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第十二話
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「なっ……?!」
シユニナは、慌ててミハエルの股間に触れていた手を引っ込めていた。
しかし、勢い余ってそのまま後ろにひっくり返りそうになっていると、ミハエルの手によって腰を引き寄せられた。
「おっと……。大丈夫か?」
「だっ……大丈夫なんかじゃないです!! あわわわ!! さ…触ってしまったわ……」
そう言ってシユニナは、自身の右手をまじまじと見つめた。その姿を見たミハエルは、くすりと笑みを浮かべるのだ。
「何が可笑しいんですか?!」
「ふふっ……。だって、シユンが俺のこと意識してドキドキしている姿が可愛くてさ」
「んなっ! ち、違います! 別に、ミハエル様のおちんちんを触ってしまって、それを実感していたわけではないんです!! っあ……」
自分が掘った墓穴に気が付いたシユニナは、ボッと全身から火でも吹きだしそうなほど全身を真っ赤に染めていた。
何を言っても墓穴しか掘れない自信があったシユニナは、ただ黙ることしかできなかった。
しかし、そんなシユニナに微笑みを浮かべたミハエルがぐっと近づいたと思ったら、またしてもその腕の中に閉じ込められていたのだ。
「ふふっ。嫌われてしまっていると思ったけど、そうではないみたいだな」
そう言ったミハエルは、シユニナの白く柔らかな頬にキスをした。
どうすることが正解なのか分からないシユニナは、されるがままにキスを受けていた。
そんなシユニナに気を良くしたのか、ミハエルの行動は徐々に大胆になっていく。
額、蟀谷、鼻先、瞼。顔中にキスの雨を降らしたのだ。
「可愛い……」
そう言って、キスをしてくるミハエルの言葉が胸に突き刺さる。
(どうしてキスをするの? 女の子は嫌いなんでしょ? 私、もう元の姿に戻っちゃったんだよ? なんで? どうして?)
そんなことを心の中で思っていたシユニナの瞳には、いつしか涙の膜が張っていた。
瞬き一つで零れ落ちてしまいそうな涙の膜に気が付いたミハエルは、キスをするのをやめて、真剣な瞳でシユニナを見つめて言うのだ。
「俺は、シユンを愛しているんだ。シユンが泣くほど俺のことが嫌いだというなら……。諦める。すぐには無理だが、数か月……、いいや、数年くらい時間を貰えれば……。ごめん。無理だ。俺は、シユンが好きなんだ! 君を心から愛してるんだ。簡単に諦めるなんて無理だ……」
「え?」
信じられなかった。信じたいのに、昔に聞いてしまったミハエルの本音を知っているシユニナには、真剣な表情でそう言うミハエルの言葉が信じられなかった。
だが、それでも、好きな人の言葉を信じたいと思ってしまったシユニナは、ゴクリと喉を鳴らした後に恐る恐る聞くことにしたのだ。
「でも……。ミハエル様は私が嫌いなんですよね?」
シユニナにそんなことを言われるとは思っていなかったミハエルは、目を丸くさせた後に全力で否定した。
「まさか! あり得ない!! 俺は……。ふぅ……。恥ずかしい話だが、俺は初めてシユンに出会った時から君が好きだった。一目惚れだった。可愛らしい見た目に最初は目を奪われた。だけど、次第に明るくて、天然で、思い込みが激しくて……。そんなところもいつの間にか好きになっていた。だから、シユンのことが嫌いなわけがないんだ!」
「でも……。私、聞いたの……。ミハエル様が……」
「俺が言ったの? シユンのことが嫌いだって。そう言ったのか?」
肩を掴まれて、真剣な瞳のミハエルにそう詰め寄られたシユニナは、昔こっそり聞いてしまった話を思い出していた。
確かに、明確にシユニナを嫌いだとは言っていなかった。女の子が苦手だと、そう言っていた。
