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第一部
第23話 イケメンなのに残念な人
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開き直ったギルドマスターは、まずいと思ったのか、更にいい訳を始めた。
「もっ、もちろん、俺だけで飲んだんじゃないぞ。ギルドの職員全員でだからな!」
あっ、組織ぐるみでの隠ぺいだったんですね。ここは、ダメな大人の巣窟ですか?
「それに、あんな旨いものをおいそれと、それも数本も置いてく方が悪い!」
えっ!こっちに飛び火したんだけど……。
それに、私はどちらかと言うと被害者です。持っているものすべて置いて行けとすごい顔で脅迫されたんですから。
「ゴホン!そんなことより、買い取り価格の話をだな……」
「そうですね。小春さんの時間をいただいているので、これ以上時間を取らせるのも申し訳ないですしね。この話は後ほどじっくりといたしましょう。ギルドマスター」
食べ物の恨みってすごいね。宰相さん、すごくいい笑顔だけど全然目が笑ってないです。この後、ギルドマスターが無事生き残れますように。
「さて、ロジエルと話しあいましたが、金100枚で買い取りましょう」
「金100枚!!多すぎです!!」
「いえ、そんなことはありません。これでも安いと思いますよ」
「えぇ~。そんな金額を付けられたらお店に置けないです……」
「おい!店に置くんだったらその値段でも俺は買うから安心しろ!」
「ちょっと、ギルドマスターは黙っていてください」
「……」
肩身の狭い状態のギルドマスターは、宰相さんにそう言われて押し黙っていた。
でも、金100枚だなんて、7年は働かなくても食べていける金額だ。
そんな金額の商品をお店に置く訳にはいかない。私の中では、ちょっとお高い嗜好品の位置づけだったので、お店に置くなら銀10枚と考えていたのに……。
お城の人って、金銭感覚おかしいの?いや、でもお城を出来る時3年分の生活費としてもらった金額は金40枚だったことを思い出し、おかしいのは宰相さんとロジエルさんと言うことで私の中で決着が付いた。
「小春さん。この金額は、【幸福のワイン】1本の価格ではなく、レシピ代や研究費、もろもろの経費込みでの値段と考えて下さい。お店で販売する時はお好きな値段でどうぞ」
「そうですか、それなら心おきなく銀10枚で販売できそうで良かったです」
「「「「「銀10枚!!!」」」」」
「えっ?高すぎますか?」
「「「「「逆!!安すぎだから!!」」」」」
大人達に突っ込まれた。そうだよね、王子様にプレゼントする物が銀10枚で買えたらまずいよね。
「すみません。王子様にプレゼントするものとして、この金額はまずいですよね。それなら、残念ですけどお店には置かないことにしますね」
そういって、今後売らないことを決めた。宰相さんが用意したプレゼントが安い品物だったら沽券にかかわるもんね。それに、王子様にも悪いし。
「そっ、そんな……。もう飲めないのか。いや、完全受注制にして金100枚でもいいから売ってくれ!!」
ギルドマスター……。必至すぎでちょっと引きます。そう思っていたら。
「俺からもお願いしたい。メリッサがすごく気に入っていてね。また飲みたいと言っていたから、是非売ってもらいたい」
思わぬ援護射撃が来たよ。そっか、メリッサさん気にいってくれたんだ。良かった。
「それなら、今度うちで夕飯でも食べながらどうですか?また、フェルトさんも呼んで!」
「それは、メリッサも喜ぶ!俺もメリッサが喜ぶ顔見れて嬉しいよ。小春さんありがとう」
「いえいえ、それじゃぁ、皆さんの都合が合う日でご飯会をしましょう」
「わかった。メリッサはいつでも大丈夫と言ってくれるはずだから、俺と姉貴の都合のいい日を確認して伝えるよ」
そう言って、ご飯会の企画が立ち上がった。
「ちょっと待て、副団長殿はいつ飲んだんだ?」
