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第二章 運命の出会い(3)
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この世界で黒髪の人間は少なからずいる。
しかし、瞳の色が黒い者は誰一人いなかった。
意識を失った少女を腕の中で大切に抱きしめたジークリンデは、すぐに行動していた。
少女の姿が見えないようにすっぽりとマントで包む。
そしてそのまま国王の元に向かったのだ。
ジークリンデを引き留めようとする兵士や騎士は、誰一人ジークリンデを阻むことはできなかった。
もともと、ここを立ち去ることを話しに行くつもりだったのだ、そのまま兵士たちを薙ぎ払うようにして進んでいく。
王がいると思われる政務室に着くと、乱暴に扉を蹴って、中に入る。
しかし、中に王の姿はなかった。
不思議に思ったのは一瞬で、部屋の奥にある扉の中から複数の人の気配がした。
ジークリンデは、躊躇うことなく、その扉も蹴破るようにして開けていた。
中は薄暗く、ぼんやりと光るランプが一つあるだけだった。
目当ての人物は、天蓋付きのベッドの中にいた。
ただし、一人ではなく数人の少年たちとだ。
その場で何が行われていたのかは明らかだった。
少年たちは、薄い布を腰にだけ巻いた姿で、でっぷりと肥え太った王に跨ったり、抱き着いたりと様々だった。
ジークリンデは、一瞬眉を顰めたが特に何も言うことはなかった。
ただし、隣国の第三王子にとんでもない醜態を見られてしまった国王は違った。
慌てふためきながら、自身に侍る少年たちをベッドから蹴落としたのだ。
そして、怒鳴りつけるように言った。
「お前たち! さっさと消えぬか!」
そう言われた少年たちは、腰に巻いた薄い布が外れていることにすら気が付いていない様子で、一斉に部屋から逃げ出した。
その場に残された王は、気まずそうにジークリンデの様子を窺う。
それに気が付いているジークリンデだったが、敢えてそれには触れずに話を始めた。
「アルエライト国王陛下。突然のことだが、今日ここを発つことにした」
国王は、思ってもいなかったジークリンデの言葉に目を丸くする。
そして、取り繕うように言うのだ。
「そうか、大した持て成しもできず申し訳な―――」
「なら、一つ。俺に土産を持たせてはくれないか?」
国王の言葉を遮るように発言したジークリンデは続けて言った。
「下女で気に入った子がいる。その子を連れて帰りたいがいいか?」
有無を言わせない空気を放ちながらそう言ったジークリンデに対して、国王は脂汗を滝のように流しながらそれを許した。
「あ…ああ。よいよい。気に入った下女なら好きに連れていくがいい」
「ありがとうございます。そうそう、後で返して欲しいと言われても俺はこの子が気に入ったので返す気がない。だから、予め契約魔法を交わしておいた方が俺は安心できるのだが?」
「け…契約魔法だと?!」
嫌そうにそう言い放つ国王に向かって、ジークリンデは思い出したかのように言った。
「そうそう。アルエライト国王陛下は良いご趣味をお持ちみたいですね? これは、自国に戻って、皆に教えてやりたいくらいだがいいかな?」
そう言って、脅すようににこりと笑う。ただし、その目は一切笑っていなかったが。
それを見た国王は、小さな悲鳴を上げたあと、何度も頭を上下に振った。
「わ…分かった! 分かったから! ただし、契約内容に、その趣味について口外無用と付け足させてもらうぞ!!」
その言葉を聞いたジークリンデは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
しかし、余裕のない国王はそれに気が付くことはなかった。
「分かりました。それでは、時間がないので俺が契約魔法を展開させる。アルエライト国王陛下は、出来上がった契約内容を確認してくれ」
そう言うや、ジークリンデの行動は早かった。
あっという間に複雑な魔法を組み上げて契約魔法を展開させていた。
その内容は、ジークリンデの腕の中にいるこの少女について、アルエライト王国側に今後一切の発言権がないというもの。
つまり、後から返せと言われても、ジークリンデがそれを聞く必要はないというこだ。
もう一つは、アルエライト国王の趣味を誰にも言わないことだ。
こうして、二人の間で契約魔法は締結した。
締結後、その場を立ち去ろうとするジークリンデは、思い出したようにこう言った。
「そうそう、契約内容を破った時は、命を落とすからな。きちんと自分の交わした契約魔法の重さを理解するようにだけ、お願いしますよ?」
