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第二部
第四章 幕間
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数日前、正確に言うとカインが屋敷に帰ってきた日からシーナの様子がおかしかったが、シーナがそれを隠そうとしていたことに気がついていたシエテは悩んでいた。
きっと、素直に答えてはくれないだろうと。
シエテが心配していることには気がついているようで、何かを隠すように「ちょっと、怖い夢を見ちゃっただけだよ」と、気丈に笑ったのを見て、心がざわついた。
そうこうしているうちに、数日が過ぎてしまったというわけだった。
そんなある日、シーナの楽しみにしている蜂蜜採取の日を迎えた。
カインに許可を得て造った養蜂場で、蜂蜜を搾るためにその場所に向かった。
最初は、シエテとシーナの二人で蜂蜜を搾るはずだったが、何故かそれを聞きつけたクリストフとフェルエルタが、手伝いにやってきていた。
巣箱から蜂の巣を外し、圧搾機で蜂蜜を搾る作業をしていると、思いの外沢山蜂蜜が取れそうだった。
そのため、最初に用意していた壺だけでは足りなくなりそうだったので、空の壺を取りに向かうことになった。
クリストフの提案した、【あみだくじ】という方法で誰が取りに行くのか決めた結果、シエテとフェルエルタの二人で向かうことになった。
空いている壺を家から持って作業小屋に戻ってくると、小屋の前でカインが中の様子を窺っているのが目に入った。
(はぁ。領主様は何をしているんだ?)
そんなカインに呆れつつ、退けるように言うと何故か焦った様子で何かを言い淀んだ。
シエテは、イラッとしつつも早くシーナの元に行きたいとカインを押し退けて中に入った。
中では、シーナが笑顔でシエテを迎えてくれた。
様子を聞きつつ持ってきた壺と、蜂蜜がたっぷり入った壺を入れ替えると、シーナがクリストフの事のことで頬を膨らませながら言った。
「聞いてよにーに!クリストフったら、搾り機に一気に蜂の巣を入れて搾ろうとするんだよ!搾り機が壊れちゃわないか心配してるのに、どんどん入れて搾っちゃって。蜂蜜を入れる壺をにーにたちが持ってきてくれる待ちたかったのに、零れた分はどんどん舐めちゃうし。受け皿に零れた蜂蜜も舐めちゃうし」
(あぁ、クリフはバカだから、加減を知らない。バカでアホだから仕方ない)
「え~、だってシーナちゃん。それは舐めてもいいって言ったよね?」
(お前は……。どうしてそうやってシーたんを困らせるんだ。まったく)
「言ったけど、作業が終わってからちゃんとスプーンで掬ってってことだよ?どうして、受け皿のそのまま舐めちゃったの?」
(直接皿を舐めるなんて、こいつは獣なのか?人間の矜持はないのか?まったく)
「だって、トロトロで美味しそうだったんだよ!それに、作業前に全部洗ってるし、直接舐めても大丈夫だよ!!」
(そういう問題ではない。はぁ)
「めっ!お行儀悪いことしちゃ駄目なの」
(シーたんの「めっ!」可愛いなぁ)
「わかった。それなら、俺もちゃんと反省する。だから、結婚しよう!」
(全然分かってない!!はぁ、こいつは、本当にバカでアホでアホだな)
二人の会話に心のなかで相槌を打ちつつ、全員で協力して残りの蜂の巣も全て搾っていった。
作業が終わり、さて戻ろうかと、思ったところでカインの存在を思い出したシエテは、一応何故ここにいるのかを聞くことにした。
「そう言えば、領主様?どうしてここに?」
呆然とした様子だったカインは、その言葉を聞いて、はっとした様子で顔を上げた。
それからカインは、作業小屋の中に入ってきて、シーナに視線をやった。
視線を向けられたシーナは表情を強張らせてから、カインから逃れるように作業小屋から飛び出して行ってしまった。
「にーに、ごめん。ちょっと……、外の空気吸ってくる」
シエテに一言残して駆け出したシーナをクリストフが直ぐに追いかけていった。
それに続こうとしたシエテだったが、フェルエルタの思わぬ言葉に動きを止めた。
「領主様。追いかけないで。愚弟のターンだから(頑張れ、愚弟。シーちゃんと義理の姉妹になるためには、愚弟の頑張りが必須。よくわからないけど、今がチャンスな気がする。愚弟よ。確実に、このチャンスを掴み取るのよ)」
愚弟のターンってなんだ?と考えつつも、フェルエルタの余計な一言でカインが追いかけて行ってしまったのを見てシエテは、ため息を吐きつつフェルエルタに視線を向けた。
「おい、フェルエルタ。今のどういう意味だ?」
「どうもない。全部シーちゃんのため(シーちゃんは、領主様のこと避けた。領主様の存在は、危険な気がする。愚弟じゃ、シーちゃんと全然釣り合わないけど、その分は私が埋める。そう考えると、全部丸く収まる。うん。良い案)」
「は?そう言って、お前の欲望ダダ漏れだから。シーたんは、シーたんを心から大事にできる奴にしか任せられない」
