
「おいおい、俺は、シーナも領主様に気があると思っていたぞ~」
「そうかしら~、あなたもシーナの気持ちには気づいてなかったわよ~。あの子の鈍感はあなた譲りよ~」
「いいや、鈍感で可愛いところはお前に似てるよ」
そう言って、カインの片思いがダダ漏れだったと言いながらイチャつき出したのだった。
カインは、自分の気持がシーナに伝わる前から、知られていたことに羞恥で顔を赤くしていたが、すんなりと結婚を許してもらえたことに安堵していた。
シーナの両親から結婚の許可をもらった後のカインの行動は早かった。
即座に王都に手紙を書き、シーナと結婚する旨を伝えた。
あまりに早いカインの行動に国王と王妃は、密かに黒い笑みを浮かべたのだった。
幸いなことに、アメジシスト王国では貴族の結婚について緩いところがあったため、シーナとの結婚はすんなりと認められたのだった。
カインは、早くシーナと夫婦として一緒に暮らしたいという思いから、大至急結婚の準備を進めていた。
結婚式は、貴族にしては珍しく小規模なものだった。
そのため招待客は、少数だった。
シーナの両親と友人。カイン側は、世話になったイグニシス公爵家にだけ招待状を送った。
イグニシス公爵家からは、後継ぎであり、カインの悪友でもあるセシル・イグニシスが来ることになっていた。
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