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第三話 憎悪
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それは、突然のことだった。
ユーステスが、任務先で死んだという知らせが届いたのは。
シエルは、毎日二人の結婚式に着るウエディングドレスや式のことを考えながら、指折り愛しい人の帰りを待っていたのだ。
「う、うそよ……。こんなのってないよ……。ユーステスさま……、ユーステスさまぁぁ!!!!」
そう言って、一人手紙を握りしめてその場で泣き崩れたのだ。
しかし、シエルの身に起こる悲劇はこれだけではなかったのだ。
ユーステスは、死体すらシエルの元には戻ってこなかったのだ。
騎士団に抗議しても、特殊な任務上答えることはできないの一点張りで、ユーステスがどうして死んだのか、その体が今どこにあるのかすら教えてもらうことは叶わなかったのだ。
さらに、ユーステスの死後、一ヶ月もたたないうちにシエルにある王命が下った。
その内容は、最愛の人を失ったばかりのシエルには残酷な内容だった。
聖女シエル、王太子の妻となり国母となれ。
それが、シエルに下された王命だった。
シエルは、その命令に最初は背こうとしたが出来なかった。
もしここで逃げれば、残されたユーステスの家族を巻き込んでしまうと、そう考えてしまって逃げ出すことは叶わなかったのだ。
シエルは、即座に王宮に連れられて行った。
そして、前もって準備でもしていたかのような速さで、一週間という短い時間で婚儀が結ばれたのだった。
そして、婚儀が結ばれた日の夜。
シエルは、自分の夫になった王太子のジルトール・バルバロスに懇願していた。
「殿下……、私は純潔を失ってしまうと魔法が使えなくなってしまいます……。私のこの力をこの国の未来のために使いたいのです。ですから、どうか、どうか、なにとぞお許しください……」
そう言って、ベッドの上で頭を付いてジルトールに許しを乞うたのだ。
それを聞いたジルトールは、表情を歪めた後、鼻を鳴らしてから言ったのだ。
「ふん。仕方がない。お前が魔法を使って、我が国を豊かにしている内は許してやろう。しかし、そうでなくなった時は……。分かっているな?」
「はい。その時は、どうぞお好きにしてください」
こうして、シエルの純潔は守られたのだった。
シエルは、ベッドに深く頭を付きながらジルトールに向けて憎悪のこもった視線を向けていたが、ジルトールがそれに気が付くことはなかった。
婚儀までの一週間と言う短い時間で、シエルはありとあらゆる手を使ってユーステスの死について調べていたのだ。
魔法を使って、人心を掌握し、極秘とされた任務内容を調べ上げたのだ。
その結果、何ということなのだろうか。
ユーステスの死は、計画されたものだったのだ。
聖女の力と、その美貌を我が物にしようと画策した王太子の計画によってユーステスは殺されたのだった。
聖女として名前が知られていたシエルは、その人知を超えた美しい容姿も評判になっていたのだ。
汚れを知らない純白の長い髪、ルビーのような美しく輝く瞳。
すらりとした長い手足に、愛しいユーステスにだけ見せる花のような微笑み。
何もかもが美しい芸術品のような、そんなシエルを王太子は、欲したのだ。
シエルを手に入れたいと考えたジルトールだったが、男らしく整った容姿や優しい人柄で人気のあったユーステスの存在を邪魔考えて、任務に託けて暗殺したのだ。
人々に人気の二人の仲を引き裂いたとなれば、反感を買うのは必至だったから。
頭の悪いジルトールは、いろいろな手間を面倒に思い、手っ取り早くユーステスを殺すことにしたのだ。
それを知ったシエルは、憎悪に支配されたのは言うまでもなかった。
そして、ユーステスの死調べる際に偶然知ってしまた、両親の死の真実を。
伯爵の本当の顔を知ったシエルの憎しみの炎はバルバロス王国を覆いつくさんばかりだった。
ユーステスが、任務先で死んだという知らせが届いたのは。
シエルは、毎日二人の結婚式に着るウエディングドレスや式のことを考えながら、指折り愛しい人の帰りを待っていたのだ。
「う、うそよ……。こんなのってないよ……。ユーステスさま……、ユーステスさまぁぁ!!!!」
そう言って、一人手紙を握りしめてその場で泣き崩れたのだ。
しかし、シエルの身に起こる悲劇はこれだけではなかったのだ。
ユーステスは、死体すらシエルの元には戻ってこなかったのだ。
騎士団に抗議しても、特殊な任務上答えることはできないの一点張りで、ユーステスがどうして死んだのか、その体が今どこにあるのかすら教えてもらうことは叶わなかったのだ。
さらに、ユーステスの死後、一ヶ月もたたないうちにシエルにある王命が下った。
その内容は、最愛の人を失ったばかりのシエルには残酷な内容だった。
聖女シエル、王太子の妻となり国母となれ。
それが、シエルに下された王命だった。
シエルは、その命令に最初は背こうとしたが出来なかった。
もしここで逃げれば、残されたユーステスの家族を巻き込んでしまうと、そう考えてしまって逃げ出すことは叶わなかったのだ。
シエルは、即座に王宮に連れられて行った。
そして、前もって準備でもしていたかのような速さで、一週間という短い時間で婚儀が結ばれたのだった。
そして、婚儀が結ばれた日の夜。
シエルは、自分の夫になった王太子のジルトール・バルバロスに懇願していた。
「殿下……、私は純潔を失ってしまうと魔法が使えなくなってしまいます……。私のこの力をこの国の未来のために使いたいのです。ですから、どうか、どうか、なにとぞお許しください……」
そう言って、ベッドの上で頭を付いてジルトールに許しを乞うたのだ。
それを聞いたジルトールは、表情を歪めた後、鼻を鳴らしてから言ったのだ。
「ふん。仕方がない。お前が魔法を使って、我が国を豊かにしている内は許してやろう。しかし、そうでなくなった時は……。分かっているな?」
「はい。その時は、どうぞお好きにしてください」
こうして、シエルの純潔は守られたのだった。
シエルは、ベッドに深く頭を付きながらジルトールに向けて憎悪のこもった視線を向けていたが、ジルトールがそれに気が付くことはなかった。
婚儀までの一週間と言う短い時間で、シエルはありとあらゆる手を使ってユーステスの死について調べていたのだ。
魔法を使って、人心を掌握し、極秘とされた任務内容を調べ上げたのだ。
その結果、何ということなのだろうか。
ユーステスの死は、計画されたものだったのだ。
聖女の力と、その美貌を我が物にしようと画策した王太子の計画によってユーステスは殺されたのだった。
聖女として名前が知られていたシエルは、その人知を超えた美しい容姿も評判になっていたのだ。
汚れを知らない純白の長い髪、ルビーのような美しく輝く瞳。
すらりとした長い手足に、愛しいユーステスにだけ見せる花のような微笑み。
何もかもが美しい芸術品のような、そんなシエルを王太子は、欲したのだ。
シエルを手に入れたいと考えたジルトールだったが、男らしく整った容姿や優しい人柄で人気のあったユーステスの存在を邪魔考えて、任務に託けて暗殺したのだ。
人々に人気の二人の仲を引き裂いたとなれば、反感を買うのは必至だったから。
頭の悪いジルトールは、いろいろな手間を面倒に思い、手っ取り早くユーステスを殺すことにしたのだ。
それを知ったシエルは、憎悪に支配されたのは言うまでもなかった。
そして、ユーステスの死調べる際に偶然知ってしまた、両親の死の真実を。
伯爵の本当の顔を知ったシエルの憎しみの炎はバルバロス王国を覆いつくさんばかりだった。
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