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第一部
第9話 ハンドクリーム
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ご近所さんにご挨拶に行こうとしたら駆君が一緒に行くと言いだした。
一瞬悩んだものの、引越しのご挨拶の二人で行ったので、今回も一緒でいいかと考えた私は、駆くんと出掛けることにした。
数軒のご近所さんに開店のご挨拶をしながら、売っていたら嬉しい商品についてもリサーチをすることにした。
これは、駆君が閃いてくれたことだ。
そんな中、最後にご挨拶をした女性が手荒れに悩んでいると言っていた。
その女性に手を見せてもらうと、確かにひび割れて痛々しい手をしていた。
他の錬金術師のお店を偵察した際に、ハンドクリームや美容液などの類はなかったことを思い出した。
石鹸の他に、試しにハンドクリームを作って売ってみようと思い立った。
他にも、シャンプーやコンディショナーもいいかもしれない。
置いてみて売れ行きが良ければ、他のスキンケア用品とかも考えてみようかな?
家に帰る途中私は駆くんに付き合ってくれたことのお礼を言っていた。
駆くんは、なんでも無いことのように笑って返事をしてくれたのだった。
「商品について、いろいろいい案が浮かんだわ。早速、ハンドクリームを作ってみようと思うわ。今日は付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして。力になれたみたいで嬉しいよ」
帰宅後私はと言うと、工房にこもってハンドクリームの試作に取り掛かっていた。
帰る道すがら材料はいろいろと考えていたんだよね。
錬金窯さんに、用意した材料を入れて行く。
今回用意した材料は、先日スキンケア目的で作った植物性のクリームと同じく、植物性のオイルだ。
それと、街のお店で買ってきた蜜蝋と自作の栄養剤。最後に中和剤を入れたら上手に出来あがることを祈って待つこと数分。
「出来たぁ!特に香りづけはしなかったけど、自然ないい香り。手に塗った感じもしっとりとして馴染むし、いい感じね。誰かの意見を聞きたいところだけど、駆君って、ハンドクリームの良し悪し分かってくれるかな?」
そんな事を考えつつも、使用した感じを誰かに聞いてみたいと思った私は、駆君に試してもらうことに決めた。
「駆君、ハンドクリームを作ってみたんだけど試してもらってもいいかな?」
「俺でよければ喜んで」
駆くんは快諾してくれた。
私は早速駆くんの手の甲にハンドクリームを少量乗せた。
すると、駆くんはハンドクリームを塗り合わせてから匂いを嗅いだりしてから感想を言ってくれた。
「塗った感じもべた付かないし、匂いも無臭に近いけど微かに植物性のいい匂いがして、俺は好きだな。塗った後も、肌になじむ感じで成功だと思うよ」
「ありがとう。それじゃぁ、お店に置いてみて様子を見てみるよ」
よし、これで販売する商品は決まったわ。後は明日の開店後の反響次第で、改良したり、商品の入れ替えをして行こう。
◆◇◆◇
翌日。
開店したはいいが、お客さんが全く来ない。
閑古鳥が鳴いている。
私の心も泣いている。
そうだよね、開店したばかりの謎のお店より、いつも行っている馴染みのある錬金術師のお店でお買い物したいよね。
これは、当分様子を見て、全くお客さんが来る気配がなければ作戦を考えよう。
お店自体は素敵だと思うんだよね。
商品棚は、物が在りすぎて良く分からないと言った状態ではなく、商品を詰め過ぎないように、間隔をあけて陳列してあるし、説明書きをしたPOPも横に設置しているから、何の商品かわかりやすいようになっている。
お茶やクッキーなども置いているため、試飲や試食が出来るように、飲食できるスペースも用意している。
今後要望があれば、ケーキなどの甘味をお店で食べられるように喫茶スペースの用意も考えていたが、この状況だとそれも叶うまい。
しかし、それも杞憂だったようだ。
日課になりつつある、お茶をお店の飲食スペースで駆君と楽しんでいるとご挨拶に行ったご近所さんが様子を見にお店に来てくれたのだ。
「いらっしゃいませ。来ていただいて、とてもうれしいです」
そう言って、歓迎すると来てくれた女性、そう、手荒れで困っていると嘆いていた女性は笑顔を見せてくれた。
「頂いたクッキーってお菓子がとても美味しかったので、他に扱っている商品も見てみたいと思って、家のことも片づいたから寄らせてもらったのよ」
「そうですか、ありがとうございます。そうだ。手荒れでお困りだと伺ったので奥様にお勧めの商品があるんですよ。ぜひ試してみて下さい。」
「あら、奥様だなんて。やだわ、私のことはメリッサと呼んで頂戴な」
そう言って、奥様改め、メリッサさんが可愛らしい笑顔を見せてくれた。
メリッサさんは、私より年上で、21歳の小柄でとても可愛らしい女性だ。
ハンドクリームを試してもらっているときに、結婚したばかりでまだ子供がいないことと、結婚するまでは家事などしたことがなかったためとても苦労していることなど話してくれた。
「まぁ、このハンドクリーム?すごく良いわ。なんだか肌が潤った感じがするわ」
「水仕事の度とは行かなくても、夜寝る前に塗るだけでも違ってきますよ」
「そうなの!これ、いただこうかしら。お値段もとても素敵だしね」
「っ!ありがとうございます」
初めてのお客さん。初めて売れた私の作った物。すごくうれしい!!
