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第一部
第34話 ご飯を食べよう
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タイガ君が意識を失ったところで、王城仕えのお医者さんが駆け付けた。タイガ君の様子を見て、血が少なくなっているけど、命に別状はないと診断して、意識が戻ったらご飯を沢山食べさせることが回復の早道と言って、他のけが人の元に行ってしまった。
取り押さえられていた、狂信者の人たちは取り調べのため、すでに連れて行かれていた。
第二王子は、会場の混乱を解消するために、「私は、友や宰相、騎士団に守られたので無事です。そして、私を守ってくれた友も、命に別状はないということです。今回の件については、取り調べが終わり次第正式な見解を発表します」と集まった人たちに言ってから開場を後にした。
最初はタイガ君をお城に連れて行って介抱したいと言っていたけど、看病はうちでするとお断りをして、今は三人で家に戻ってきている。
ただ、身辺警護ということで、何故かガルドさんが一緒に付いてきた。
「騎士団長なら、第二王子の側にいるべきとなのでは?」
「いや、王子の周りには、ファニスを始め、優秀な騎士達が居るので大丈夫だ。今はタイガの様子が気になるから、側にいるようにと王子と宰相に頼まれたのだ。だから余り邪険にしてくれるな」
「別に、そんなんじゃない。ただ、騎士団の中にはまだ、狂信者の疑いがある者もいるんじゃないのか?」
「それは、これからの取り調べ次第だ……」
駆君と、ガルドさんはそんなやり取りをしていた。
私はその間、ベッドで眠るタイガ君の側についていた。顔色は白いままだけど、苦しさとかは無いようで、ただ寝ているだけに見えた。
時折、寝言を呟いているようだったけど、小さなつぶやきで聞きとることはできなかった。
ただ、「今まで、ありがとう」と言ったことだけは聞きとることが出来た。
結局、その日は目覚めることはなく、事件が起こった日から二日後の朝にタイガ君は目を覚ました。
「小春さん、駆。心配掛けてごめんね」
「ううん。いいの、君が生きてくれていることがすべてだよ」
「別に心配してないから、お前が無事な事は前から知っていたことだからな」
「ふふ。昔は、素直ないい子だったのに、ちょっと可愛げがなくなったよね」
「ちょっ!あの頃は俺の方が年上だったんだぞ、何だそのいい子発言は!」
「だって、初めて話した時の印象が年下だったんだから仕方ないよ。それに、今は僕の方が年上だしね」
久しぶりに三人でする会話が嬉しくて、一部の会話に違和感があることに気づくのが遅れてしまったのよ。
「ちょっと待って!」
「ん?」
「どうしたんですか?」
「えっ?あれ?私がおかしいの?二人って?あれ?」
「そう言えば、小春に事情をまったく説明していなかったな」
「そう言えばそうかも?でもどこから話したらいいのかな?」
「待って、この意味が分からない状況も含めて、式典会場での事も話してくれるってことでいいのかな?」
「ああ、俺が知っていた事も含めて分かることは説明する。それに、そろそろ、城からの見解も周知されるタイミングだったはずだしな」
「そう、と言うことは結構長い話になるんだよね?」
「そうだね、小春さんに言わないといけないことが沢山ありすぎてどこから話したらいいか分からない位だよ」
「分かったわ。すごく気になるけど、話してくれるなら、今はタイガ君の顔色を元に戻すことが先決よ。お腹減ったでしょ?ご飯にしましょう」
私がそう言ったところで、タイガ君のお腹から『く~』という、可愛らしい音がしたのだった。
動くのが辛ければ、食事は運ぶと言ったら、「お腹がすごく空いているだけで、痛いところとか異常を感じるところはないよ」とタイガ君が言ったので、いつも通りダイニングテーブルでご飯を食べることになった。
ご飯は、いつタイガ君が起きてもいいようにいろいろ作っていたので、オーブンレンジ(仮)で温めるだけでいいように準備をしていた。
タイガ君はいつも以上にご飯を食べていた。血を増やすためにご飯を沢山食べさせるようにと、お医者様には言われたけど、その想定を上回る量を食べていた。
なので、準備した量では満腹には程遠いことが分かり、第二弾を作ることにしたが、作るのに時間をもらいたいと言って、タイガ君には、駆君に付き添ってもらって、お風呂でさっぱりしてもらうことを提案した。
「なんだか、初めてここでお世話になった日のことを思い出します」
「そう言えば、あの時も俺が風呂に入れてやったっけな」
「そうです。拾われた時の僕が余りにも汚かったから、お風呂から出たら、小春さんすごく驚いていましたよね」
そんなことを話しながら、二人はお風呂場に消えて行った。
私はと言うと、追加のご飯を作る為に買い出しに向かった。急ぎだった事と、結構な荷物になると予想して、大きめの買いもの籠をを箒の柄にぶら下げて、猛スピードで食材を買いにまさに飛んで行ったのだ。
最近は、私の箒にもみんな慣れたようで、飛んでいても驚かれることはなくなったのよね。小さな子どもたちは、飛んでいる私を見ると何故かキャーキャーと喜ぶので、上から手を振ってあげたりもする。そうすると、手を振りながら更に、よろこんでくれるところを見ると、ほっこりした気持ちになるのよね。