「先日、小春さんが美味しいジュースが出来たからと試飲会を開いてくれた。蓋を開けてみると、ジュースではなくワインだったが。あの時に食べたピザと言ったか、あのとろとろにとろけたチーズがワインと合って旨かった。あのときは、【幸福のワイン】が生きている内に飲めるとは思わなかったよ。小春さん、あの時の物が【幸福のワイン】だったんですよね」
「そうです、フェルトさんには試飲してもらった後に伝えましたが、味の感想を聞いてみたくて皆さんを誘いました」
「ちょ、ちょっと待て。待て待て。ぴざって何だ?他にも旨いものがあるのか?」
おっと、ギルドマスターそっちに食いついたのね。ぐいぐい来るね。そう考えていたら、ファニスさんがその時のメニューについて説明した。追撃するように、駆君とタイガ君も日々食べているご飯について話し始めた。なんだか、この流れって……
「俺も行く!いつでも良いからその食事会に呼んでくれ!」
あぁ、食い気というか本能に忠実な人なんだね。イケメンなのに残念な人の称号を贈るよ。そんなことを考えていると、宰相さんとロジエルさん、騎士団長も何故か参戦していた。
「ほうほう、そのちーずいんはんばーぐとやらを私は食べてみたいです」
「いやいや、宰相。ここはおむらいすというやつのほうが興味がありますよ」
「それなら、食べ比べてみればいいのでは。俺はどっちも食べたい。と言うか聞いた料理すべて食べたい」
「「なるほど、それは名案だ」」
ちょっ!名案じゃないよ!このままだと、ここのメンバーがご飯会に集まることになってしまう。偉そうな人、と言うか実際に偉い人たちがうちに来るなんて絶対近所で噂になって、住みにくくなっちゃうよ。それだけは絶対に避けたい。
「―――やです」
「?」
「嫌です!!」
思わず、私は全力で拒否の言葉を叫んでしまっていた。
「私は、のんびり生活したいんです!うちに国の偉い人が来たら騒がれちゃいます!!ただでさえ異世界から来た事を秘密にしていたのに、これ以上秘密を増やさせないで下さい!!」
会議室が私の絶叫で静まり返った。そして、思わず余計なことを口走ってしまったことに遅れて気が付いたのだった。
「もっ、もちろん、俺だけで飲んだんじゃないぞ。ギルドの職員全員でだからな!」
あっ、組織ぐるみでの隠ぺいだったんですね。ここは、ダメな大人の巣窟ですか?
「それに、あんな旨いものをおいそれと、それも数本も置いてく方が悪い!」
えっ!こっちに飛び火したんだけど……。
それに、私はどちらかと言うと被害者です。持っているものすべて置いて行けとすごい顔で脅迫されたんですから。
「ゴホン!そんなことより、買い取り価格の話をだな……」
「そうですね。小春さんの時間をいただいているので、これ以上時間を取らせるのも申し訳ないですしね。この話は後ほどじっくりといたしましょう。ギルドマスター」
食べ物の恨みってすごいね。宰相さん、すごくいい笑顔だけど全然目が笑ってないです。この後、ギルドマスターが無事生き残れますように。
「さて、ロジエルと話しあいましたが、金100枚で買い取りましょう」
「金100枚!!多すぎです!!」
「いえ、そんなことはありません。これでも安いと思いますよ」
「えぇ~。そんな金額を付けられたらお店に置けないです……」
「おい!店に置くんだったらその値段でも俺は買うから安心しろ!」
「ちょっと、ギルドマスターは黙っていてください」
「……」
肩身の狭い状態のギルドマスターは、宰相さんにそう言われて押し黙っていた。
でも、金100枚だなんて、7年は働かなくても食べていける金額だ。
そんな金額の商品をお店に置く訳にはいかない。私の中では、ちょっとお高い嗜好品の位置づけだったので、お店に置くなら銀10枚と考えていたのに……。
お城の人って、金銭感覚おかしいの?いや、でもお城を出来る時3年分の生活費としてもらった金額は金40枚だったことを思い出し、おかしいのは宰相さんとロジエルさんと言うことで私の中で決着が付いた。
