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第二部
第44話 増える住人 その2
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「お前ら全員は無理だ。ステイ」
「ちょっ、少しくらい話を聞くとかないわけお前は?」
「秀一、駆に言っても無駄だ。ここは将を射んとすればってやつだ」
「なるほど!清水さん、聞いてくれ」
「お前ら!!」
三人から話を聞こうとしたけどその前に駆君が断ってしまった。そして、そのまま三人はじゃれあい始めたと思ったら、高遠君が話しかけてきた。
「俺達、あれから少しはメンタルが回復してな、ここから離れた別邸で修行を付けてもらいつつ、役目も果たしていたんだよ。でもな、俺達って多感なお年頃じゃん。毎日、修行して、魔物退治してを繰り返していくとなんてうか、その、変わり映えのない毎日が辛くなってきたんだよ」
「飽きたってことっすね」
「そうそれだ。でも、少しオブラートに包もうね!」
変わり映えのない毎日に飽きて、刺激が欲しいということを高遠君は話していた。う~ん。一緒に来てもあまり刺激的な生活が出来るとは思えないけど?それにお役目はどうするんだろう?
「なぁ、第二王子。俺達が少しの間不在でも大丈夫だよな?」
「そうですね、長い期間でなければ、巫女達の頑張りで持つとは思いますが」
「なら、休みを希望する。そして、その先は清水さんの所で!」
「美味しいご飯!」
「美容にいいものいっぱい!」
高遠君の後に高田君と武藤さんが続いて発言した。三人に迫られたアル様は困り顔だ。
「困りましたね。全員がとなると、私の一存では判断できません。父上に相談しましょう」
そう言って、謁見の手配をあっという間に整えてしまった。
「それでは、私達は帰ります。決まったら連絡いただければ」
そう言ったところで、アル様は私達にも来るように言った。
断ろうとしたけど、アル様からここにいる全員が来るように言われて仕方なく一緒に行くことになった。
場所は、広い作りの応接室に案内された。
部屋に入ると、まだ、王様は来ていなかった。一番奥は王様が座ることになるので、その前のソファーに高遠君達五人が座り、その横のソファーにアル様が座った。私達は、ソファーから離れたところにある椅子に座って王様を待つことになった。
王様は忙しいみたいで、中々現れなかった。お茶を飲みつつ、こっそり持っていたクッキーを駆君とタイガ君と分け合って食べていると、王様が現れた。
部屋に入ってきた王様は、私達が立ち上がろうとすると、「そのままで」と言って奥のソファーに座った。その後ろにはジョエルさんが控える様に立っていた。
「さて、聖女たちよ。そなた達は休暇を希望すると聞いたが?」
王様の言葉に、高遠君が代表して答えた。
「王様、今まで良くしていただいて勝手とは思いますが、俺達は休みが欲しいです。このまま役目を果たしたとしても、精神的に参っていつか失敗してしまうかもしれません」
「そうか、異世界に召喚したのもこちらの都合。更には、元の世界に帰してやることも叶わない。すまない。お前達にはこれからも力を貸してほしい。なので、一時ではあるが休暇を許そう」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
意外と話はあっさりと終わった。でも、何で私達も呼ばれたのか分からない。これなら私達はいらなかったんじゃないかと思っていると、王様は私達の方を向いた。
一瞬タイガ君の事を見た後、複雑な表情を一瞬見せたと思ったらすぐに元の表情に戻っていた。
もしかして、影武者のことで……と、少し不安になったけど不用意なことは発言しない方がいいと判断し、王様の言葉を待った。
「して、聖女たちは、そなた達の家に滞在を希望しているようだと聞いたが?」
「父上、いいですか?」
「どうした?」
「そちらの女性は、私のために、【幸福のワイン】とあのケーキを作成してくれた錬金術師です」
「なんと!!あのケーキの!何故早く言わんのだ!!」
「いえ、話には順番が……」
「ええい、まどろっこしい。錬金術師殿名は確か、小春と言ったかな?あの美味なる食べ物、私も食べたが、今まで食べたことのない美味しさで驚いたぞ」
そう言われて、答えていいのか分からず困っていると、ジョエルさんが助け船を出してくれた。
「小春さん、国王は大層あの祝いのケーキを気にいっていてね」
「そうなんですね。ありがとうございます。でも、ジョエルさん、確かいくつか試作のケーキを持ってか―――」
「はわーーーー!」
ジョエルさんは急に大きな声を出したと思うと、別の話を振ってきた。
「それで、小春さんのお家に五人を―――」
「ジョエル……。小春の言っていた試作のケーキとは?」
「……」
あれ?もしかして、持って帰ったケーキを一人で食べたの?確か、持って帰りたいと言ったとき、王様にって……。あぁ、ジョエルさんはダメな大人だったわね。
ここは何も言わずに傍観しよう。
「ジョエル……」
「わっ、私はケーキの監修をしただけででです」
