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第二部
第二章 幕間 2
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王都には、結界が張られていた。
結界が王都に張られていることは、人々にはあまり知られていない。
百年以上前にとある王子が運命の人に魔法を使って王宮から逃げられた事があり、その時のショックを引きずった王子が王都全体に魔法が使えないように特殊な結界を張るように、当時の魔法使いたちに無茶な命令を出したとかなんとか。
そのため、カインと使用人たちに魅了眼を使うことは出来ないとその考えを却下した。
ただし、魅了眼を使用したのが王都の外だとしたら話は別だったが、当時カインが王都の外に出たという記憶がなかった。
それに、アックァーノ公爵領にカーシュが行った時に、何故カーシュにその力を使わなかったのかの理由が思い浮かばなかったためでもあった。
次に問題なのは、直後に流れた噂の方だった。
こちらも話題は一瞬で広がり、すぐにその話題は、箝口令が敷かれたという。
噂の内容が、『アックァーノ公爵家で起きた血の惨劇』と言うものだった。
領外の者は、公爵家でひどい事件が起こり侯爵家に婿に出されていた公爵の弟が公爵家を急遽継ぐことになったということくらいしか伝わらなかったという。
領内の者も、その事件のことを口にしようとはしなかった。
四大公爵家には、どうしても家と血を継ぐ必要があったため、どんなにひどい事件があろうとも取り潰しになることはなかったが、大事件を立て続けに起こしたことから、今後数十年は力を失い名前だけの存在になるだろうと、貴族たちは言っていたという。
百年以上前にも、イグニシス公爵家で当主一家が逃げて弟夫婦が後を継いだという事件があったが、現在は復権していたので、アックァーノ公爵家もそのうち復権するだろうとシエテは考えた。
公爵夫妻はもうこの世にはいないと分かったが、イシュタルの消息が全く分からなかった。
死んでいるのか、生きているのか。もし生きていたとして、一体どこに居るのかが一切不明だった。
ただ、イシュミールに成り済ましたイシュタルのことで分かったこともあった。
それは、立て続けに起こった事件が不吉すぎるということで、目前に迫っていたカインとの結婚は白紙になったというものだった。
不思議なことに、結婚が白紙になった後のイシュタルがどうなったのか全く情報が無かったのだ。
カインについても、領主になるまでの経歴が全く分からなかったのだ。
唯一分かったのは、イグニシス公爵家に世話になったということくらいだった。
イグニシス公爵家と王都を行き来しながらではあるが、3年ほど公爵家で過ごした後に王位継承権を放棄しディアロ領を拝領して、カイン・ディアロとなった。
情報屋に依頼した割には、大した情報を得られなかったシエテは最初は落胆したが、ここまで情報がないとなると逆に不信感しか湧かなかった。
ここまで情報を隠蔽する理由が思い浮かばず、調査は手詰まりとなった。
今を大事にしようと考えてはいるが、分からないことだらけでは不安しか無かった。
シーナの様子を見ても、前世の記憶があるのかシエテには分からなかったが、イシュミールの思いが伝わったのかシーナはのびのびといい子に育った。
ただ、良い子過ぎてもう少し我儘を言ってほしいというのがシエテの悩みだった。
そんな悩みは、シエテとシーナが12歳になったとき思わぬ形で解消した。
シーナが初めて我儘を言ったのだ。その内容は戦い方を教えて欲しいというものだったため、受け入れるのには少しだけ時間を要した。
しかし、この時シーナが前世の記憶があるのだとはっきりと分かりシエテは決意した。
今生では決してあのような悲しい結末だけは迎えないということを。
そして、一度は頓挫した情報収集を再開させた。
ディアロ領に居ては、十分な情報は得られないと分かってはいたがここを、シーナの側を離れるという選択肢はなかった。
そのため、情報屋から情報屋の情報を買った。
それなりの金額は掛かったが、一年ほどで以前よりもマシな情報を得ることが出来た。
まず、『アックァーノ公爵家で起きた血の惨劇』についてだ。
この事件は、イシュミールがこの世界を去ってから一週間ほどで起こったという。
なんでも、領主夫妻と屋敷に勤める使用人がすべて惨殺されていたというものだった。
ただし、犯人は現時点でも判明していないということだった。
屋敷の中は何かを探すかのように荒らされていたが、何も取られていなかったということで犯人の目的が分からず、犯人探しは難航した。
領地経営にも問題はなく、良い領主だったと。
口にするのも憚られるような死に様を迎えることになるなど考えられないと、領地の民は口にしていたという。
しかし、民は直ぐにこの事件について口を開かなくなったという。
領主の屋敷は直ぐにリフォームされ、弟夫妻が領地経営を再開したことで、民衆はこの忌々しい事件を忘れようとし口に出さないようになったというのだ。
カインについては、改めてイグニシス公爵家との関係を探った。
しかし、特にこれといった情報は出てこなかった。