「小春さん。この金額は、【幸福のワイン】1本の価格ではなく、レシピ代や研究費、もろもろの経費込みでの値段と考えて下さい。お店で販売する時はお好きな値段でどうぞ」
「そうですか、それなら心おきなく銀10枚で販売できそうで良かったです」
「「「「「銀10枚!!!」」」」」
「えっ?高すぎますか?」
「「「「「逆!!安すぎだから!!」」」」」
大人達に突っ込まれた。そうだよね、王子様にプレゼントする物が銀10枚で買えたらまずいよね。
「すみません。王子様にプレゼントするものとして、この金額はまずいですよね。それなら、残念ですけどお店には置かないことにしますね」
そういって、今後売らないことを決めた。宰相さんが用意したプレゼントが安い品物だったら沽券にかかわるもんね。それに、王子様にも悪いし。
「そっ、そんな……。もう飲めないのか。いや、完全受注制にして金100枚でもいいから売ってくれ!!」
ギルドマスター……。必至すぎでちょっと引きます。そう思っていたら。
「俺からもお願いしたい。メリッサがすごく気に入っていてね。また飲みたいと言っていたから、是非売ってもらいたい」
思わぬ援護射撃が来たよ。そっか、メリッサさん気にいってくれたんだ。良かった。
「それなら、今度うちで夕飯でも食べながらどうですか?また、フェルトさんも呼んで!」
「それは、メリッサも喜ぶ!俺もメリッサが喜ぶ顔見れて嬉しいよ。小春さんありがとう」
「いえいえ、それじゃぁ、皆さんの都合が合う日でご飯会をしましょう」
「わかった。メリッサはいつでも大丈夫と言ってくれるはずだから、俺と姉貴の都合のいい日を確認して伝えるよ」
そう言って、ご飯会の企画が立ち上がった。
「ちょっと待て、副団長殿はいつ飲んだんだ?」
「先日、小春さんが美味しいジュースが出来たからと試飲会を開いてくれた。蓋を開けてみると、ジュースではなくワインだったが。あの時に食べたピザと言ったか、あのとろとろにとろけたチーズがワインと合って旨かった。あのときは、【幸福のワイン】が生きている内に飲めるとは思わなかったよ。小春さん、あの時の物が【幸福のワイン】だったんですよね」
「そうです、フェルトさんには試飲してもらった後に伝えましたが、味の感想を聞いてみたくて皆さんを誘いました」
「ちょ、ちょっと待て。待て待て。ぴざって何だ?他にも旨いものがあるのか?」
おっと、ギルドマスターそっちに食いついたのね。ぐいぐい来るね。そう考えていたら、ファニスさんがその時のメニューについて説明した。追撃するように、駆君とタイガ君も日々食べているご飯について話し始めた。なんだか、この流れって……
「俺も行く!いつでも良いからその食事会に呼んでくれ!」
あぁ、食い気というか本能に忠実な人なんだね。イケメンなのに残念な人の称号を贈るよ。そんなことを考えていると、宰相さんとロジエルさん、騎士団長も何故か参戦していた。
「ほうほう、そのちーずいんはんばーぐとやらを私は食べてみたいです」
「いやいや、宰相。ここはおむらいすというやつのほうが興味がありますよ」
「それなら、食べ比べてみればいいのでは。俺はどっちも食べたい。と言うか聞いた料理すべて食べたい」
「「なるほど、それは名案だ」」
ちょっ!名案じゃないよ!このままだと、ここのメンバーがご飯会に集まることになってしまう。偉そうな人、と言うか実際に偉い人たちがうちに来るなんて絶対近所で噂になって、住みにくくなっちゃうよ。それだけは絶対に避けたい。
「―――やです」
「?」
「嫌です!!」
思わず、私は全力で拒否の言葉を叫んでしまっていた。
「私は、のんびり生活したいんです!うちに国の偉い人が来たら騒がれちゃいます!!ただでさえ異世界から来た事を秘密にしていたのに、これ以上秘密を増やさせないで下さい!!」
会議室が私の絶叫で静まり返った。そして、思わず余計なことを口走ってしまったことに遅れて気が付いたのだった。
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