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第一部
第37話 準聖女
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玄関先には、メリッサさんと、ファニスさんがいた。ファニスさんは、分かるけど、メリッサさんはどうしたんだろう?
「小春ちゃん、こんにちは」
「こんにちは。今日はどうしたんですか?」
「小春さん。宰相はもう来ていますか?」
「はい。来てますよ?」
「その件で、メリッサと来たんだよ」
「メリッサさんも?」
「ああ。説明は宰相がしてくれると思う」
「分かりました。リビングにどうぞ」
そう言って、二人をリビングに通した。すると、二人に気が付いたジョエルさんが声をかけた。
「これはこれは、準聖女殿とファニスではないですか。早かったですね。何か分かりましたか?」
えっ?いま、準聖女って言ったような?困惑が伝わったのか、ジョエルさんが改めて説明してくれた。
「彼女は、準聖女のメリッサさんです。今回の件で協力してもらっている準聖女が、彼女です」
「宰相さん。私は役目を終えたので、元準聖女です」
「そうでしたね。それで、何か進展があったということでいいのですか?」
「はい。それが……、ひっ!!」
メリッサさんが何かを話し始めようとした時、何かに脅えるように小さな悲鳴を上げて、隣にいたファニスさんの陰に隠れてしまった。
どうしたのかと思い、メリッサさんの顔を見ると、青い顔をしていた。これはただ事ではないと感じ、声を掛けようとした。
でも、私が声をかける前に、ガルドさんがメリッサさんに話しかけたのだ。
「おいおい、そんなに怖がらないでくれ」
「ひっ!」
「騎士団長、メリッサを怖がらせないで下さいって、いつも言っているでしょうが。なので、今すぐ出て行って下さい」
「ちょっ!それが上司に対する言葉か?」
「俺は、上司よりも可愛いメリッサの見方なだけです。世界が逆さになったとしても、こんなムサ苦しいおっさんよりも、可愛いメリッサの見方をするのは世界の摂理ですから」
「おっおにいちゃん……」
「!!可愛い俺のメリッサ!こんなおっさんなんで気にすることはないから」
「でも、私が……」
「前も言っただろう?俺はお前の守護騎士になる為に生れてきたって。だから、誰に何と言われても、お前が最優先なんだよ。だから、そんなに怯えないで、お前が怖いと思う物は俺が全力で排除するから安心しろ。だから、お兄ちゃんじゃなくて、ファニスな?」
「うん。ファニスさん。取り乱してごめんなさい」
「いいよ。たまには昔みたいに呼んでもらうのもいいもんだよ」
「も~」
「ふふ。そんなに頬を膨らませるとこうだぞ」
「む~」
あれ?さっきまでメリッサさんが騎士団長に脅えていて、ファニスさんと騎士団長が険悪な感じだったような気がしたんだけど、何故か今はメリッサさんのぽっぺをファニスさんがツンツンしているこの状況は?一体なに?
私が困惑していると、駆君がファニスさんに突っ込んだ?
「何しに来たんだよ?リア充は爆発しろ」
「おっと、悪かった。りあじゅう?は良く分からないけど、説明するから爆発はかんべんな」
そう言って、二人がここに来たことについて説明をしてくれた。
「宰相さんからの協力依頼で、あの人と話をしました。それで、あの人が情報を話す気になりそうな心当たりがあって、正教会に発言の許可を取っていて少し時間がかかりましたが、あの人から他の信者の人たちの情報を聞き出せました」
「おお、流石は準聖女殿」
「元です。それで、他の信者の居場所については、騎士団の人たちに伝えて今調査をしてもらっているところです」
「そうか、良ければ狂信者が話す気になったという心当たりが何か聞いても?」
「他言無用でお願いします」
そう言って、メリッサさんは、私達を見渡した。全員が頷いたのを見て、話し始めてくれた。
「準聖女にだけ閲覧が可能な始まりの聖女の日記があるんです。その中で、聖女の力を残すべく、王家の者との婚姻話が上がっているという記述がありました。始まりの聖女は、王家の血だからと言って、同じ力を持つ子供が生まれるとは思えないと、婚姻話を拒否していました。血縁関係で、同じような力が受け継がれるなら、自分の親族の中で同じ力を持っている者がいるという事になる、しかし今までそういった力があったという話を聞いたことがないという理由からだとも日記には書いてありました。それに、恋愛結婚がしたいから、政略結婚は嫌だ。それなら、力を別の方法で残すと。その方法が、準聖女と巫女の誕生と、異世界からの召喚です。そのことを話したら、血を捧げる方法なんて残されていないと理解してくれたようで、他の信者にも同じ話をしてあげて欲しいと、居場所を教えてくれました。居場所が分かり次第、元準聖女ですが、最後の御勤めと思い、説明に向かおうと思います」
「なるほど、もしかするとその血を残すための婚姻の話が歪んで伝わって、王家の血を贄にすると言った話に発展した可能性はありますね」
「はい。あの人も宰相さんと同じような事を言っていました」
「それでは、そこで小さくなっている騎士団長殿は調査の進捗の確認をお願いしますね」
「分かりました。メリッサ、協力感謝する」
「ぴゃっ!」
「感謝は、俺からメリッサに伝えるので、おっさんは話しかけるな。そして、さっさと行け」
「だんだん、お前の俺に対する態度ひどくなってない?」
「知らん!」
