11 / 17
第十一話
しおりを挟む
周囲の視線や騒めきに困惑しているシユニナの元に駆け付けたミハエルは、羽織っていた上着を脱いでシユニナに着せた。
そして、ぎゅっと強く抱きしめてからシユニナを横抱きにした。シユニナを抱き上げたミハエルは、ぐるっと周囲を見回して何かを確認すると、地獄の底から発したかのような冷酷極まりない声で言うのだ。
「後の処理は……。ああ、そうだな。アレがいい」
その声は、そこまで大きな声ではなかったが、何故かその場にいた全員の耳に鮮明に聞こえてきたのだ。
ほとんどの者が、足の力が抜けその場にへたり込む事態となったのだが、その時にはすでにミハエルは、その場を立ち去った後だった。
ミハエルに横抱きにされたまま連れてこられたのは、ミハエルの執務室だった。
しかし、執務室に入ったミハエルは、その部屋の奥に設置されている仮眠用のベッドが置かれている部屋にシユニナを連れ込んだのだ。
優しくベッドの上に降ろされたシユニナは、初めて入った仮眠室が物珍しくてついついキョロキョロしてしまう。
シユニナが物珍し気に部屋の中を見ている間に、ミハエルは入ってきた扉の鍵をそっと掛けてからシユニナを降ろしたベッドに座った。
そして、シユニナを抱き上げて自分の膝を跨ぐように座らせた後に、強く抱きしめたのだ。
「えっ? 副団長様?」
「違う」
「えっと……」
「もう無理だ……」
何が違って、何が無理なのか、全く分からなかった。
しかし、シユニナは天啓を得たかのように突然ピンと来てしまう。
(まっ……、まさか……。ムキムキのマッチョの私の魅力にとうとうミーシャがメロメロに? そうなのね! って……。そんな訳ないわね。ミーシャは、見た目で人を好きになるような人じゃないわ。外見がムキムキのマッチョでも、元は女の私が好きになってもらえる訳がないわよね……)
一人、そんなことを考えていたシユニナは、ふと違和感を覚えた。
その違和感が何か考えていると、さらにミハエルに強く抱きしめられてしまう。
(抱きしめてもらえるのは嬉しいけれど……。何かしら? 胸が苦しい……?)
胸の苦しさの理由が分からないシユニナは、その苦しさから逃れるためにミハエルの体を両手で強く推していた。
「くるしい……」
シユニナが苦しがっていることに遅れて気が付いたミハエルは、慌ててその身を離していた。
強い抱擁から解放されたシユニナは、ほっと息をついて胸を撫で下ろして……。
(あれ……? 何か……おかしいような……)
今まで感じていた弾力のある胸筋の感触が無くなり、弾力はあるものの、指先が埋まっていくような途轍もない柔らかさがそこにはあったのだ。
首を傾げながら何度も自分の胸を弄っていると、下腹部が何かに押し上げられるような感覚に襲われていた。
いったい何が起こったのか確認するため、シユニナが視線を胸元に送ると、そこには見慣れない白い肌と、ボタンがいくつも飛んだシャツを押し上げるように真っ白な膨らみが二つ目に入ったのだ。
「あれ? これは何?」
身に覚えのない白い二つの大きな膨らみを確かめるべくシャツを少しだけずらして見ると、そこには女性の乳房があったのだ。
「おっぱいだわ………………???????」
口に出したその情報が正確に脳にたどり着くまでには数十秒ほどのラグがあった。
脳に口に出した情報が遅れて届いたシユニナは、他所事のようにぼんやりとその事実を口にしていた。
「大きいおっぱい……。柔らかくて指が埋まっていくわ……。だけど弾力もあって……。あれ? あれ? おかしい……。えっ? 今揉んでいるおっぱいは誰のおっぱい……? 私の? …………?!!」
事実を受け入れるまでに、自分の胸を揉みながらその様子を実況していたシユニナは、ようやくその事実に気が付くのだ。