「なら、(私は)適任(可愛いシーちゃんを大切に出来る!と断言できる!!問題ない)」
「全然、問題ありまくりだろうが!!」
フェルエルタの謎な思考に頭が痛くなりつつも、これ以上問題を増やされたくないという思いもあって、それ以上は敢えて突っ込まずにシエテは走り出した。
作業小屋から、それなりの距離を走ったところで、シーナとクリストフを見つけたシエテは直ぐに二人に駆け寄ろうとしたが、後ろを付いてきていたフェルエルタにそれを阻止されてしまった。
シエテの前に立ち塞がったフェルエルタは、無表情で言った。
「今、いい雰囲気。行かせない(愚弟が乙女心をいい感じに揺さぶっているから、シエテは行っちゃ駄目)」
「は?いい雰囲気って?まさかあり得ない。あのチキン道化にそんな事出来るか」
「黙って。あれ。いい感じ(間違いない。シーちゃんは思わぬ告白にときめきを感じているはず。たとえ愚弟が相手だったとしても)」
そう言われて、シエテは二人に注意を向けた。すると、クリストフがたしかにいつもよりも告白めいた台詞と、必死そうな表情をしているのが見えた。
「シーナちゃん!!どうして、どうして。俺にしなよ!俺なら、シーナちゃんを大事にするよ!」
シエテは、言わせるかよ!!と言わんばかりに、間に入ろうとしたが、目の前にいるフェルエルタにまたしても阻止されてしまったのだ。
フェルエルタは、シエテに足払いを食らわせてから流れるように、腕ひしぎ逆十字固めを極めたのだ。
「愚弟の告白終わるまでの辛抱(告白がうまく行けば、シーちゃんは私の義理の妹。愚弟、ここは気張るのよ)」
「なっ、ちょ!くっ、腕が!!」
シエテは、初めての関節技にどう対処して良いのか分からずジタバタするが、ジタバタすればするほど関節がギチギチに極まっていった。
シエテの関節が限界だと悲鳴を上げた瞬間だった。
「ぬっ殺す!!愚弟!!ぬっコロコロ殺す(だっ、誰がそこまでしていいといった!!許さん、許さんぞ!!)」
そう言って、無理矢理の体勢でシーナとクリストフの前に腕ひしぎ逆十字固めを極めた状態でフェルエルタが転がり出たのだ。
関節を極められていたシエテは、押し倒されている可愛い妹の姿が目に入り、痛みも一瞬吹き飛んだが、フェルエルタが暴れるせいで、関節が先程よりも悲鳴を上げていた。
クリストフのやったことは絶対に許せないが、反対側の茂みに隠れていたカインが目に入ったシエテは、怪我の功名という言葉が頭に浮かんだ。
カインが何もせずにその場を去っていくのを見て、カインを牽制することが出来たと考えるとある意味これはこれで、良かったのだと考えることにした。
しかし、いつまでも関節を極め続けるフェルエルタにそろそろ切れそうだった。
「フェルエルタ~~~~。いい加減にしろ!!!!」
そう言われた、フェルエルタは慌てる素振りもなく関節技を解いた。
そして、無表情で小首をかしげながら言った。
「(本気で)忘れてた(てへぺろ(・ω<))」
「いや、普通忘れないからな!!それに、首を傾げても、凄んでるようにしか見えないから、逆に怖いわ!!」
無表情で首を傾げてシエテを見る姿は、丸でメンチを切るチンピラのようにシエテの瞳には映ったのだった。
そんな中、クリストフがシエテとフェルエルタに不思議そうな表情で言った。
「そう言えば、姉ちゃんはどうしてシエテに腕ひしぎ逆十字固めを極めてたんだ?」
フェルエルタが、普通の女性よりも長身だったとしてもだ。仮に、油断していたからと言ってもだ。
簡単に転ばされて、よく分からない技で身動きを封じられたなど口が裂けても言いたくなかったシエテは、視線を泳がせながら極論を口にした。
「シーたんのため」
そう、シエテの行動の全ては可愛いシーナの為なのだ。
きっと、素直に答えてはくれないだろうと。
シエテが心配していることには気がついているようで、何かを隠すように「ちょっと、怖い夢を見ちゃっただけだよ」と、気丈に笑ったのを見て、心がざわついた。
そうこうしているうちに、数日が過ぎてしまったというわけだった。
そんなある日、シーナの楽しみにしている蜂蜜採取の日を迎えた。
カインに許可を得て造った養蜂場で、蜂蜜を搾るためにその場所に向かった。
最初は、シエテとシーナの二人で蜂蜜を搾るはずだったが、何故かそれを聞きつけたクリストフとフェルエルタが、手伝いにやってきていた。
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そのため、最初に用意していた壺だけでは足りなくなりそうだったので、空の壺を取りに向かうことになった。
クリストフの提案した、【あみだくじ】という方法で誰が取りに行くのか決めた結果、シエテとフェルエルタの二人で向かうことになった。
空いている壺を家から持って作業小屋に戻ってくると、小屋の前でカインが中の様子を窺っているのが目に入った。
(はぁ。領主様は何をしているんだ?)