「昔、お兄様のご学友の方とミハエル様がお屋敷にお勉強のために来ていた時に聞いたんです……。「別に何とも思っていない。家同士で決めた婚約だ。シュミットの妹だし、大切にはしたい。だが俺は、正直女の子が苦手だ。男同士でこうして遊んでいる方が何倍も楽しい」って言っていたのを……。だから、私はミハエル様は、私が嫌いで、男の人が好きなんだと……」
シユニナの話を聞いたミハエルは、目を丸くさせた後にガクリと肩を落とした。そして、髪をぐしゃぐしゃと掻き乱した後に、それはそれは大きなため息を吐いたのだ。
「なんてことだ……。俺のがあの時意地を張ったせいでこんなことに……」
「意地?」
「ああ。思春期だったからな……。あの時も、今も気持ちは変わっていない。だからちゃんと言うよ」
「はい……」
「当時の俺は、心の底からシユンのことが好きだった。だけどな……。それを周囲に揶揄われるのが恥ずかしくてな……。それと、可愛いいシユンが他の男の目に触れるのが嫌で、敢えて興味がないふりをしたんだ。そうすれば、友人たちもシユンへの興味をなくすと思ったから……」
「…………ふぇ? でもでも、あの頃ミハエル様、私に素っ気なかったから……てっきり嫌われたって思っていたわ」
「いや……。距離は確かにとっていた……。しかし、それには已むに已まれぬ事情が……」
「その事情って?」
「…………」
「ミハエル様」
「…………」
固く口を閉ざすミハエルの答えが知りたかったシユニナは、ゴクリと喉を鳴らした後にいまだにそそり勃つミハエルの股間に手を伸ばして、それをゆっくりと揉んでいた。
「言ってください……。じゃないと、エ……ッチな悪戯をしちゃうんですから」
そう言って、柔らかくそれを揉むと、さらにミハエルの股間は硬くなっていく。
まさか、そんな方法にでられるとは思っていなかったミハエルは、ぐっと唇を噛んだ後に降参していた。
「分かった。言うから、頼むから手を……」
「嫌です! ミハエル様が言ってくれないとやめません」
そう言って、プイっと横を向きながらも揉みしだく手は止めなかった。
「なっ……。俺がイクまで止めない……だって……。って、ちょっと待て。このままだだと、本当にイってしまう……。くっ」
シユニナは、慌ててミハエルの股間に触れていた手を引っ込めていた。
しかし、勢い余ってそのまま後ろにひっくり返りそうになっていると、ミハエルの手によって腰を引き寄せられた。
「おっと……。大丈夫か?」
「だっ……大丈夫なんかじゃないです!! あわわわ!! さ…触ってしまったわ……」
そう言ってシユニナは、自身の右手をまじまじと見つめた。その姿を見たミハエルは、くすりと笑みを浮かべるのだ。
「何が可笑しいんですか?!」
「ふふっ……。だって、シユンが俺のこと意識してドキドキしている姿が可愛くてさ」
「んなっ! ち、違います! 別に、ミハエル様のおちんちんを触ってしまって、それを実感していたわけではないんです!! っあ……」
自分が掘った墓穴に気が付いたシユニナは、ボッと全身から火でも吹きだしそうなほど全身を真っ赤に染めていた。
何を言っても墓穴しか掘れない自信があったシユニナは、ただ黙ることしかできなかった。
しかし、そんなシユニナに微笑みを浮かべたミハエルがぐっと近づいたと思ったら、またしてもその腕の中に閉じ込められていたのだ。
「ふふっ。嫌われてしまっていると思ったけど、そうではないみたいだな」
そう言ったミハエルは、シユニナの白く柔らかな頬にキスをした。
どうすることが正解なのか分からないシユニナは、されるがままにキスを受けていた。
そんなシユニナに気を良くしたのか、ミハエルの行動は徐々に大胆になっていく。
額、蟀谷、鼻先、瞼。顔中にキスの雨を降らしたのだ。
「可愛い……」
そう言って、キスをしてくるミハエルの言葉が胸に突き刺さる。
(どうしてキスをするの? 女の子は嫌いなんでしょ? 私、もう元の姿に戻っちゃったんだよ? なんで? どうして?)
