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第三話
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だけど、それは違っていたみたい。
伯爵家に買われてから、わたくしの毎日は前以上のさらなる地獄と化していたのだから。
養女とした手前、わたくしにはありとあらゆる教育が施されたわ。
淑女教育として、あらゆる知識、マナー、ダンス、そして魔術や剣術などを詰め込まされた。
それは大した問題じゃなかったわ。
わたくしは要領も頭もよかったみたいで、すぐに新しい知識を吸収していった。
特に魔術の才能があったみたいで、あっという間に教師役の魔術師の実力を追い越していた。
だけど、地獄は新しい父となったお義父様から与えられたのだ。
お義父様は、はっきり言って変態だった。
わたくしを気が向いたときに部屋に呼び、ありとあらゆる衣服を着せた。
そう、まるで着せ替え人形でも楽しむように。
その秘密の遊戯中のお義父様に、はっきり言ってわたくしは吐き気を催していた。
お義父様は、わたくしの服を脱がせて、手ずから服を着せかけてねっとりと話しかけるのだ。
「セラヴィタリアたん。可愛いでちゅねぇ。今日は、こっちの白いドレスも着まちょうね」
脂ぎった、ギトギトの手でわたくしに触れて赤ちゃんにでも話すようにしゃべりかける。
地獄のようなこの時間に耐えていたけど、わたくしはいつ爆発してもおかしくなかった。
じゃ、どうしてそんな地獄に耐えているのかと聞かれると理由はあった。
だけど、地獄はこれだけじゃなかった。
この伯爵家の次男である、ヴィクター・リムドールもわたくしにお義父様とは別の地獄をもたらしたのだ。
だけど、この忌々しいお義兄様こそわたくしに幸福をもたらしたともいえた。
お義兄様は、初めはわたくしの才能に嫉妬していただけの取るに足らない存在だった。
だけど、いつしかその嫉妬は憎しみに、そして恋情に似た想いに変わっていったように思う。
実際には恋情とも違う、女に対しての嫉妬のようなものだったけど……。
お義兄様は、執拗にわたくしに触れたわ。
そして、いつからかわたくしを裸にして体中を舐め回す様に見つめるようになっていった。
そんなわたくしの唯一の心の支え。
それは、お義兄様の友人のラインハルザ様の存在だった。
ラインハルザ様は、侯爵家の一人息子で、どういった経緯かは知らないけど、お義兄様と親しくされていた。
ラインハルザ様は、時折屋敷に遊びに来ていた。
わたくしは、ラインハルザ様を一目見たいというただそれだけのために、地獄のような日々を過ごしていた。
だけど、わたくしは、ラインハルザ様を遠くから見るだけで、お話したこともなかった。
でも、初めてその麗しいお姿を見たときから、思慕の念は募り、心からお慕いしていた。
だけど、お義兄様はラインハルザ様が屋敷にいらっしゃる時は、いつもわたくしを部屋に閉じ込めて一歩も外に出ることを許してくれなかった。
だから、窓辺からラインハルザ様をそっと見つめるだけの日々だった。
伯爵家に買われてから、わたくしの毎日は前以上のさらなる地獄と化していたのだから。
養女とした手前、わたくしにはありとあらゆる教育が施されたわ。
淑女教育として、あらゆる知識、マナー、ダンス、そして魔術や剣術などを詰め込まされた。
それは大した問題じゃなかったわ。
わたくしは要領も頭もよかったみたいで、すぐに新しい知識を吸収していった。
特に魔術の才能があったみたいで、あっという間に教師役の魔術師の実力を追い越していた。
だけど、地獄は新しい父となったお義父様から与えられたのだ。
お義父様は、はっきり言って変態だった。
わたくしを気が向いたときに部屋に呼び、ありとあらゆる衣服を着せた。
そう、まるで着せ替え人形でも楽しむように。
その秘密の遊戯中のお義父様に、はっきり言ってわたくしは吐き気を催していた。
お義父様は、わたくしの服を脱がせて、手ずから服を着せかけてねっとりと話しかけるのだ。
「セラヴィタリアたん。可愛いでちゅねぇ。今日は、こっちの白いドレスも着まちょうね」
脂ぎった、ギトギトの手でわたくしに触れて赤ちゃんにでも話すようにしゃべりかける。
地獄のようなこの時間に耐えていたけど、わたくしはいつ爆発してもおかしくなかった。
じゃ、どうしてそんな地獄に耐えているのかと聞かれると理由はあった。
だけど、地獄はこれだけじゃなかった。
この伯爵家の次男である、ヴィクター・リムドールもわたくしにお義父様とは別の地獄をもたらしたのだ。
だけど、この忌々しいお義兄様こそわたくしに幸福をもたらしたともいえた。
お義兄様は、初めはわたくしの才能に嫉妬していただけの取るに足らない存在だった。
だけど、いつしかその嫉妬は憎しみに、そして恋情に似た想いに変わっていったように思う。
実際には恋情とも違う、女に対しての嫉妬のようなものだったけど……。
お義兄様は、執拗にわたくしに触れたわ。
そして、いつからかわたくしを裸にして体中を舐め回す様に見つめるようになっていった。
そんなわたくしの唯一の心の支え。
それは、お義兄様の友人のラインハルザ様の存在だった。
ラインハルザ様は、侯爵家の一人息子で、どういった経緯かは知らないけど、お義兄様と親しくされていた。
ラインハルザ様は、時折屋敷に遊びに来ていた。
わたくしは、ラインハルザ様を一目見たいというただそれだけのために、地獄のような日々を過ごしていた。
だけど、わたくしは、ラインハルザ様を遠くから見るだけで、お話したこともなかった。
でも、初めてその麗しいお姿を見たときから、思慕の念は募り、心からお慕いしていた。
だけど、お義兄様はラインハルザ様が屋敷にいらっしゃる時は、いつもわたくしを部屋に閉じ込めて一歩も外に出ることを許してくれなかった。
だから、窓辺からラインハルザ様をそっと見つめるだけの日々だった。
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