契約内容にだけしか目に入っていなかった国王は、重いぺナルティに泡を吹いて怒鳴り散らしていたが、よく内容を確認しない方が悪いとジークリンデは、それを気にもかけなかった。
しかし、瞳の色が黒い者は誰一人いなかった。
意識を失った少女を腕の中で大切に抱きしめたジークリンデは、すぐに行動していた。
少女の姿が見えないようにすっぽりとマントで包む。
そしてそのまま国王の元に向かったのだ。
ジークリンデを引き留めようとする兵士や騎士は、誰一人ジークリンデを阻むことはできなかった。
もともと、ここを立ち去ることを話しに行くつもりだったのだ、そのまま兵士たちを薙ぎ払うようにして進んでいく。
王がいると思われる政務室に着くと、乱暴に扉を蹴って、中に入る。
しかし、中に王の姿はなかった。
不思議に思ったのは一瞬で、部屋の奥にある扉の中から複数の人の気配がした。
ジークリンデは、躊躇うことなく、その扉も蹴破るようにして開けていた。
中は薄暗く、ぼんやりと光るランプが一つあるだけだった。
目当ての人物は、天蓋付きのベッドの中にいた。
ただし、一人ではなく数人の少年たちとだ。
その場で何が行われていたのかは明らかだった。
少年たちは、薄い布を腰にだけ巻いた姿で、でっぷりと肥え太った王に跨ったり、抱き着いたりと様々だった。
ジークリンデは、一瞬眉を顰めたが特に何も言うことはなかった。
ただし、隣国の第三王子にとんでもない醜態を見られてしまった国王は違った。
慌てふためきながら、自身に侍る少年たちをベッドから蹴落としたのだ。
そして、怒鳴りつけるように言った。
「お前たち! さっさと消えぬか!」
そう言われた少年たちは、腰に巻いた薄い布が外れていることにすら気が付いていない様子で、一斉に部屋から逃げ出した。
その場に残された王は、気まずそうにジークリンデの様子を窺う。
それに気が付いているジークリンデだったが、敢えてそれには触れずに話を始めた。
「アルエライト国王陛下。突然のことだが、今日ここを発つことにした」
国王は、思ってもいなかったジークリンデの言葉に目を丸くする。
そして、取り繕うように言うのだ。
「そうか、大した持て成しもできず申し訳な―――」
「なら、一つ。俺に土産を持たせてはくれないか?」
国王の言葉を遮るように発言したジークリンデは続けて言った。
「下女で気に入った子がいる。その子を連れて帰りたいがいいか?」
有無を言わせない空気を放ちながらそう言ったジークリンデに対して、国王は脂汗を滝のように流しながらそれを許した。
「あ…ああ。よいよい。気に入った下女なら好きに連れていくがいい」
「ありがとうございます。そうそう、後で返して欲しいと言われても俺はこの子が気に入ったので返す気がない。だから、予め契約魔法を交わしておいた方が俺は安心できるのだが?」
「け…契約魔法だと?!」
嫌そうにそう言い放つ国王に向かって、ジークリンデは思い出したかのように言った。
「そうそう。アルエライト国王陛下は良いご趣味をお持ちみたいですね? これは、自国に戻って、皆に教えてやりたいくらいだがいいかな?」
そう言って、脅すようににこりと笑う。ただし、その目は一切笑っていなかったが。
それを見た国王は、小さな悲鳴を上げたあと、何度も頭を上下に振った。
「わ…分かった! 分かったから! ただし、契約内容に、その趣味について口外無用と付け足させてもらうぞ!!」
その言葉を聞いたジークリンデは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
しかし、余裕のない国王はそれに気が付くことはなかった。
「分かりました。それでは、時間がないので俺が契約魔法を展開させる。アルエライト国王陛下は、出来上がった契約内容を確認してくれ」
そう言うや、ジークリンデの行動は早かった。
あっという間に複雑な魔法を組み上げて契約魔法を展開させていた。
その内容は、ジークリンデの腕の中にいるこの少女について、アルエライト王国側に今後一切の発言権がないというもの。
つまり、後から返せと言われても、ジークリンデがそれを聞く必要はないというこだ。
もう一つは、アルエライト国王の趣味を誰にも言わないことだ。
こうして、二人の間で契約魔法は締結した。
締結後、その場を立ち去ろうとするジークリンデは、思い出したようにこう言った。
「そうそう、契約内容を破った時は、命を落とすからな。きちんと自分の交わした契約魔法の重さを理解するようにだけ、お願いしますよ?」
契約内容にだけしか目に入っていなかった国王は、重いぺナルティに泡を吹いて怒鳴り散らしていたが、よく内容を確認しない方が悪いとジークリンデは、それを気にもかけなかった。
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