「ほほう」
「べべべつに。試食をしたくてではなくてでですね。これは仕事……」
「ほほう。仕事と」
「国王!!本当に面倒ですね!小春さんのお菓子は最高で良く食べに行っていますよ!!それが何か?仕事はきちんとしているので問題はないと思いますが!!」
あっ、開き直った。
「ずるいぞ、お前だけ。いつもお前は美味しいところを独り占めする」
「そんなことないです」
「いいや!あの時も」
なんだか、言い合いが始まってしまった。疑問に思っているとアル様が教えてくれた。
「ふふ。二人は、幼馴染なんだってさ。仲良しだよね」
「「仲良し言うな!!」」
あっ。息ぴったり。本当に仲良しだね。でも、思っても口にはしなかった。だって、王様と、ジョエルさんまた言い合いを始めてしまった。下手に口を出すと更にヒートアップしそうで怖いわ。
二人が落ち着くのを待っていると、第一王子がやってきた。
「父上、会議の時間になっても来ないので迎えに来ました。これはどうされたのですか?」
第一王子は部屋にいるメンバーの顔を見て首を傾げた。
「おお、すまんかった。これは、聖女たちが休暇を欲しいということで、その許可を与えていたところだ」
「休暇ですか?」
「うむ。今まで国のために働いてくれていたからの」
「それで、休暇中はどこで過ごすことに?」
「そこにいる錬金術師の家で世話になることになっておる」
「たしか、アルの……ケーキの君か」
なんですかそのケーキの君って……
「兄上!!」
「それで、ケーキの君の家は全員が寝泊まりできるほどなのか?」
「あの~。そのケーキの君って?」
「ん?アルのために美味なるものを用意してくれた錬金術師の名前を聞いても教えてくれなかったのでそう呼んでいた」
「そう……なんですね。えっと、私は清水小春といいます」
「分かった。小春だな」
「はい。それと、実は全員寝泊まりできる場所は家の中にはありません」
「なんだと?」
「えっと、詳しくは説明できませんが、五人に家を使ってもらって私達三人は工房に寝泊まりすれば解決です」
その言葉を聞いて、駆君とタイガ君が待ったをかけた。
「小春、さっきも言ったがいくらなんでも俺達と一緒の部屋はその、いろいろと不味い」
「小春さんと一緒の部屋は嬉しいけど、駆も一緒なのはちょっと」
「おい、タイガそれはどういうことだ」
「言葉通りだよ?」
「まって、二人とも。工房の中だけど一緒の部屋という訳じゃないから大丈夫だよ」
「「??」」
「そういう訳なので、寝泊まりについては大丈夫です」
「そうか、なら私がその大丈夫ということが本当なのか確認に行くから」
そう言って、第一王子が一緒についてくることになってしまった。更に言うと、第一王子一人では危険なので、騎士団副団長のファニスさんが護衛として一緒に行くこととなった。
また、私の家に偉い人が……。私の平穏な暮らしが……。
「ちょっ、少しくらい話を聞くとかないわけお前は?」
「秀一、駆に言っても無駄だ。ここは将を射んとすればってやつだ」
「なるほど!清水さん、聞いてくれ」
「お前ら!!」
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「飽きたってことっすね」
「そうそれだ。でも、少しオブラートに包もうね!」
変わり映えのない毎日に飽きて、刺激が欲しいということを高遠君は話していた。う~ん。一緒に来てもあまり刺激的な生活が出来るとは思えないけど?それにお役目はどうするんだろう?
「なぁ、第二王子。俺達が少しの間不在でも大丈夫だよな?」
「そうですね、長い期間でなければ、巫女達の頑張りで持つとは思いますが」
「なら、休みを希望する。そして、その先は清水さんの所で!」
「美味しいご飯!」
「美容にいいものいっぱい!」
高遠君の後に高田君と武藤さんが続いて発言した。三人に迫られたアル様は困り顔だ。
「困りましたね。全員がとなると、私の一存では判断できません。父上に相談しましょう」
そう言って、謁見の手配をあっという間に整えてしまった。
「それでは、私達は帰ります。決まったら連絡いただければ」
そう言ったところで、アル様は私達にも来るように言った。
断ろうとしたけど、アル様からここにいる全員が来るように言われて仕方なく一緒に行くことになった。
場所は、広い作りの応接室に案内された。
部屋に入ると、まだ、王様は来ていなかった。一番奥は王様が座ることになるので、その前のソファーに高遠君達五人が座り、その横のソファーにアル様が座った。私達は、ソファーから離れたところにある椅子に座って王様を待つことになった。
王様は忙しいみたいで、中々現れなかった。お茶を飲みつつ、こっそり持っていたクッキーを駆君とタイガ君と分け合って食べていると、王様が現れた。
部屋に入ってきた王様は、私達が立ち上がろうとすると、「そのままで」と言って奥のソファーに座った。その後ろにはジョエルさんが控える様に立っていた。
「さて、聖女たちよ。そなた達は休暇を希望すると聞いたが?」
王様の言葉に、高遠君が代表して答えた。
