異世界に転移したけど、パーティーメンバーが全員総受けってことは僕が攻めればいいんだよね?

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
上 下
18 / 22

第十八話 理想の兄貴?

しおりを挟む
 クライブさんから台所にある物の使い方を聞いている時、この広い屋敷には他に使用人がいないという驚きの事実を知った。
 何でも、レイナードさんは屋敷を空けがちで、尚且つ管理はクライブさん一人で十分だという理由からだということに驚いてしまった。
 
「えっ? こんな広いお屋敷、掃除だけでも大変だと思うんですけど?」

 僕がそう言うと、黒い目を細めたクライブさんが、とても優しい笑顔になっていた。そして、僕の頭を優しく撫でながら言ったのだ。
 
「レイナード様のお陰で、魔具を色々と揃えて頂いているので私一人でも問題ないのですよ。ハルキ君は、優しいいい子ですね」

 そう言ってから僕を何故か抱きしめてきたのだ。
 クライブさんも身長が高くて、見下ろされる形の僕は、兄貴がいたらこんな感じなのだろうか? なんてことを考えていたけど、それはほんの一瞬だった。
 次に気が付いた時は、何故か一生とレイナードさんの二人に抱き着かれてしまっていたからだ。
 
「おい、クソ執事。勝手に陽騎に抱き着いてんじゃねぇよ」

「クライブ? この子は私の大切な子なんだ。勝手に触れるのは許しがたいことだよ」

「ふふふ。なるほど……。私の付け入る隙は十分あるようですね。彼に触れる許可は、イッセーでもレイナード様でもなく、彼自身から頂きますので」

「ちっ!」

「はぁ……。お前はそういうヤツだったな」

 僕より背の高い三人に取り囲まれるようにしていると、僕って小さい人間なんだと錯覚してしまうんだよね。
 僕だって、170センチあるんだよ。別に身長が低い訳でもないんだけどね。
 でも、180センチ、いや、こっちに来てから背の伸びたイッセーは、今では185センチはありそうな気がするし、レイナードさんは、その一生よりも背が高いからきっと190センチはあると思う。
 更には、クライブさんは一番背が高くいんだよね。レイナードさんよりもちょっとだけ背が高いんだよ。
 そんな人たちに囲まれた僕は、背が低くなった錯覚がしてすごく居心地が悪い。
 そんなことを考えていたら、クライブさんに顎をくいってされて上を向かされていた。
 そして、黒くて綺麗な瞳に見つめられていたんだ。
 
「ハルキ君は、私に触れられるのはお嫌ですか?」

「えっ? 別に嫌じゃないですけど?」

 突然の質問に頭にはてなマークを浮かべている僕だったけど、クライブさんは理想の兄貴だから、スキンシップは嬉しいと思った僕は、そう言っていた。
 僕の返答を聞いたクライブさんは、嬉しそうな微笑みを浮かべてから何故か僕の頬にキスをしてきたんだ。
 
 
 ちゅっ。ぺろ。
 
 
「ふふふ。ありがとうございます。それでは遠慮なく」

 ふえ?もしかして、お昼に食べたハンバーグのソースが付いていたのかな?はわわ。恥ずかしすぎる。
 でも、言ってくれれば自分で拭いたのに……。
 流石異世界……。
 ほっぺについていたソースを舐め取るなんて……。
 はぁ、僕、異世界でやっていけるかなぁ?
 
 
「おい! 何抜け駆けしてやがる!」

「クライブ? 抜け駆けは良くないよ?」

「ふふふ。ハルキ君の頬は、甘くて柔らかいので癖になりそうですね」


 僕の不安を他所に、なんだか三人が仲良さそうにしているのもなんだか僕だけ仲間外れにされているみたいで寂しいなぁ……。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

無自覚な

ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。 1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。 それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外 何をやっても平凡だった。 そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない そんな存在にまで上り積めていた。 こんな僕でも優しくしてくれる義兄と 僕のことを嫌ってる義弟。 でも最近みんなの様子が変で困ってます 無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

処理中です...