そんなカインに呆れつつ、退けるように言うと何故か焦った様子で何かを言い淀んだ。
シエテは、イラッとしつつも早くシーナの元に行きたいとカインを押し退けて中に入った。
中では、シーナが笑顔でシエテを迎えてくれた。
様子を聞きつつ持ってきた壺と、蜂蜜がたっぷり入った壺を入れ替えると、シーナがクリストフの事のことで頬を膨らませながら言った。
「聞いてよにーに!クリストフったら、搾り機に一気に蜂の巣を入れて搾ろうとするんだよ!搾り機が壊れちゃわないか心配してるのに、どんどん入れて搾っちゃって。蜂蜜を入れる壺をにーにたちが持ってきてくれる待ちたかったのに、零れた分はどんどん舐めちゃうし。受け皿に零れた蜂蜜も舐めちゃうし」
(あぁ、クリフはバカだから、加減を知らない。バカでアホだから仕方ない)
「え~、だってシーナちゃん。それは舐めてもいいって言ったよね?」
(お前は……。どうしてそうやってシーたんを困らせるんだ。まったく)
「言ったけど、作業が終わってからちゃんとスプーンで掬ってってことだよ?どうして、受け皿のそのまま舐めちゃったの?」
(直接皿を舐めるなんて、こいつは獣なのか?人間の矜持はないのか?まったく)
「だって、トロトロで美味しそうだったんだよ!それに、作業前に全部洗ってるし、直接舐めても大丈夫だよ!!」
(そういう問題ではない。はぁ)
「めっ!お行儀悪いことしちゃ駄目なの」
(シーたんの「めっ!」可愛いなぁ)
「わかった。それなら、俺もちゃんと反省する。だから、結婚しよう!」
(全然分かってない!!はぁ、こいつは、本当にバカでアホでアホだな)
二人の会話に心のなかで相槌を打ちつつ、全員で協力して残りの蜂の巣も全て搾っていった。
作業が終わり、さて戻ろうかと、思ったところでカインの存在を思い出したシエテは、一応何故ここにいるのかを聞くことにした。
「そう言えば、領主様?どうしてここに?」
呆然とした様子だったカインは、その言葉を聞いて、はっとした様子で顔を上げた。
それからカインは、作業小屋の中に入ってきて、シーナに視線をやった。
視線を向けられたシーナは表情を強張らせてから、カインから逃れるように作業小屋から飛び出して行ってしまった。
「にーに、ごめん。ちょっと……、外の空気吸ってくる」
シエテに一言残して駆け出したシーナをクリストフが直ぐに追いかけていった。
それに続こうとしたシエテだったが、フェルエルタの思わぬ言葉に動きを止めた。
「領主様。追いかけないで。愚弟のターンだから(頑張れ、愚弟。シーちゃんと義理の姉妹になるためには、愚弟の頑張りが必須。よくわからないけど、今がチャンスな気がする。愚弟よ。確実に、このチャンスを掴み取るのよ)」
愚弟のターンってなんだ?と考えつつも、フェルエルタの余計な一言でカインが追いかけて行ってしまったのを見てシエテは、ため息を吐きつつフェルエルタに視線を向けた。
「おい、フェルエルタ。今のどういう意味だ?」
「どうもない。全部シーちゃんのため(シーちゃんは、領主様のこと避けた。領主様の存在は、危険な気がする。愚弟じゃ、シーちゃんと全然釣り合わないけど、その分は私が埋める。そう考えると、全部丸く収まる。うん。良い案)」
「は?そう言って、お前の欲望ダダ漏れだから。シーたんは、シーたんを心から大事にできる奴にしか任せられない」
「なら、(私は)適任(可愛いシーちゃんを大切に出来る!と断言できる!!問題ない)」
「全然、問題ありまくりだろうが!!」
フェルエルタの謎な思考に頭が痛くなりつつも、これ以上問題を増やされたくないという思いもあって、それ以上は敢えて突っ込まずにシエテは走り出した。