分かったことは、イグニシス公爵に領地経営を教わっていたことと、公爵家に伝わる何らかの文献を調べていたということくらいだった。
結界が王都に張られていることは、人々にはあまり知られていない。
百年以上前にとある王子が運命の人に魔法を使って王宮から逃げられた事があり、その時のショックを引きずった王子が王都全体に魔法が使えないように特殊な結界を張るように、当時の魔法使いたちに無茶な命令を出したとかなんとか。
そのため、カインと使用人たちに魅了眼を使うことは出来ないとその考えを却下した。
ただし、魅了眼を使用したのが王都の外だとしたら話は別だったが、当時カインが王都の外に出たという記憶がなかった。
それに、アックァーノ公爵領にカーシュが行った時に、何故カーシュにその力を使わなかったのかの理由が思い浮かばなかったためでもあった。
次に問題なのは、直後に流れた噂の方だった。
こちらも話題は一瞬で広がり、すぐにその話題は、箝口令が敷かれたという。
噂の内容が、『アックァーノ公爵家で起きた血の惨劇』と言うものだった。
領外の者は、公爵家でひどい事件が起こり侯爵家に婿に出されていた公爵の弟が公爵家を急遽継ぐことになったということくらいしか伝わらなかったという。
領内の者も、その事件のことを口にしようとはしなかった。
四大公爵家には、どうしても家と血を継ぐ必要があったため、どんなにひどい事件があろうとも取り潰しになることはなかったが、大事件を立て続けに起こしたことから、今後数十年は力を失い名前だけの存在になるだろうと、貴族たちは言っていたという。
百年以上前にも、イグニシス公爵家で当主一家が逃げて弟夫婦が後を継いだという事件があったが、現在は復権していたので、アックァーノ公爵家もそのうち復権するだろうとシエテは考えた。
公爵夫妻はもうこの世にはいないと分かったが、イシュタルの消息が全く分からなかった。
死んでいるのか、生きているのか。もし生きていたとして、一体どこに居るのかが一切不明だった。
ただ、イシュミールに成り済ましたイシュタルのことで分かったこともあった。
それは、立て続けに起こった事件が不吉すぎるということで、目前に迫っていたカインとの結婚は白紙になったというものだった。
不思議なことに、結婚が白紙になった後のイシュタルがどうなったのか全く情報が無かったのだ。
カインについても、領主になるまでの経歴が全く分からなかったのだ。
唯一分かったのは、イグニシス公爵家に世話になったということくらいだった。
イグニシス公爵家と王都を行き来しながらではあるが、3年ほど公爵家で過ごした後に王位継承権を放棄しディアロ領を拝領して、カイン・ディアロとなった。
情報屋に依頼した割には、大した情報を得られなかったシエテは最初は落胆したが、ここまで情報がないとなると逆に不信感しか湧かなかった。
ここまで情報を隠蔽する理由が思い浮かばず、調査は手詰まりとなった。
今を大事にしようと考えてはいるが、分からないことだらけでは不安しか無かった。
シーナの様子を見ても、前世の記憶があるのかシエテには分からなかったが、イシュミールの思いが伝わったのかシーナはのびのびといい子に育った。
ただ、良い子過ぎてもう少し我儘を言ってほしいというのがシエテの悩みだった。
そんな悩みは、シエテとシーナが12歳になったとき思わぬ形で解消した。
シーナが初めて我儘を言ったのだ。その内容は戦い方を教えて欲しいというものだったため、受け入れるのには少しだけ時間を要した。
しかし、この時シーナが前世の記憶があるのだとはっきりと分かりシエテは決意した。
今生では決してあのような悲しい結末だけは迎えないということを。
そして、一度は頓挫した情報収集を再開させた。
ディアロ領に居ては、十分な情報は得られないと分かってはいたがここを、シーナの側を離れるという選択肢はなかった。
そのため、情報屋から情報屋の情報を買った。
それなりの金額は掛かったが、一年ほどで以前よりもマシな情報を得ることが出来た。
まず、『アックァーノ公爵家で起きた血の惨劇』についてだ。
この事件は、イシュミールがこの世界を去ってから一週間ほどで起こったという。
なんでも、領主夫妻と屋敷に勤める使用人がすべて惨殺されていたというものだった。
ただし、犯人は現時点でも判明していないということだった。
屋敷の中は何かを探すかのように荒らされていたが、何も取られていなかったということで犯人の目的が分からず、犯人探しは難航した。
領地経営にも問題はなく、良い領主だったと。
口にするのも憚られるような死に様を迎えることになるなど考えられないと、領地の民は口にしていたという。
しかし、民は直ぐにこの事件について口を開かなくなったという。
領主の屋敷は直ぐにリフォームされ、弟夫妻が領地経営を再開したことで、民衆はこの忌々しい事件を忘れようとし口に出さないようになったというのだ。
カインについては、改めてイグニシス公爵家との関係を探った。
しかし、特にこれといった情報は出てこなかった。
分かったことは、イグニシス公爵に領地経営を教わっていたことと、公爵家に伝わる何らかの文献を調べていたということくらいだった。
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