そんなことを心の中で思っていたシユニナの瞳には、いつしか涙の膜が張っていた。
瞬き一つで零れ落ちてしまいそうな涙の膜に気が付いたミハエルは、キスをするのをやめて、真剣な瞳でシユニナを見つめて言うのだ。
「俺は、シユンを愛しているんだ。シユンが泣くほど俺のことが嫌いだというなら……。諦める。すぐには無理だが、数か月……、いいや、数年くらい時間を貰えれば……。ごめん。無理だ。俺は、シユンが好きなんだ! 君を心から愛してるんだ。簡単に諦めるなんて無理だ……」
「え?」
信じられなかった。信じたいのに、昔に聞いてしまったミハエルの本音を知っているシユニナには、真剣な表情でそう言うミハエルの言葉が信じられなかった。
だが、それでも、好きな人の言葉を信じたいと思ってしまったシユニナは、ゴクリと喉を鳴らした後に恐る恐る聞くことにしたのだ。
「でも……。ミハエル様は私が嫌いなんですよね?」
シユニナにそんなことを言われるとは思っていなかったミハエルは、目を丸くさせた後に全力で否定した。
「まさか! あり得ない!! 俺は……。ふぅ……。恥ずかしい話だが、俺は初めてシユンに出会った時から君が好きだった。一目惚れだった。可愛らしい見た目に最初は目を奪われた。だけど、次第に明るくて、天然で、思い込みが激しくて……。そんなところもいつの間にか好きになっていた。だから、シユンのことが嫌いなわけがないんだ!」
「でも……。私、聞いたの……。ミハエル様が……」
「俺が言ったの? シユンのことが嫌いだって。そう言ったのか?」
肩を掴まれて、真剣な瞳のミハエルにそう詰め寄られたシユニナは、昔こっそり聞いてしまった話を思い出していた。
確かに、明確にシユニナを嫌いだとは言っていなかった。女の子が苦手だと、そう言っていた。
「昔、お兄様のご学友の方とミハエル様がお屋敷にお勉強のために来ていた時に聞いたんです……。「別に何とも思っていない。家同士で決めた婚約だ。シュミットの妹だし、大切にはしたい。だが俺は、正直女の子が苦手だ。男同士でこうして遊んでいる方が何倍も楽しい」って言っていたのを……。だから、私はミハエル様は、私が嫌いで、男の人が好きなんだと……」
シユニナの話を聞いたミハエルは、目を丸くさせた後にガクリと肩を落とした。そして、髪をぐしゃぐしゃと掻き乱した後に、それはそれは大きなため息を吐いたのだ。
「なんてことだ……。俺のがあの時意地を張ったせいでこんなことに……」
「意地?」
「ああ。思春期だったからな……。あの時も、今も気持ちは変わっていない。だからちゃんと言うよ」
「はい……」
「当時の俺は、心の底からシユンのことが好きだった。だけどな……。それを周囲に揶揄われるのが恥ずかしくてな……。それと、可愛いいシユンが他の男の目に触れるのが嫌で、敢えて興味がないふりをしたんだ。そうすれば、友人たちもシユンへの興味をなくすと思ったから……」
「…………ふぇ? でもでも、あの頃ミハエル様、私に素っ気なかったから……てっきり嫌われたって思っていたわ」
「いや……。距離は確かにとっていた……。しかし、それには已むに已まれぬ事情が……」
「その事情って?」
「…………」
「ミハエル様」
「…………」
固く口を閉ざすミハエルの答えが知りたかったシユニナは、ゴクリと喉を鳴らした後にいまだにそそり勃つミハエルの股間に手を伸ばして、それをゆっくりと揉んでいた。
「言ってください……。じゃないと、エ……ッチな悪戯をしちゃうんですから」
そう言って、柔らかくそれを揉むと、さらにミハエルの股間は硬くなっていく。
まさか、そんな方法にでられるとは思っていなかったミハエルは、ぐっと唇を噛んだ後に降参していた。
「分かった。言うから、頼むから手を……」
「嫌です! ミハエル様が言ってくれないとやめません」
そう言って、プイっと横を向きながらも揉みしだく手は止めなかった。
「なっ……。俺がイクまで止めない……だって……。って、ちょっと待て。このままだだと、本当にイってしまう……。くっ」
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