君のことが好きだから、えっちだけはしたくない!

バナナマヨネーズ

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第二部

第三話 初めてを貰う

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 階段を上がってくるノルンに驚く娼婦に向かって、「王子様の部屋は?」と聞くと、娼婦は目を丸くして、一番奥の扉を指さしたのだ。
 ノルンは、娼婦に「ありがとう」とだけ告げて、ずんずん進み、教えられた扉を開いたのだ。
 そして、視界に入ったアーレスに飛びつくようにして言うのだ。
 
「アーレス、私の我儘だってわかってる! でも、やっぱり好きな人が別の人を抱いてるなんて嫌だ!! アーレス、こんな私でもまだ好きでいてくれるなら…………あれ?」

 熱烈な告白をしていたノルンだったが、部屋の中が想像していたものとは違っていたことに首を傾げるのだ。
 ノルンの想像の中では、美しい全裸の娼婦たちを獣のように犯しているアーレスがいるはずなのだが、全員きちんと服を着ていたのだ。
 もちろんアーレスもだ。

「あれ?」

 そして、確かめるようにアーレスの体を弄るノルンは、首を傾げる。
 今まで女性を抱いていた形跡がないアーレスの体にだ。
 そんなノルンを抱きしめながら、アーレスは不敵な笑みを浮かべて言うのだ。
 
「くすくす。僕の勝ちみたいだ。それじゃ、姐さん……、約束通り、あの薬は僕が貰うよ」

「はぁ……、なんて茶番なの……。こんなの出来レースじゃないのよ。見せつけてくれちゃって……。あぁぁ、頭痛い。ほら、薬は引き出しの中だから、好きにして……。あんたたち、賭けはあたしたちの惨敗よ」

 そう言って、真っ赤な顔をした女性たちは、ふらふらとした足取りで部屋を出て行ったのだ。
 その場に残されたノルンは、訳が分からずにアーレスを見上げる。
 しかし、アーレスは、怒ったような表情で言うのだ。
 
「そんな泣きそうな顔をするくらいなら、最初から他の人とえっちしろだなんて言わないで。それに、好きな人から、別の人とえっちしろって、言われた僕の気持ちわかる? すごく悲しくて、怒ってもいるんだからね」

 そう言ったアーレスは、腕の中のノルンを抱きしめて、その額に優しく口付ける。
 ちゅっ、ちゅっ。
 
 優しい口付けは、額、蟀谷、頬、鼻の頭と甘く降り注ぐ。
 しかし、唇には触れずに、細い首筋をねっとりと舐めて、ノルンの様子を窺うのだ。
 甘く首筋を舐められたノルンは、腰を揺らしてしまっていた。
 
「好き、ノルン好きだよ。だから、もう、他の人とえっちしろだなんて言わないで?」

 密着した体を揺らすようにして、そう囁くアーレスにノルンは降参したように言うのだ。
 
「うん。もう、言わない。そんなこと、もう言えない。やっと会えた、僕の番……。本当は、アーレスに抱かれたい。でも……。怖くて……」

 ノルンにそう言われたアーレスは、嬉しそうに微笑んでノルンのキスをしながら言うのだ。
 
「うん。初めてなら、怖いよね。大丈夫、優しく抱いてあげる。トロトロに蕩けるまで甘く抱いてあげるから」

「えっ? ちがっ」

「大丈夫。僕も初めてだけど、勉強したから、気持ちよくして見せる。安心して?」

「えっ? はじめて?」

「うん。僕の初めてはノルンに上げるって、決めてたから。僕は童貞だよ。ふふ、嬉しい。ノルンに僕の初めてをあげられる。ようやくだ。ずっとこの時を待ってた」

 そう言ったアーレスは、ノルンの唇を吸っていた。
 甘く唇を吸われていたノルンは、アーレスが童貞だという事実に驚きすぎて、簡単に服を脱がされてしまっていたことに気が付いていなかったのだ。
 
 気が付いた時には、全身を快楽に支配されていた。
 胸をアーレスに可愛がられ、震える肉棒も、後ろの蕾も、アーレスによって柔らかく蕩けさせられていたのだ。
 
 色とりどりの布で飾られた広々としたベッドの上で、胸の先と後ろの蕾を同時に刺激されていたノルンは、か細い悲鳴を上げていた。
 
「だめぇ……。汚いから……」

 ノルンが震える声でそう言うと、アーレスはどこから取り出したのか、桃色の液体の入った小瓶の中身を手に出していた。
 そして、手で馴染ませた後に、ゆっくりとノルンの蕾に液体を塗り込むように指を埋めていく。
 