「えっ? あっ……」
信じられないという気持ちでシユニナが助けを求めるように視線を上げると、そこには顔を赤くさせたミハエルがいたのだ。
視線があった瞬間、シユニナはとんでもない痴態を繰り広げていたことに気が付き、小さな悲鳴を上げて両手で自分自身を抱きしめるように身をかがめた。
「きっ……きゃぁーー!!」
そう言って、シユニナが身をかがめた時、何か硬いものにさらに下腹部を下から押された気がして、何も考えられなくなっていた。
そんなパニック状態のシユニナを宥めるようにミハエルは、優しく抱きしめて背中をトントンと叩いてくれるのだ。
心地よいリズムにいつしかシユニナは、落ち着きを取り戻していた。
少しづつ考える余裕が出て来たシユニナは、今の状況が色々な意味で不味いことに気が付く。
どういう訳なのか女に戻っていること。
そして、女性が苦手なミハエルに半裸のような状態で抱きしめられていること。
この途轍もない気まずい状況を最初に破ったのはミハエルだった。
「悪い。シユンが今、すごく混乱していることは分かっているんだ……。だが、好きな女のそんな姿を見て、欲情しない男なんていなんだよ……」
「え?」
ミハエルの言葉に違和感しかなかったシユニナは、驚いて体を離そうと身をよじってしまう。
すると、股間に感じていた硬い異物がさらに硬さを増したのだ。
自分の股間を下から押し上げる謎の物体が気になったシユニナは、その硬い何かを手で触れて確かめる。
硬いようでいて弾力を持つ何か。
自分が跨ぐようにして腰を下ろしている場所は一体どこだったのかと、視線を下に向けたシユニナは、その状況に顔だけではなく、体全体を真っ赤に染めることとなったのだ。
視線の先には、ミハエルのズボンを押し上げる、雄々しいミハエルのミハエルがあったからだ。
そして、ぎゅっと強く抱きしめてからシユニナを横抱きにした。シユニナを抱き上げたミハエルは、ぐるっと周囲を見回して何かを確認すると、地獄の底から発したかのような冷酷極まりない声で言うのだ。
「後の処理は……。ああ、そうだな。アレがいい」
その声は、そこまで大きな声ではなかったが、何故かその場にいた全員の耳に鮮明に聞こえてきたのだ。
ほとんどの者が、足の力が抜けその場にへたり込む事態となったのだが、その時にはすでにミハエルは、その場を立ち去った後だった。
ミハエルに横抱きにされたまま連れてこられたのは、ミハエルの執務室だった。
しかし、執務室に入ったミハエルは、その部屋の奥に設置されている仮眠用のベッドが置かれている部屋にシユニナを連れ込んだのだ。
優しくベッドの上に降ろされたシユニナは、初めて入った仮眠室が物珍しくてついついキョロキョロしてしまう。
シユニナが物珍し気に部屋の中を見ている間に、ミハエルは入ってきた扉の鍵をそっと掛けてからシユニナを降ろしたベッドに座った。
そして、シユニナを抱き上げて自分の膝を跨ぐように座らせた後に、強く抱きしめたのだ。
「えっ? 副団長様?」
「違う」
「えっと……」
「もう無理だ……」
何が違って、何が無理なのか、全く分からなかった。
しかし、シユニナは天啓を得たかのように突然ピンと来てしまう。
(まっ……、まさか……。ムキムキのマッチョの私の魅力にとうとうミーシャがメロメロに? そうなのね! って……。そんな訳ないわね。ミーシャは、見た目で人を好きになるような人じゃないわ。外見がムキムキのマッチョでも、元は女の私が好きになってもらえる訳がないわよね……)
一人、そんなことを考えていたシユニナは、ふと違和感を覚えた。
その違和感が何か考えていると、さらにミハエルに強く抱きしめられてしまう。
(抱きしめてもらえるのは嬉しいけれど……。何かしら? 胸が苦しい……?)