何だろう?メリッサさんはもう、ガルドさんに話しかけられると条件反射で怯えている気がする。それに、ファニスさんって、メリッサさんが絡むと、ちょっと……。うん。愛だよね。愛。
「小春ちゃん、こんにちは」
「こんにちは。今日はどうしたんですか?」
「小春さん。宰相はもう来ていますか?」
「はい。来てますよ?」
「その件で、メリッサと来たんだよ」
「メリッサさんも?」
「ああ。説明は宰相がしてくれると思う」
「分かりました。リビングにどうぞ」
そう言って、二人をリビングに通した。すると、二人に気が付いたジョエルさんが声をかけた。
「これはこれは、準聖女殿とファニスではないですか。早かったですね。何か分かりましたか?」
えっ?いま、準聖女って言ったような?困惑が伝わったのか、ジョエルさんが改めて説明してくれた。
「彼女は、準聖女のメリッサさんです。今回の件で協力してもらっている準聖女が、彼女です」
「宰相さん。私は役目を終えたので、元準聖女です」
「そうでしたね。それで、何か進展があったということでいいのですか?」
「はい。それが……、ひっ!!」
メリッサさんが何かを話し始めようとした時、何かに脅えるように小さな悲鳴を上げて、隣にいたファニスさんの陰に隠れてしまった。
どうしたのかと思い、メリッサさんの顔を見ると、青い顔をしていた。これはただ事ではないと感じ、声を掛けようとした。
でも、私が声をかける前に、ガルドさんがメリッサさんに話しかけたのだ。
「おいおい、そんなに怖がらないでくれ」
「ひっ!」
「騎士団長、メリッサを怖がらせないで下さいって、いつも言っているでしょうが。なので、今すぐ出て行って下さい」
「ちょっ!それが上司に対する言葉か?」
「俺は、上司よりも可愛いメリッサの見方なだけです。世界が逆さになったとしても、こんなムサ苦しいおっさんよりも、可愛いメリッサの見方をするのは世界の摂理ですから」
「おっおにいちゃん……」
「!!可愛い俺のメリッサ!こんなおっさんなんで気にすることはないから」
「でも、私が……」
「前も言っただろう?俺はお前の守護騎士になる為に生れてきたって。だから、誰に何と言われても、お前が最優先なんだよ。だから、そんなに怯えないで、お前が怖いと思う物は俺が全力で排除するから安心しろ。だから、お兄ちゃんじゃなくて、ファニスな?」
「うん。ファニスさん。取り乱してごめんなさい」
「いいよ。たまには昔みたいに呼んでもらうのもいいもんだよ」
「も~」
「ふふ。そんなに頬を膨らませるとこうだぞ」
「む~」
あれ?さっきまでメリッサさんが騎士団長に脅えていて、ファニスさんと騎士団長が険悪な感じだったような気がしたんだけど、何故か今はメリッサさんのぽっぺをファニスさんがツンツンしているこの状況は?一体なに?
私が困惑していると、駆君がファニスさんに突っ込んだ?
「何しに来たんだよ?リア充は爆発しろ」
「おっと、悪かった。りあじゅう?は良く分からないけど、説明するから爆発はかんべんな」
そう言って、二人がここに来たことについて説明をしてくれた。
「宰相さんからの協力依頼で、あの人と話をしました。それで、あの人が情報を話す気になりそうな心当たりがあって、正教会に発言の許可を取っていて少し時間がかかりましたが、あの人から他の信者の人たちの情報を聞き出せました」
「おお、流石は準聖女殿」
「元です。それで、他の信者の居場所については、騎士団の人たちに伝えて今調査をしてもらっているところです」
「そうか、良ければ狂信者が話す気になったという心当たりが何か聞いても?」
「他言無用でお願いします」
そう言って、メリッサさんは、私達を見渡した。全員が頷いたのを見て、話し始めてくれた。
「準聖女にだけ閲覧が可能な始まりの聖女の日記があるんです。その中で、聖女の力を残すべく、王家の者との婚姻話が上がっているという記述がありました。始まりの聖女は、王家の血だからと言って、同じ力を持つ子供が生まれるとは思えないと、婚姻話を拒否していました。血縁関係で、同じような力が受け継がれるなら、自分の親族の中で同じ力を持っている者がいるという事になる、しかし今までそういった力があったという話を聞いたことがないという理由からだとも日記には書いてありました。それに、恋愛結婚がしたいから、政略結婚は嫌だ。それなら、力を別の方法で残すと。その方法が、準聖女と巫女の誕生と、異世界からの召喚です。そのことを話したら、血を捧げる方法なんて残されていないと理解してくれたようで、他の信者にも同じ話をしてあげて欲しいと、居場所を教えてくれました。居場所が分かり次第、元準聖女ですが、最後の御勤めと思い、説明に向かおうと思います」
「なるほど、もしかするとその血を残すための婚姻の話が歪んで伝わって、王家の血を贄にすると言った話に発展した可能性はありますね」
「はい。あの人も宰相さんと同じような事を言っていました」
「それでは、そこで小さくなっている騎士団長殿は調査の進捗の確認をお願いしますね」
「分かりました。メリッサ、協力感謝する」
「ぴゃっ!」
「感謝は、俺からメリッサに伝えるので、おっさんは話しかけるな。そして、さっさと行け」
「だんだん、お前の俺に対する態度ひどくなってない?」
「知らん!」
何だろう?メリッサさんはもう、ガルドさんに話しかけられると条件反射で怯えている気がする。それに、ファニスさんって、メリッサさんが絡むと、ちょっと……。うん。愛だよね。愛。
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