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第一部

第四話 記憶

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 ノルンは、遠い昔にあった淫らな記憶に引きずられるように、下腹部がきゅんとしてしまっていた。
 短い呼吸を繰り返して、何とか冷静さを取り戻したノルンは、コホンと咳払いをしてから、何気ない風を装って質問した若い魔導士に助言するのだ。
 ただし、まったく何気ない風を装うことは出来ていなかったが。
 
「えっとだな……、術式の中に、こういった印を組み入れることで……。ええええ、っちした時に、後ろで媚薬成分が生成されて勝手に潤う……って、昔知り合いの魔導士から聞いた記憶があるんじゃぞ!!」

 顔を真っ赤にさせて、両手を握りしめながら、普段使わないような、老人言葉になるノルン。
 その場にいた魔導士たちは、老人に見えるはずのノルンのその姿が可愛く見えて困惑する。
 中には、股間が反応しそうになり、「ノルン様はおじいちゃんだから」と呪いの呪文のように呟く者もいたのだ。
 
 耳まで赤くさせたノルンは、紅眼を潤ませていたが、最後まで説明をしきったのだ。
 それでも、これだけは言わなければならなかったのだ。
 
「しかし、この方法はあまりお勧めできないのじゃ……」

「何故ですか? 素晴らしい魔術式ができたように思うのですが?」

 ノルンは人差し指を合わせて、もじもじしながら言うのだ。
 
「気絶するまで、永遠に媚薬が生成されるんじゃぞ……。気持ち良すぎて死んでしまうのじゃ……。って、知り合いの魔導士が言っておったのじゃ!!!」

 まるで体験したよう口ぶりでそう話したことに遅れた気づいたノルンは、慌てて言葉を付け加える。
 それを聞いた、魔導士たちは、なんとなく察してしまっていた。
 この老魔導士の過去にあったのだろう、淫靡なひと時をだ。
 その場は、何とも言えない空気になってしまっていたが、一人だけ、この議題を持ち出した、男の恋人を持つ魔導士だけは違っていた。
 笑顔でノルンに言うのだ。
 
「ありがとうございます!! これで、心置きなく彼に挿れてもらえそうです!!」

 若い魔導士がそう言った瞬間、その場の全員が思ったのだ。
 
 お前が突っ込まれる方だったのかよ!!
 と。
 
 その後、精神的に疲れ切っていたノルンは、移動魔術で王宮内の研究室にふらふらと戻っていた。
 ソファーにどさりと寝転がったノルンは、緩慢な動作で変身を解く。
 変身を解いたノルンは、久しぶりに下腹部が疼いて仕方なかった。
 会議の間は、何とか気持ちを抑え込むことができたが、一人になると体が疼いて堪らなかったのだ。
 最後にしたのはいつだっただろうと考えて、寂しさに泣きたくなった。
 それでも、スレイに教え込まれた体は、刺激を求めてしまっていた。
 吐き出さずに落ち着くことなど出来そうになかったノルンは、しまい込んでいた物を魔術で取り出していた。
 ローブを捲り、ズボンと下着を脱いだノルンは、後ろの蕾を洗浄魔術で綺麗にしてから、恐る恐る自身の指を埋めていった。
 温かく蠢く媚肉に指先が包み込まれると、腹の奥がカッと熱くなっていき、触ってもいないのに、ノルンの陰茎は勃ち上がっていくのだ。
 小さく震える竿の先からてらてらと先走りを流しながら、ノルンは蕾を弄る指を増やすのだ。
 十分に解れた蕾に、取り出したものを宛がう。
 それは、昔スレイがノルンのために作ってくた、スレイの肉棒を模した張り型だった。
 
 ノルンは、張り型を蕾に当てたあと、浅い呼吸を数度繰り返した後に一気にナカに挿入した。
 
「あっ!! あぁぁん!! すれい、すれいぃ!!」

 気持ちいところを擦りながら何度も張り型を抜き差しする。
 それでも、物足りないノルンは張り型を持ってるのはと逆の手で自身の陰茎を擦っていくのだ。
 
 にゅちゅ、にちゅ。くちゅ、ぎゅちゅ。
 くぽ、くぽ……。ぐぽっ!!


 乱暴に蕾に張り型を挿入し、手の動きを速めて自身を扱きあげる。
 薄い胸を上下させて、両手を激しく動かしたノルンは、前と後ろ、両方の刺激で体の中から熱を吐き出していた。
 
 肩で息をしながら、ノルンはぼんやりと呟くのだ。
 
「はぁ……。虚しいだけなのに、体だけ気持ち良くなっても意味なんてないのに……。スレイ、会いたい。君に、会いたい……。なんで、あんなこと私に約束させたんだよ……。スレイのバカ」 


 紅眼を涙で潤ませたノルンは、のろのろと体を起こして、後始末をする。
 そして、自身の全身を鏡に映して溜息を吐くのだ。
 
「はぁ……。まだ、十五、六の子供のままの姿。私は、いつになったら寿命で死ねるんだ……」

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