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第三十二話 sideラヴィリオ
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必要な挨拶だけを済ませた俺は、逸る気持ちを抑えきれずに速足でティアリアの元に向かっていた。
ティアリアの部屋の前に着くと、控えの部屋からローザが顔を出した。
「変わりはないか?」
「はい。お疲れのようで、中はとても静かです。もしかすると眠っていらっしゃるかもしれませんね」
「分かった」
眠っていた時のために、静かに扉をノックする。
室内の気配が動く様子はなかった……、というか、何かがおかしいと気が付いた俺は、焦る気持ちを抑えながらゆっくりと扉を開けた。
扉を開けた先に、一瞬だが、真っ赤な髪の女がいた様に思えたが、瞬きをした次の瞬間にはそんな女の姿などどこにもなかった。
しかし、扉を開けた先は悪夢のような光景が広がっていた。
言葉など出なかった。
俺は真っ赤に染まった絨毯に横たわるティアリアの元に駆け出していた。
しかし、ティアリアの元にたどり着くことが出来なかった。
何か見えない壁にでも遮られているような、そんな感覚だった。
「ティアリア!! ティアリア!」
ただティアリアの名を呼んで、見えない壁を拳で叩くことしかできなかった。
異変に気が付いたローザが俺と、そして血の海に横たわるティアリアを見て悲鳴を飲み込んだ後、駆け出していた。
「っ!! 誰か……あっ、マイアード卿を呼んできます」
何故こんなことになったんだ……。
この見えない壁は何なんだ!
ああ、ティアリア、死なないでくれ、生きていてくれ。頼む!!
俺は、騒ぎを聞いて駆け付けた騎士の剣を奪いそれで見えない壁を何度も切り付けたが、ただ剣を弾かれるだけで、見えない壁を破るには至らなかった。
そうこうしているうちに、ローザから知らせを受けたのだろうジーンが駆け付けた。
「ラヴィリオ様! ブチ破ります!!」
そう言ったジーンは、魔術で作り出した槍を思い切りよく突き出した。
パリン!!
ガラスが砕けるような音が聞こえたと思った次の瞬間、見えない壁は無くなっていた。
俺は、ティアリアの元に着くなり、彼女の状態を確認して愕然とする。
しかし、ティアリアの命が掛った状態で呆けるわけにはいかなかった。
右腕をきつく縛り上げ、止血を行った後、ティアリアを抱きかかえてその場から走り出す。
向かう先は皇城の医務室。
腕の中のティアリアは、微かに息をしているが、いつ呼吸が止まってもおかしくない状態だった。
医務室に向かいながら、俺はこの状況を作り出した原因が、一瞬だけ見えた赤い髪の女だと確信していた。
そして、赤い髪の女で思い当たる人物もいた。
だが、どうやってあの女がここまで来たのか。
そして、この惨状に扉を開けるまで気づけなかったのか、疑問はあったが、そんなもの今はどうでもよかった。
ティアリアの部屋の前に着くと、控えの部屋からローザが顔を出した。
「変わりはないか?」
「はい。お疲れのようで、中はとても静かです。もしかすると眠っていらっしゃるかもしれませんね」
「分かった」
眠っていた時のために、静かに扉をノックする。
室内の気配が動く様子はなかった……、というか、何かがおかしいと気が付いた俺は、焦る気持ちを抑えながらゆっくりと扉を開けた。
扉を開けた先に、一瞬だが、真っ赤な髪の女がいた様に思えたが、瞬きをした次の瞬間にはそんな女の姿などどこにもなかった。
しかし、扉を開けた先は悪夢のような光景が広がっていた。
言葉など出なかった。
俺は真っ赤に染まった絨毯に横たわるティアリアの元に駆け出していた。
しかし、ティアリアの元にたどり着くことが出来なかった。
何か見えない壁にでも遮られているような、そんな感覚だった。
「ティアリア!! ティアリア!」
ただティアリアの名を呼んで、見えない壁を拳で叩くことしかできなかった。
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「っ!! 誰か……あっ、マイアード卿を呼んできます」
何故こんなことになったんだ……。
この見えない壁は何なんだ!
ああ、ティアリア、死なないでくれ、生きていてくれ。頼む!!
俺は、騒ぎを聞いて駆け付けた騎士の剣を奪いそれで見えない壁を何度も切り付けたが、ただ剣を弾かれるだけで、見えない壁を破るには至らなかった。
そうこうしているうちに、ローザから知らせを受けたのだろうジーンが駆け付けた。
「ラヴィリオ様! ブチ破ります!!」
そう言ったジーンは、魔術で作り出した槍を思い切りよく突き出した。
パリン!!
ガラスが砕けるような音が聞こえたと思った次の瞬間、見えない壁は無くなっていた。
俺は、ティアリアの元に着くなり、彼女の状態を確認して愕然とする。
しかし、ティアリアの命が掛った状態で呆けるわけにはいかなかった。
右腕をきつく縛り上げ、止血を行った後、ティアリアを抱きかかえてその場から走り出す。
向かう先は皇城の医務室。
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医務室に向かいながら、俺はこの状況を作り出した原因が、一瞬だけ見えた赤い髪の女だと確信していた。
そして、赤い髪の女で思い当たる人物もいた。
だが、どうやってあの女がここまで来たのか。
そして、この惨状に扉を開けるまで気づけなかったのか、疑問はあったが、そんなもの今はどうでもよかった。
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