「王様、今まで良くしていただいて勝手とは思いますが、俺達は休みが欲しいです。このまま役目を果たしたとしても、精神的に参っていつか失敗してしまうかもしれません」
「そうか、異世界に召喚したのもこちらの都合。更には、元の世界に帰してやることも叶わない。すまない。お前達にはこれからも力を貸してほしい。なので、一時ではあるが休暇を許そう」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
意外と話はあっさりと終わった。でも、何で私達も呼ばれたのか分からない。これなら私達はいらなかったんじゃないかと思っていると、王様は私達の方を向いた。
一瞬タイガ君の事を見た後、複雑な表情を一瞬見せたと思ったらすぐに元の表情に戻っていた。
もしかして、影武者のことで……と、少し不安になったけど不用意なことは発言しない方がいいと判断し、王様の言葉を待った。
「して、聖女たちは、そなた達の家に滞在を希望しているようだと聞いたが?」
「父上、いいですか?」
「どうした?」
「そちらの女性は、私のために、【幸福のワイン】とあのケーキを作成してくれた錬金術師です」
「なんと!!あのケーキの!何故早く言わんのだ!!」
「いえ、話には順番が……」
「ええい、まどろっこしい。錬金術師殿名は確か、小春と言ったかな?あの美味なる食べ物、私も食べたが、今まで食べたことのない美味しさで驚いたぞ」
そう言われて、答えていいのか分からず困っていると、ジョエルさんが助け船を出してくれた。
「小春さん、国王は大層あの祝いのケーキを気にいっていてね」
「そうなんですね。ありがとうございます。でも、ジョエルさん、確かいくつか試作のケーキを持ってか―――」
「はわーーーー!」
ジョエルさんは急に大きな声を出したと思うと、別の話を振ってきた。
「それで、小春さんのお家に五人を―――」
「ジョエル……。小春の言っていた試作のケーキとは?」
「……」
あれ?もしかして、持って帰ったケーキを一人で食べたの?確か、持って帰りたいと言ったとき、王様にって……。あぁ、ジョエルさんはダメな大人だったわね。
ここは何も言わずに傍観しよう。
「ジョエル……」
「わっ、私はケーキの監修をしただけででです」
「ほほう」
「べべべつに。試食をしたくてではなくてでですね。これは仕事……」
「ほほう。仕事と」
「国王!!本当に面倒ですね!小春さんのお菓子は最高で良く食べに行っていますよ!!それが何か?仕事はきちんとしているので問題はないと思いますが!!」
あっ、開き直った。
「ずるいぞ、お前だけ。いつもお前は美味しいところを独り占めする」
「そんなことないです」
「いいや!あの時も」
なんだか、言い合いが始まってしまった。疑問に思っているとアル様が教えてくれた。
「ふふ。二人は、幼馴染なんだってさ。仲良しだよね」
「「仲良し言うな!!」」
あっ。息ぴったり。本当に仲良しだね。でも、思っても口にはしなかった。だって、王様と、ジョエルさんまた言い合いを始めてしまった。下手に口を出すと更にヒートアップしそうで怖いわ。
二人が落ち着くのを待っていると、第一王子がやってきた。
「父上、会議の時間になっても来ないので迎えに来ました。これはどうされたのですか?」
第一王子は部屋にいるメンバーの顔を見て首を傾げた。
「おお、すまんかった。これは、聖女たちが休暇を欲しいということで、その許可を与えていたところだ」
「休暇ですか?」
「うむ。今まで国のために働いてくれていたからの」
「それで、休暇中はどこで過ごすことに?」
「そこにいる錬金術師の家で世話になることになっておる」
「たしか、アルの……ケーキの君か」
なんですかそのケーキの君って……
「兄上!!」
「それで、ケーキの君の家は全員が寝泊まりできるほどなのか?」
「あの~。そのケーキの君って?」
「ん?アルのために美味なるものを用意してくれた錬金術師の名前を聞いても教えてくれなかったのでそう呼んでいた」
「そう……なんですね。えっと、私は清水小春といいます」
「分かった。小春だな」
「はい。それと、実は全員寝泊まりできる場所は家の中にはありません」
「なんだと?」
「えっと、詳しくは説明できませんが、五人に家を使ってもらって私達三人は工房に寝泊まりすれば解決です」
その言葉を聞いて、駆君とタイガ君が待ったをかけた。
「小春、さっきも言ったがいくらなんでも俺達と一緒の部屋はその、いろいろと不味い」
「小春さんと一緒の部屋は嬉しいけど、駆も一緒なのはちょっと」
「おい、タイガそれはどういうことだ」
「言葉通りだよ?」
「まって、二人とも。工房の中だけど一緒の部屋という訳じゃないから大丈夫だよ」
「「??」」
「そういう訳なので、寝泊まりについては大丈夫です」
「そうか、なら私がその大丈夫ということが本当なのか確認に行くから」
そう言って、第一王子が一緒についてくることになってしまった。更に言うと、第一王子一人では危険なので、騎士団副団長のファニスさんが護衛として一緒に行くこととなった。
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