ありがたい事に、メリッサさんがハンドクリームを宣伝してくれたおかげで閑古鳥が鳴くことも、私が閑古鳥に泣かされることもなくなった。
一瞬悩んだものの、引越しのご挨拶の二人で行ったので、今回も一緒でいいかと考えた私は、駆くんと出掛けることにした。
数軒のご近所さんに開店のご挨拶をしながら、売っていたら嬉しい商品についてもリサーチをすることにした。
これは、駆君が閃いてくれたことだ。
そんな中、最後にご挨拶をした女性が手荒れに悩んでいると言っていた。
その女性に手を見せてもらうと、確かにひび割れて痛々しい手をしていた。
他の錬金術師のお店を偵察した際に、ハンドクリームや美容液などの類はなかったことを思い出した。
石鹸の他に、試しにハンドクリームを作って売ってみようと思い立った。
他にも、シャンプーやコンディショナーもいいかもしれない。
置いてみて売れ行きが良ければ、他のスキンケア用品とかも考えてみようかな?
家に帰る途中私は駆くんに付き合ってくれたことのお礼を言っていた。
駆くんは、なんでも無いことのように笑って返事をしてくれたのだった。
「商品について、いろいろいい案が浮かんだわ。早速、ハンドクリームを作ってみようと思うわ。今日は付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして。力になれたみたいで嬉しいよ」
帰宅後私はと言うと、工房にこもってハンドクリームの試作に取り掛かっていた。
帰る道すがら材料はいろいろと考えていたんだよね。
錬金窯さんに、用意した材料を入れて行く。
今回用意した材料は、先日スキンケア目的で作った植物性のクリームと同じく、植物性のオイルだ。
それと、街のお店で買ってきた蜜蝋と自作の栄養剤。最後に中和剤を入れたら上手に出来あがることを祈って待つこと数分。
「出来たぁ!特に香りづけはしなかったけど、自然ないい香り。手に塗った感じもしっとりとして馴染むし、いい感じね。誰かの意見を聞きたいところだけど、駆君って、ハンドクリームの良し悪し分かってくれるかな?」
そんな事を考えつつも、使用した感じを誰かに聞いてみたいと思った私は、駆君に試してもらうことに決めた。
「駆君、ハンドクリームを作ってみたんだけど試してもらってもいいかな?」
「俺でよければ喜んで」
駆くんは快諾してくれた。
私は早速駆くんの手の甲にハンドクリームを少量乗せた。
すると、駆くんはハンドクリームを塗り合わせてから匂いを嗅いだりしてから感想を言ってくれた。
「塗った感じもべた付かないし、匂いも無臭に近いけど微かに植物性のいい匂いがして、俺は好きだな。塗った後も、肌になじむ感じで成功だと思うよ」
「ありがとう。それじゃぁ、お店に置いてみて様子を見てみるよ」
よし、これで販売する商品は決まったわ。後は明日の開店後の反響次第で、改良したり、商品の入れ替えをして行こう。
◆◇◆◇
翌日。
開店したはいいが、お客さんが全く来ない。
閑古鳥が鳴いている。
私の心も泣いている。
そうだよね、開店したばかりの謎のお店より、いつも行っている馴染みのある錬金術師のお店でお買い物したいよね。
これは、当分様子を見て、全くお客さんが来る気配がなければ作戦を考えよう。
お店自体は素敵だと思うんだよね。
商品棚は、物が在りすぎて良く分からないと言った状態ではなく、商品を詰め過ぎないように、間隔をあけて陳列してあるし、説明書きをしたPOPも横に設置しているから、何の商品かわかりやすいようになっている。
お茶やクッキーなども置いているため、試飲や試食が出来るように、飲食できるスペースも用意している。
今後要望があれば、ケーキなどの甘味をお店で食べられるように喫茶スペースの用意も考えていたが、この状況だとそれも叶うまい。
しかし、それも杞憂だったようだ。
日課になりつつある、お茶をお店の飲食スペースで駆君と楽しんでいるとご挨拶に行ったご近所さんが様子を見にお店に来てくれたのだ。
「いらっしゃいませ。来ていただいて、とてもうれしいです」
そう言って、歓迎すると来てくれた女性、そう、手荒れで困っていると嘆いていた女性は笑顔を見せてくれた。
「頂いたクッキーってお菓子がとても美味しかったので、他に扱っている商品も見てみたいと思って、家のことも片づいたから寄らせてもらったのよ」
「そうですか、ありがとうございます。そうだ。手荒れでお困りだと伺ったので奥様にお勧めの商品があるんですよ。ぜひ試してみて下さい。」
「あら、奥様だなんて。やだわ、私のことはメリッサと呼んで頂戴な」
そう言って、奥様改め、メリッサさんが可愛らしい笑顔を見せてくれた。
メリッサさんは、私より年上で、21歳の小柄でとても可愛らしい女性だ。
ハンドクリームを試してもらっているときに、結婚したばかりでまだ子供がいないことと、結婚するまでは家事などしたことがなかったためとても苦労していることなど話してくれた。
「まぁ、このハンドクリーム?すごく良いわ。なんだか肌が潤った感じがするわ」
「水仕事の度とは行かなくても、夜寝る前に塗るだけでも違ってきますよ」
「そうなの!これ、いただこうかしら。お値段もとても素敵だしね」
「っ!ありがとうございます」
初めてのお客さん。初めて売れた私の作った物。すごくうれしい!!
ありがたい事に、メリッサさんがハンドクリームを宣伝してくれたおかげで閑古鳥が鳴くことも、私が閑古鳥に泣かされることもなくなった。
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