胸の苦しさの理由が分からないシユニナは、その苦しさから逃れるためにミハエルの体を両手で強く推していた。
「くるしい……」
シユニナが苦しがっていることに遅れて気が付いたミハエルは、慌ててその身を離していた。
強い抱擁から解放されたシユニナは、ほっと息をついて胸を撫で下ろして……。
(あれ……? 何か……おかしいような……)
今まで感じていた弾力のある胸筋の感触が無くなり、弾力はあるものの、指先が埋まっていくような途轍もない柔らかさがそこにはあったのだ。
首を傾げながら何度も自分の胸を弄っていると、下腹部が何かに押し上げられるような感覚に襲われていた。
いったい何が起こったのか確認するため、シユニナが視線を胸元に送ると、そこには見慣れない白い肌と、ボタンがいくつも飛んだシャツを押し上げるように真っ白な膨らみが二つ目に入ったのだ。
「あれ? これは何?」
身に覚えのない白い二つの大きな膨らみを確かめるべくシャツを少しだけずらして見ると、そこには女性の乳房があったのだ。
「おっぱいだわ………………???????」
口に出したその情報が正確に脳にたどり着くまでには数十秒ほどのラグがあった。
脳に口に出した情報が遅れて届いたシユニナは、他所事のようにぼんやりとその事実を口にしていた。
「大きいおっぱい……。柔らかくて指が埋まっていくわ……。だけど弾力もあって……。あれ? あれ? おかしい……。えっ? 今揉んでいるおっぱいは誰のおっぱい……? 私の? …………?!!」
事実を受け入れるまでに、自分の胸を揉みながらその様子を実況していたシユニナは、ようやくその事実に気が付くのだ。
「えっ? あっ……」
信じられないという気持ちでシユニナが助けを求めるように視線を上げると、そこには顔を赤くさせたミハエルがいたのだ。
視線があった瞬間、シユニナはとんでもない痴態を繰り広げていたことに気が付き、小さな悲鳴を上げて両手で自分自身を抱きしめるように身をかがめた。
「きっ……きゃぁーー!!」
そう言って、シユニナが身をかがめた時、何か硬いものにさらに下腹部を下から押された気がして、何も考えられなくなっていた。
そんなパニック状態のシユニナを宥めるようにミハエルは、優しく抱きしめて背中をトントンと叩いてくれるのだ。
心地よいリズムにいつしかシユニナは、落ち着きを取り戻していた。
少しづつ考える余裕が出て来たシユニナは、今の状況が色々な意味で不味いことに気が付く。
どういう訳なのか女に戻っていること。
そして、女性が苦手なミハエルに半裸のような状態で抱きしめられていること。
この途轍もない気まずい状況を最初に破ったのはミハエルだった。
「悪い。シユンが今、すごく混乱していることは分かっているんだ……。だが、好きな女のそんな姿を見て、欲情しない男なんていなんだよ……」
「え?」
ミハエルの言葉に違和感しかなかったシユニナは、驚いて体を離そうと身をよじってしまう。
すると、股間に感じていた硬い異物がさらに硬さを増したのだ。
自分の股間を下から押し上げる謎の物体が気になったシユニナは、その硬い何かを手で触れて確かめる。
硬いようでいて弾力を持つ何か。
自分が跨ぐようにして腰を下ろしている場所は一体どこだったのかと、視線を下に向けたシユニナは、その状況に顔だけではなく、体全体を真っ赤に染めることとなったのだ。
視線の先には、ミハエルのズボンを押し上げる、雄々しいミハエルのミハエルがあったからだ。
21
お気に入りに追加
205
あなたにおすすめの小説
大きな騎士は小さな私を小鳥として可愛がる
月下 雪華
恋愛
大きな魔獣戦を終えたベアトリスの夫が所属している戦闘部隊は王都へと無事帰還した。そうして忙しない日々が終わった彼女は思い出す。夫であるウォルターは自分を小動物のように可愛がること、弱いものとして扱うことを。
小動物扱いをやめて欲しい商家出身で小柄な娘ベアトリス・マードックと恋愛が上手くない騎士で大柄な男のウォルター・マードックの愛の話。
R18 優秀な騎士だけが全裸に見える私が、国を救った英雄の氷の騎士団長を着ぐるみを着て溺愛する理由。
シェルビビ
恋愛
シャルロッテは幼い時から優秀な騎士たちが全裸に見える。騎士団の凱旋を見た時に何で全裸でお馬さんに乗っているのだろうと疑問に思っていたが、月日が経つと優秀な騎士たちは全裸に見えるものだと納得した。