 つぷりっ。
 
 指先が入っただけなのに、ノルンは陰茎の先から精を吐き出してしまっていた。
 
「アアぁあ……! えっ? な、なに?」

 そんなノルンの様子を嬉しそうに見つめるアーレスは、さらに桃色の液体を手に出して、ノルンの秘部に塗り込めていくのだ。
 アーレスの長い指がナカを擦るように動くたびに、ぬちゅにゅちゅっと、いやらしい音が室内に響くのだ。
 瓶の中身がすべてなくなったころには、ノルンは体の奥が熱くて仕方がなかったのだ。
 胸の先を硬く尖らせて、胸を上下させているノルンを見たアーレスは、うっとりとした表情で言うのだ。
 
「気持ちいでしょ? 体の奥が熱くて、僕のちんこが欲しくて堪らないでしょ?」

「はぁ……はぁ……、っん! な、なにを?」

 体の奥で荒れ狂うような激しい熱に、ノルンは喘ぎながらもそう言う。
 すると、甘く蕩けるような視線でノルンを見つめるアーレスは、ノルンの蕾に入れている指を二本に増やしながら、耳元で囁くのだ。
 
「初めてのノルンでも気持ちよくなれるお薬だよ……。ココを綺麗にしながら、気持ちよくなれる媚薬」

「なっ!」

「ふふ。ノルンのココ、トロトロで美味しそうだ。僕の指じゃ、もう物足りないって、ひくひくしてる。可愛い」

「いや……。見ないで……。やあアっ!!」
 
 ノルンの足を大きく開かせてから、そっと蕾から指を抜いたアーレスは、寂しそうにヒクヒクとしているノルンの蕾にキスをする。
 縁を舌先で味わう様に舐めた後に、舌先をつぷりとナカに侵入させる。
 指とは違う、柔らかい舌に媚肉を舐められる快楽にノルンは、何度も体を痙攣させた。
 
 
「アあっ!! アあぁっん! いやだ、挿れて……。アーレスの欲しい……。アーレスので、私の奥を突いて……」

 ノルンの甘い懇願に、アーレスは蕩けるような笑みを浮かべて蕾から口を離した。
 そして、ノルンの両足を持ち上げてから、硬く勃ち上がった肉棒を蕾に擦り付ける。
 アーレスを欲しがるように、蕾をヒクつくのを楽しんだ後、ゆっくりと挿入する。
 
「くっ……、きつ……」

「あーれすあーれす!」

「くっ……。全部入った……。ノルンのナカ熱くて、僕のちんこ、ぎゅって締め付けて、可愛い」

 アーレスは、ノルンがナカに挿れたモノに馴染むのを待つように、じっとしていると、ねだるように懇願するのだ。
 
「あーれす……、もう動いて……、欲しい、奥にほしいよ……」

 トロトロと欲情に蕩ける紅い瞳に見つめられたアーレスは、ノルンのナカに挿れている肉棒が大きくなるのが分かった。
 もう止められなかった。
 アーレスは、一度腰を引いた後、一気に最奥を肉棒を激しく突き上げる。
 
 ぬちゅっにゅちゅっ! ぐぽっ、ずん!!
 ぱんっぱんっ!!
 
「あああぁ……!! アあアァ!! っんーー!!」

「ノルン、ノルン!!」

 ぐぽっぐぽっ!! にちゅ、にゅちゃ!
 
 アーレスは、獣のように激しく腰をノルンの打ち付ける。
 ノルンも、両足をアーレスに絡めるようにしてその激しい抽挿を受け入れるのだ。
 
 一際最奥を強く肉棒で抉るようにされたノルンは、頭の中が真っ白になっていた。
 どくどくと、熱いものが体の奥に叩きつけられる、その快楽に体中を支配されながらも、また大きくなりすぎた力が溢れていくのを実感し、涙が溢れて止まらなかった。
 
 ノルンの得たギフトは、運命の番から精を受けると魔力が増すことだったが、その副産物として、溢れる程に急激に魔力が増した場合、その魔力は寿命に変わるというものだった。
 そのため、ノルンは魂の番から精を受ければ受けるほど、命が増え、そして、愛する者が死してなお生き続けなければならないという運命を背負うこととなったのだった。
 
 
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