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第十二話 休みが欲しい
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それから僕たちは、コボルトやホーンラビットと言った、初心者向けの魔物の討伐を数回達成していた。
そして、最初に約束した通り、一生が魔物を引き付けて、僕が攻撃するという展開にな……らなかった。
一生のやつ、僕が攻撃しようと魔物に近づいたとたんに、その魔物を釣って、更には一瞬で止めを刺してしまうのだ。
「一生! 約束が違うぞ!」
「破ってないし。偶然だ。偶然、魔物がこっちに来たんだ」
「ぐぬぬ」
確かに、咆哮のスキルは使っていなかった。
だけど、明らかに魔物は直前で方向転換をしていたように思えたんだよ。
きっと、何かしらのスキルで魔物を釣っているはずだ。
そう言う訳で、僕は討伐系の依頼を受けるようになってから、依頼達成に全く貢献が出来ていなかった。
だからと言う訳ではないけど、魔物の解体は一生よりも多くこなすように心がけている。
そんな毎日を送っていた僕と一生だったけど、そろそろ休みが欲しかった。
毎日の生活費を稼ぐのと、宿屋を出て家を借りるための貯金のために、休みなしで働いていたけど、そろそろ疲れも溜まってきていた。
と言う訳で僕は、一生に休みの提案をすることにしたのだ。
「なぁ、明日は休みにしないか?」
「ん? 疲れたか?」
「うん。正直、疲れた。一日ゆっくりしたい。だめか?」
ぶっちゃけ、僕よりも一生の方が疲れが溜まってると思うけど、正直に言う。僕は休みが欲しい。
こっちに来て、毎日毎日働いてばかりで、疲れていた。
だからと言う訳ではないけど、趣味の時間が欲しかった。料理をしたい。裁縫で何かを作りたい。
まぁ、趣味の時間を作るなんて贅沢なことだとはわかってるけど……。
でも、一生が明日も依頼を受けに行こうというのであれば、僕はそれに従うつもりだった。
ほら、僕って、戦いで全く役に立ってないしね……。あはは……。
だけど、一生は一瞬何かを考えた後に、笑顔で言ったのだ。
「う~ん。うん。いいよ。明日は一日休みにしよう」
「えっ? いいのか? 本当にいいんだな?」
「なんで驚いてんだよ。こっちに来てずっと働きっぱなしだったし。休みは必要だ。最近は魔物の素材を売ったりして、余裕も出てきたしな」
「よっしゃぁ!! ふっふふ~ん。明日は何して過ごそうかなぁ。あっ、そうだ。解体に失敗して売り物にならなかった毛皮があったっけ……。そうだ、それで久しぶりにぬいぐるみ作るのもいいなぁ。ああ、でも綿が無い。針と糸は何とかなりそうだけど……」
そんなことを考えていた僕は、久しぶりに司祭のおじいさんのところに顔を出すのもいいかもと思い至った。
それに、聖堂の台所を借りて料理をするのもいいかもしれない。
うん。ちょっと一生に提案してみよう。
「なあ。明日、久しぶりにじーちゃんのところに顔出さないか?」
「そうだな。元気にやってるって、顔を出すのもいいかもな」
「うんうん。それに、聖堂の台所借りて、久しぶりに料理したい」
「それ! 名案だ。うん。行こう行こう」
満場一致で、明日の予定が決まった。
一世は、顔見せよりも、料理の方が本命っぽいけど、久しぶりに一生に美味いもん食わせてやりたいしな。
こうして、僕たちは久しぶりに聖堂に向かうことになったのだった。
そして、最初に約束した通り、一生が魔物を引き付けて、僕が攻撃するという展開にな……らなかった。
一生のやつ、僕が攻撃しようと魔物に近づいたとたんに、その魔物を釣って、更には一瞬で止めを刺してしまうのだ。
「一生! 約束が違うぞ!」
「破ってないし。偶然だ。偶然、魔物がこっちに来たんだ」
「ぐぬぬ」
確かに、咆哮のスキルは使っていなかった。
だけど、明らかに魔物は直前で方向転換をしていたように思えたんだよ。
きっと、何かしらのスキルで魔物を釣っているはずだ。
そう言う訳で、僕は討伐系の依頼を受けるようになってから、依頼達成に全く貢献が出来ていなかった。
だからと言う訳ではないけど、魔物の解体は一生よりも多くこなすように心がけている。
そんな毎日を送っていた僕と一生だったけど、そろそろ休みが欲しかった。
毎日の生活費を稼ぐのと、宿屋を出て家を借りるための貯金のために、休みなしで働いていたけど、そろそろ疲れも溜まってきていた。
と言う訳で僕は、一生に休みの提案をすることにしたのだ。
「なぁ、明日は休みにしないか?」
「ん? 疲れたか?」
「うん。正直、疲れた。一日ゆっくりしたい。だめか?」
ぶっちゃけ、僕よりも一生の方が疲れが溜まってると思うけど、正直に言う。僕は休みが欲しい。
こっちに来て、毎日毎日働いてばかりで、疲れていた。
だからと言う訳ではないけど、趣味の時間が欲しかった。料理をしたい。裁縫で何かを作りたい。
まぁ、趣味の時間を作るなんて贅沢なことだとはわかってるけど……。
でも、一生が明日も依頼を受けに行こうというのであれば、僕はそれに従うつもりだった。
ほら、僕って、戦いで全く役に立ってないしね……。あはは……。
だけど、一生は一瞬何かを考えた後に、笑顔で言ったのだ。
「う~ん。うん。いいよ。明日は一日休みにしよう」
「えっ? いいのか? 本当にいいんだな?」
「なんで驚いてんだよ。こっちに来てずっと働きっぱなしだったし。休みは必要だ。最近は魔物の素材を売ったりして、余裕も出てきたしな」
「よっしゃぁ!! ふっふふ~ん。明日は何して過ごそうかなぁ。あっ、そうだ。解体に失敗して売り物にならなかった毛皮があったっけ……。そうだ、それで久しぶりにぬいぐるみ作るのもいいなぁ。ああ、でも綿が無い。針と糸は何とかなりそうだけど……」
そんなことを考えていた僕は、久しぶりに司祭のおじいさんのところに顔を出すのもいいかもと思い至った。
それに、聖堂の台所を借りて料理をするのもいいかもしれない。
うん。ちょっと一生に提案してみよう。
「なあ。明日、久しぶりにじーちゃんのところに顔出さないか?」
「そうだな。元気にやってるって、顔を出すのもいいかもな」
「うんうん。それに、聖堂の台所借りて、久しぶりに料理したい」
「それ! 名案だ。うん。行こう行こう」
満場一致で、明日の予定が決まった。
一世は、顔見せよりも、料理の方が本命っぽいけど、久しぶりに一生に美味いもん食わせてやりたいしな。
こうして、僕たちは久しぶりに聖堂に向かうことになったのだった。
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