時は流れ18歳になると優秀な騎士を見分けられることと騎士学校のサポート学科で優秀な成績を残したことから、騎士団の事務員として採用された。給料も良くて一生独身でも生きて行けるくらい充実している就職先は最高の環境。リストラの権限も持つようになった時、国の砦を守った英雄エリオスが全裸に見えなくなる瞬間が多くなっていった。どうやら長年付き合っていた婚約者が、貢物を散々貰ったくせにダメ男の子を妊娠して婚約破棄したらしい。
国の希望であるエリオスはこのままだと騎士団を辞めないといけなくなってしまう。
シャルロッテは、騎士団のファンクラブに入ってエリオスの事を調べていた。
ところがエリオスにストーカーと勘違いされて好かれてしまった。元婚約者の婚約破棄以降、何かがおかしい。
クマのぬいぐるみが好きだと言っていたから、やる気を出させるためにクマの着ぐるみで出勤したら違う方向に元気になってしまった。溺愛することが好きだと聞いていたから、溺愛し返したらなんだか様子がおかしい。
悪役令嬢は獰猛な愛がお好き
二階堂まや
恋愛
始まりは、王子ルカが下級貴族の娘イレーネに一目惚れしたことだった。
ルカから一方的に婚約破棄された令嬢クロエは、ある事件をきっかけに北国ヴェルナドの若き王アードルフへ嫁がされることになる。アードルフは、熊のような男として恐れられていた。
王子の怒りを買った女は熊に食われ、ルカとイレーネは、末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。……と思いきや。
クロエを待ち受けていたのは、アードルフからの寵愛だった。
+ムーンライトノベルズ、エブリスタにも掲載しております。
貧乳の魔法が切れて元の巨乳に戻ったら、男性好きと噂の上司に美味しく食べられて好きな人がいるのに種付けされてしまった。
シェルビビ
恋愛
胸が大きければ大きいほど美人という定義の国に異世界転移した結。自分の胸が大きいことがコンプレックスで、貧乳になりたいと思っていたのでお金と引き換えに小さな胸を手に入れた。
小さな胸でも優しく接してくれる騎士ギルフォードに恋心を抱いていたが、片思いのまま3年が経とうとしていた。ギルフォードの前に好きだった人は彼の上司エーベルハルトだったが、ギルフォードが好きと噂を聞いて諦めてしまった。
このまま一生独身だと老後の事を考えていたところ、おっぱいが戻ってきてしまった。元の状態で戻ってくることが条件のおっぱいだが、訳が分からず蹲っていると助けてくれたのはエーベルハルトだった。
ずっと片思いしていたと告白をされ、告白を受け入れたユイ。
色々と疲れた乙女は最強の騎士様の甘い攻撃に陥落しました
灰兎
恋愛
「ルイーズ、もう少し脚を開けますか?」優しく聞いてくれるマチアスは、多分、もう待ちきれないのを必死に我慢してくれている。
恋愛経験も無いままに婚約破棄まで経験して、色々と疲れているお年頃の女の子、ルイーズ。優秀で容姿端麗なのに恋愛初心者のルイーズ相手には四苦八苦、でもやっぱり最後には絶対無敵の最強だった騎士、マチアス。二人の両片思いは色んな意味でもう我慢出来なくなった騎士様によってぶち壊されました。めでたしめでたし。
【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。
でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?
絶倫と噂の騎士と結婚したのに嘘でした。死に戻り令嬢は本物の絶倫を探したら大神官様だった。
シェルビビ
恋愛
聖女を巡る恋の戦いに敗れたリオネルと結婚したレティ。リオネルは負け犬と陰で囁かれているが、もう一つの噂を知らない人はいない。
彼は娼婦の間で股殺しと呼ばれる絶倫で、彼を相手にすると抱きつぶされて仕事にならない。
婚約破棄されたリオネルに優しくし、父を脅して強制的に妻になることに成功した。
ルンルンな気分で気合を入れて初夜を迎えると、リオネルは男のものが起たなかったのだ。
いくらアプローチしても抱いてもらえずキスすらしてくれない。熟睡しているリオネルを抱く生活も飽き、白い結婚を続ける気もなくなったので離縁状を叩きつけた。
「次の夫は勃起が出来て、一晩中どころが三日三晩抱いてくれる男と結婚する」
話し合いをする気にもならず出ていく準備をしていると見知らぬが襲ってきた。驚きのあまり、魔法が発動し過去に戻ってしまう。
ミハエルというリオネルの親友に出会い、好きになってしまい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる