錬金術師の恋

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
上 下
64 / 71
第二部

第64話 楽しい旅行計画 ※駆視点

しおりを挟む
 カフェ営業を始めてから、駆達三人の生活は忙しいものとなっていた。
 特に、駆は今まで二人に内緒にしていた活動もあったが、体力に物を言わせて乗り切っていた。
 そんなある日、小春が思いもよらないことを言いだした。

「突然だけど、次の聖の日から旅行に行くから、二人も好きに過ごしてね」

 突然のことに返事が遅れた。

「あれ?えっと、次の――」
「小春、聞こえてたから。それで、旅行って?」

 返事が遅れたことで、小春が再度言いなおそうとしたのを駆は聞こえていたからと、内容を詳しく聞く。
 その内容は、海を渡った先にある他国への旅行だった。
 駆は二人には黙っていたが、カフェ営業をする前は、小春の依頼に答える他にも周囲には隠れて、魔の森で魔物の討伐を積極的におこなっていた。
 さらに、小春が【幸福のワイン】を作ってからは、こっそり持ち出してあることに使用していた。
 小春について行った場合、今まで行っていた魔物の討伐などが長期行えなくなる。これは、この国、いやこの世界にとって大打撃を与える可能性はある。
 しかし、だからと言って小春を見送って、一人残ってという選択肢はない。
 駆にとって最重要なのは小春なのだから。
 今まで行っている行動も、元をただせば小春のためなのだから。それに、駆が小春から離れると、秘匿していた事が露見してしまう可能性もあるので、絶対に離れることはできない。

 駆は、周囲に職業適性は『騎士』としているが、本来は『守護騎士』が正しい。こちらに来て、適性検査をされる際に、とっさに守護騎士の力を使用し、隠ぺいをしたのだ。
 更に言うと、こちらに来た時に、守護対象を小春にしたことで、小春の本来の肩書も隠すことに成功している。
 なお、駆は本来の小春の肩書など知らないので、知らず小春を守ることに繋がっているとは思っていなかった。

 駆は瞬時に、ここを離れても問題ない日数を計算し、二週間の期限を提示した。
 それ位なら、出発までに、今までの倍、討伐数をこなせばいいし、魔の森にある『核』に【幸福のワイン】を捧げることも回数を増やしておけば持つと判断したのだ。

 日中は、カフェ営業で働き、夜は魔の森に行く日々が聖の日まで続いた。
 そして出発の日、小春は駆の目の下に出来た隈を見てなのか、出発を一日延期して、休みを挟んで出発することになった。

 そして、出発の日小春が庭に謎の流線型の物体を出した時に思わず、某ロボットを思い浮かべたとしても仕方がないと言えよう。

 道行は思いのほか順調だった。
 しかし、魔の森の上空を通過する際、『核』の近くを通ったことは計算外だったが、特に異常はないと判断し、何も言わずに通過した。

 しかし、それが悪かったのか、東の国が見たてきて、そろそろ上陸だろうと思ったときに小春が言った、「二人とも、どうしようこのままじゃ東の国に入れないよ……」と。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

笑顔の花は孤高の断崖にこそ咲き誇る

はんぺん千代丸
恋愛
 私は侯爵家の令嬢リリエッタ。  皆様からは笑顔が素敵な『花の令嬢』リリエッタと呼ばれています。  私の笑顔は、婚約者である王太子サミュエル様に捧げるためのものです。 『貴族の娘はすべからく笑って男に付き従う『花』であるべし』  お父様のその教えのもと、私は『花の令嬢』として笑顔を磨き続けてきました。  でも、殿下が選んだ婚約者は、私ではなく妹のシルティアでした。  しかも、私を厳しく躾けてきたお父様も手のひらを返して、私を見捨てたのです。  全てを失った私は、第二王子のもとに嫁ぐよう命じられました。  第二王子ラングリフ様は、生来一度も笑ったことがないといわれる孤高の御方。  決して人を寄せ付けない雰囲気から、彼は『断崖の君』と呼ばれていました。  実は、彼には笑うことができない、とある理由があったのです。  作られた『笑顔』しか知らない令嬢が、笑顔なき王子と出会い、本当の愛を知る。

異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!? 自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。 果たして雅は独りで生きていけるのか!? 実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。 ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています

公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~

薄味メロン
恋愛
 HOTランキング 1位 (2019.9.18)  お気に入り4000人突破しました。  次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。  だが、誰も知らなかった。 「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」 「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」  メアリが、追放の準備を整えていたことに。

二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。 その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。 それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」 ❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。 ❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。 ❋他視点の話があります。

「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~

卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」 絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。 だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。 ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。 なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!? 「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」 書き溜めがある内は、1日1~話更新します それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります *仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。 *ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。 *コメディ強めです。 *hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!

【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!

永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手 ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。 だがしかし フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。 貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。

嫌われ貧乏令嬢と冷酷将軍

バナナマヨネーズ
恋愛
貧乏男爵令嬢のリリル・クロケットは、貴族たちから忌み嫌われていた。しかし、父と兄に心から大切にされていたことで、それを苦に思うことはなかった。そんなある日、隣国との戦争を勝利で収めた祝いの宴で事件は起こった。軍を率いて王国を勝利に導いた将軍、フェデュイ・シュタット侯爵がリリルの身を褒美として求めてきたのだ。これは、勘違いに勘違いを重ねてしまうリリルが、恋を知り愛に気が付き、幸せになるまでの物語。 全11話

処理中です...