異世界に転移したけど、パーティーメンバーが全員総受けってことは僕が攻めればいいんだよね?

バナナマヨネーズ

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第七話 な、なめ……られた

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 僕は、目の前の冒険者カードに突っ込みたかったが、どこから突っ込んでいいのか分からずにいた。
 悩んだ結果、何も突っ込まないことにした。
 ほら、職業嫁とかって突っ込みどころ満載な箇所だけど、下手に突っ込むと危険な気がしたから、これはバグっただけだとスルーすることにした。
 だけど、横から僕の冒険者カードを見ていた一生が突っ込んでいた。
 
「陽騎の手料理は世界一だ。うんうん。愛妻の手料理。まさに、陽騎に持って来いのスキルだ。だけど、陽騎は元々料理上手だから、スキルなんて関係ない」

「えっ? 突っ込むところ違うだろ? いや、そこも突っ込みどころではあるが……」

 僕が混乱していると、キリルさんが優し気な声で言ったのだ。
 
「冒険者カードは、名前とランク以外を非表示にすることもできますよ。他の冒険者の方たちは、スキルや称号は非表示にするのが普通ですね」

 そう言って、非表示にする方法を教えてくれた。
 僕は、キリルさんのマイペースさにどう反応していいのか分からなかったけど、ここは大人しく従っておいた方がいい気がした。
 キリルさんに教わった通り、名前とランク以外を非表示にした僕に、キリルさんが言った。
 
「カードの再発行には手数料が掛るので無くさないようにしてくださいね。それでは、冒険者ギルドについての説明をしますよ」

 そう言って、冒険者ギルドについて教えてくれた。
 キリルさん曰、冒険者ランクは達成した依頼のランクや数で決まるらしい。登録したばかりの僕たちは、当然最低ランクのFだ。
 それと、ランクによって依頼達成のノルマがあるらしい。
 ランクが低いうちは、月に10件の依頼達成ノルマがあるらしい。
 ランクが上がるとノルマは緩和されていくらしいけど、その分難易度は上がっていくというのだ。
 それと、ノルマ達成できないと冒険者ギルドでの依頼を一定期間受けられなくなったり、最悪退会という措置もあるということなので、簡単な依頼でもコツコツこなした方がいいと教えてもらった。
 
「キリルさん、色々教えてくれてありがとうございます」

 僕がそう言ってキリルさんに頭を下げる。
 すると、キリルさんは心配そうに僕の顔を覗いて言ったのだ。

「いいんですよ。それよりも、ハルキ君はもしかして目が悪いんですか?」

 そんなこと言われるとは思っていなかった僕は、数回瞬いてから素直に答えていた。
 
「はい。でも、メガネは掛けたくなくて……」

「なるほど……。ふむ。ハルキ君は視力がよくなったらうれしいですか?」

「そうですね。そうだったら嬉しいですね」

 僕がそう言うとキリルさんは、にっこりと笑った後に僕を手招きした。
 
「それならこれは特別サービスですよ?」

 そう言って、近づいた僕の手を強く引いたと思ったら、驚く僕の…………。
 僕の目を……、な、ななななな……。
 舐められた。
 もうね、べろっと舐め上げたんですよ!!
 あまりのことに硬直していた僕は、キリルさんに両目を舐められていた。
 それに気が付いた一生が、勢いよく僕をキリルさんから引き離して言ったのだ。
 
「何しやがるこの変態メガネ!!」

「何って、治療ですよ?」

「寝言は寝て言え! 変態! 死ね滅びろ死に晒せ!!」

 だけど、キリルさんの言ったことは本当だった。
 最初はぼやけていた視界が徐々にクリアになっていったのだ。
 そして、小学生以来だろうか、こんなにはっきりと周囲が見えたのは。
 
 僕はぼやけていない、はっきりと見える視界に喜びの声を上げてキリルさんの手を握っていた。
 
「キリルさん、ありがとうございます!! 視力が良くなってます! すごいです!!」

「いいんだよ。可愛い子がしかめっ面しているのは私としても心苦しいしね。くすくす。ハルキ君の瞳は、綺麗な榛色で、実に愛らしいですね」

「うわ~、良く見える!! すごいすごい!!」

「くすくす。ハルキ君、私の話全然聞いていませんね。ですが、そこも愛らしいですね」

「一生! すごいぞ! お前の顔も良く見えるぞ!!」

 視力がよくなって嬉しさがとんでもないことになっていた僕は、一生の顔がよく見えることに更にテンションが上がっていた。
 ぼやけた視界でもイケメンだと知っていたが、回復した視界で見上げる一生は、更にイケメンだった。
 おぉ、僕の親友がイケメン過ぎて眩しいぜ!!
 
「眉間に皺を寄せてるところも可愛かったが、目を丸くしてコロコロ表情を変える陽騎も可愛い……。って、全然俺の話聞いてないのな……。まぁ、そこも可愛いけど」

 鮮明に見える世界の景色に僕は、にこにこと表情を緩めてしまっていたが、これは仕方ない。
 だって、視力が良くなるなんて想像もしていなかったから。
 ああ、これでもう絡まれることもなくなる。そう思うと喜びは一層増したともいえた。

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