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第十八話 理想の兄貴?
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クライブさんから台所にある物の使い方を聞いている時、この広い屋敷には他に使用人がいないという驚きの事実を知った。
何でも、レイナードさんは屋敷を空けがちで、尚且つ管理はクライブさん一人で十分だという理由からだということに驚いてしまった。
「えっ? こんな広いお屋敷、掃除だけでも大変だと思うんですけど?」
僕がそう言うと、黒い目を細めたクライブさんが、とても優しい笑顔になっていた。そして、僕の頭を優しく撫でながら言ったのだ。
「レイナード様のお陰で、魔具を色々と揃えて頂いているので私一人でも問題ないのですよ。ハルキ君は、優しいいい子ですね」
そう言ってから僕を何故か抱きしめてきたのだ。
クライブさんも身長が高くて、見下ろされる形の僕は、兄貴がいたらこんな感じなのだろうか? なんてことを考えていたけど、それはほんの一瞬だった。
次に気が付いた時は、何故か一生とレイナードさんの二人に抱き着かれてしまっていたからだ。
「おい、クソ執事。勝手に陽騎に抱き着いてんじゃねぇよ」
「クライブ? この子は私の大切な子なんだ。勝手に触れるのは許しがたいことだよ」
「ふふふ。なるほど……。私の付け入る隙は十分あるようですね。彼に触れる許可は、イッセーでもレイナード様でもなく、彼自身から頂きますので」
「ちっ!」
「はぁ……。お前はそういうヤツだったな」
僕より背の高い三人に取り囲まれるようにしていると、僕って小さい人間なんだと錯覚してしまうんだよね。
僕だって、170センチあるんだよ。別に身長が低い訳でもないんだけどね。
でも、180センチ、いや、こっちに来てから背の伸びたイッセーは、今では185センチはありそうな気がするし、レイナードさんは、その一生よりも背が高いからきっと190センチはあると思う。
更には、クライブさんは一番背が高くいんだよね。レイナードさんよりもちょっとだけ背が高いんだよ。
そんな人たちに囲まれた僕は、背が低くなった錯覚がしてすごく居心地が悪い。
そんなことを考えていたら、クライブさんに顎をくいってされて上を向かされていた。
そして、黒くて綺麗な瞳に見つめられていたんだ。
「ハルキ君は、私に触れられるのはお嫌ですか?」
「えっ? 別に嫌じゃないですけど?」
突然の質問に頭にはてなマークを浮かべている僕だったけど、クライブさんは理想の兄貴だから、スキンシップは嬉しいと思った僕は、そう言っていた。
僕の返答を聞いたクライブさんは、嬉しそうな微笑みを浮かべてから何故か僕の頬にキスをしてきたんだ。
ちゅっ。ぺろ。
「ふふふ。ありがとうございます。それでは遠慮なく」
ふえ?もしかして、お昼に食べたハンバーグのソースが付いていたのかな?はわわ。恥ずかしすぎる。
でも、言ってくれれば自分で拭いたのに……。
流石異世界……。
ほっぺについていたソースを舐め取るなんて……。
はぁ、僕、異世界でやっていけるかなぁ?
「おい! 何抜け駆けしてやがる!」
「クライブ? 抜け駆けは良くないよ?」
「ふふふ。ハルキ君の頬は、甘くて柔らかいので癖になりそうですね」
僕の不安を他所に、なんだか三人が仲良さそうにしているのもなんだか僕だけ仲間外れにされているみたいで寂しいなぁ……。
何でも、レイナードさんは屋敷を空けがちで、尚且つ管理はクライブさん一人で十分だという理由からだということに驚いてしまった。
「えっ? こんな広いお屋敷、掃除だけでも大変だと思うんですけど?」
僕がそう言うと、黒い目を細めたクライブさんが、とても優しい笑顔になっていた。そして、僕の頭を優しく撫でながら言ったのだ。
「レイナード様のお陰で、魔具を色々と揃えて頂いているので私一人でも問題ないのですよ。ハルキ君は、優しいいい子ですね」
そう言ってから僕を何故か抱きしめてきたのだ。
クライブさんも身長が高くて、見下ろされる形の僕は、兄貴がいたらこんな感じなのだろうか? なんてことを考えていたけど、それはほんの一瞬だった。
次に気が付いた時は、何故か一生とレイナードさんの二人に抱き着かれてしまっていたからだ。
「おい、クソ執事。勝手に陽騎に抱き着いてんじゃねぇよ」
「クライブ? この子は私の大切な子なんだ。勝手に触れるのは許しがたいことだよ」
「ふふふ。なるほど……。私の付け入る隙は十分あるようですね。彼に触れる許可は、イッセーでもレイナード様でもなく、彼自身から頂きますので」
「ちっ!」
「はぁ……。お前はそういうヤツだったな」
僕より背の高い三人に取り囲まれるようにしていると、僕って小さい人間なんだと錯覚してしまうんだよね。
僕だって、170センチあるんだよ。別に身長が低い訳でもないんだけどね。
でも、180センチ、いや、こっちに来てから背の伸びたイッセーは、今では185センチはありそうな気がするし、レイナードさんは、その一生よりも背が高いからきっと190センチはあると思う。
更には、クライブさんは一番背が高くいんだよね。レイナードさんよりもちょっとだけ背が高いんだよ。
そんな人たちに囲まれた僕は、背が低くなった錯覚がしてすごく居心地が悪い。
そんなことを考えていたら、クライブさんに顎をくいってされて上を向かされていた。
そして、黒くて綺麗な瞳に見つめられていたんだ。
「ハルキ君は、私に触れられるのはお嫌ですか?」
「えっ? 別に嫌じゃないですけど?」
突然の質問に頭にはてなマークを浮かべている僕だったけど、クライブさんは理想の兄貴だから、スキンシップは嬉しいと思った僕は、そう言っていた。
僕の返答を聞いたクライブさんは、嬉しそうな微笑みを浮かべてから何故か僕の頬にキスをしてきたんだ。
ちゅっ。ぺろ。
「ふふふ。ありがとうございます。それでは遠慮なく」
ふえ?もしかして、お昼に食べたハンバーグのソースが付いていたのかな?はわわ。恥ずかしすぎる。
でも、言ってくれれば自分で拭いたのに……。
流石異世界……。
ほっぺについていたソースを舐め取るなんて……。
はぁ、僕、異世界でやっていけるかなぁ?
「おい! 何抜け駆けしてやがる!」
「クライブ? 抜け駆けは良くないよ?」
「ふふふ。ハルキ君の頬は、甘くて柔らかいので癖になりそうですね」
僕の不安を他所に、なんだか三人が仲良さそうにしているのもなんだか僕だけ仲間外れにされているみたいで寂しいなぁ……。
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