そうして、急いで買いものを済ませた私は、タイガ君のためのご飯第二弾を作り始めた。
取り押さえられていた、狂信者の人たちは取り調べのため、すでに連れて行かれていた。
第二王子は、会場の混乱を解消するために、「私は、友や宰相、騎士団に守られたので無事です。そして、私を守ってくれた友も、命に別状はないということです。今回の件については、取り調べが終わり次第正式な見解を発表します」と集まった人たちに言ってから開場を後にした。
最初はタイガ君をお城に連れて行って介抱したいと言っていたけど、看病はうちでするとお断りをして、今は三人で家に戻ってきている。
ただ、身辺警護ということで、何故かガルドさんが一緒に付いてきた。
「騎士団長なら、第二王子の側にいるべきとなのでは?」
「いや、王子の周りには、ファニスを始め、優秀な騎士達が居るので大丈夫だ。今はタイガの様子が気になるから、側にいるようにと王子と宰相に頼まれたのだ。だから余り邪険にしてくれるな」
「別に、そんなんじゃない。ただ、騎士団の中にはまだ、狂信者の疑いがある者もいるんじゃないのか?」
「それは、これからの取り調べ次第だ……」
駆君と、ガルドさんはそんなやり取りをしていた。
私はその間、ベッドで眠るタイガ君の側についていた。顔色は白いままだけど、苦しさとかは無いようで、ただ寝ているだけに見えた。
時折、寝言を呟いているようだったけど、小さなつぶやきで聞きとることはできなかった。
ただ、「今まで、ありがとう」と言ったことだけは聞きとることが出来た。
結局、その日は目覚めることはなく、事件が起こった日から二日後の朝にタイガ君は目を覚ました。
「小春さん、駆。心配掛けてごめんね」
「ううん。いいの、君が生きてくれていることがすべてだよ」
「別に心配してないから、お前が無事な事は前から知っていたことだからな」
「ふふ。昔は、素直ないい子だったのに、ちょっと可愛げがなくなったよね」
「ちょっ!あの頃は俺の方が年上だったんだぞ、何だそのいい子発言は!」
「だって、初めて話した時の印象が年下だったんだから仕方ないよ。それに、今は僕の方が年上だしね」
久しぶりに三人でする会話が嬉しくて、一部の会話に違和感があることに気づくのが遅れてしまったのよ。
「ちょっと待って!」
「ん?」
「どうしたんですか?」
「えっ?あれ?私がおかしいの?二人って?あれ?」
「そう言えば、小春に事情をまったく説明していなかったな」
「そう言えばそうかも?でもどこから話したらいいのかな?」
「待って、この意味が分からない状況も含めて、式典会場での事も話してくれるってことでいいのかな?」
「ああ、俺が知っていた事も含めて分かることは説明する。それに、そろそろ、城からの見解も周知されるタイミングだったはずだしな」
「そう、と言うことは結構長い話になるんだよね?」
「そうだね、小春さんに言わないといけないことが沢山ありすぎてどこから話したらいいか分からない位だよ」
「分かったわ。すごく気になるけど、話してくれるなら、今はタイガ君の顔色を元に戻すことが先決よ。お腹減ったでしょ?ご飯にしましょう」
私がそう言ったところで、タイガ君のお腹から『く~』という、可愛らしい音がしたのだった。
動くのが辛ければ、食事は運ぶと言ったら、「お腹がすごく空いているだけで、痛いところとか異常を感じるところはないよ」とタイガ君が言ったので、いつも通りダイニングテーブルでご飯を食べることになった。
ご飯は、いつタイガ君が起きてもいいようにいろいろ作っていたので、オーブンレンジ(仮)で温めるだけでいいように準備をしていた。
タイガ君はいつも以上にご飯を食べていた。血を増やすためにご飯を沢山食べさせるようにと、お医者様には言われたけど、その想定を上回る量を食べていた。
なので、準備した量では満腹には程遠いことが分かり、第二弾を作ることにしたが、作るのに時間をもらいたいと言って、タイガ君には、駆君に付き添ってもらって、お風呂でさっぱりしてもらうことを提案した。
「なんだか、初めてここでお世話になった日のことを思い出します」
「そう言えば、あの時も俺が風呂に入れてやったっけな」
「そうです。拾われた時の僕が余りにも汚かったから、お風呂から出たら、小春さんすごく驚いていましたよね」
そんなことを話しながら、二人はお風呂場に消えて行った。
私はと言うと、追加のご飯を作る為に買い出しに向かった。急ぎだった事と、結構な荷物になると予想して、大きめの買いもの籠をを箒の柄にぶら下げて、猛スピードで食材を買いにまさに飛んで行ったのだ。
最近は、私の箒にもみんな慣れたようで、飛んでいても驚かれることはなくなったのよね。小さな子どもたちは、飛んでいる私を見ると何故かキャーキャーと喜ぶので、上から手を振ってあげたりもする。そうすると、手を振りながら更に、よろこんでくれるところを見ると、ほっこりした気持ちになるのよね。
そうして、急いで買いものを済ませた私は、タイガ君のためのご飯第二弾を作り始めた。
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