作業小屋から、それなりの距離を走ったところで、シーナとクリストフを見つけたシエテは直ぐに二人に駆け寄ろうとしたが、後ろを付いてきていたフェルエルタにそれを阻止されてしまった。
シエテの前に立ち塞がったフェルエルタは、無表情で言った。
「今、いい雰囲気。行かせない(愚弟が乙女心をいい感じに揺さぶっているから、シエテは行っちゃ駄目)」
「は?いい雰囲気って?まさかあり得ない。あのチキン道化にそんな事出来るか」
「黙って。あれ。いい感じ(間違いない。シーちゃんは思わぬ告白にときめきを感じているはず。たとえ愚弟が相手だったとしても)」
そう言われて、シエテは二人に注意を向けた。すると、クリストフがたしかにいつもよりも告白めいた台詞と、必死そうな表情をしているのが見えた。
「シーナちゃん!!どうして、どうして。俺にしなよ!俺なら、シーナちゃんを大事にするよ!」
シエテは、言わせるかよ!!と言わんばかりに、間に入ろうとしたが、目の前にいるフェルエルタにまたしても阻止されてしまったのだ。
フェルエルタは、シエテに足払いを食らわせてから流れるように、腕ひしぎ逆十字固めを極めたのだ。
「愚弟の告白終わるまでの辛抱(告白がうまく行けば、シーちゃんは私の義理の妹。愚弟、ここは気張るのよ)」
「なっ、ちょ!くっ、腕が!!」
シエテは、初めての関節技にどう対処して良いのか分からずジタバタするが、ジタバタすればするほど関節がギチギチに極まっていった。
シエテの関節が限界だと悲鳴を上げた瞬間だった。
「ぬっ殺す!!愚弟!!ぬっコロコロ殺す(だっ、誰がそこまでしていいといった!!許さん、許さんぞ!!)」
そう言って、無理矢理の体勢でシーナとクリストフの前に腕ひしぎ逆十字固めを極めた状態でフェルエルタが転がり出たのだ。
関節を極められていたシエテは、押し倒されている可愛い妹の姿が目に入り、痛みも一瞬吹き飛んだが、フェルエルタが暴れるせいで、関節が先程よりも悲鳴を上げていた。
クリストフのやったことは絶対に許せないが、反対側の茂みに隠れていたカインが目に入ったシエテは、怪我の功名という言葉が頭に浮かんだ。
カインが何もせずにその場を去っていくのを見て、カインを牽制することが出来たと考えるとある意味これはこれで、良かったのだと考えることにした。
しかし、いつまでも関節を極め続けるフェルエルタにそろそろ切れそうだった。
「フェルエルタ~~~~。いい加減にしろ!!!!」
そう言われた、フェルエルタは慌てる素振りもなく関節技を解いた。
そして、無表情で小首をかしげながら言った。
「(本気で)忘れてた(てへぺろ(・ω<))」
「いや、普通忘れないからな!!それに、首を傾げても、凄んでるようにしか見えないから、逆に怖いわ!!」
無表情で首を傾げてシエテを見る姿は、丸でメンチを切るチンピラのようにシエテの瞳には映ったのだった。
そんな中、クリストフがシエテとフェルエルタに不思議そうな表情で言った。
「そう言えば、姉ちゃんはどうしてシエテに腕ひしぎ逆十字固めを極めてたんだ?」
フェルエルタが、普通の女性よりも長身だったとしてもだ。仮に、油断していたからと言ってもだ。
簡単に転ばされて、よく分からない技で身動きを封じられたなど口が裂けても言いたくなかったシエテは、視線を泳がせながら極論を口にした。
「シーたんのため」
そう、シエテの行動の全ては可愛いシーナの為なのだ。
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