上 下
6 / 22

第六話 レッツ冒険者ギルド

しおりを挟む
 数日お世話になった国教会の聖堂を出た僕と一生は、その足で教えてもらった冒険者ギルドに向かった。
 
 想像したよりも建物は立派だった。二階建ての建物の中に入ってみると中にはガタイのいい、いかにも荒くれものと言った感じの冒険者が沢山いた。
 中には、女性の姿もあった。
 
 物珍し気に中に入って行くと、受付カウンターのようなところにいる男性と目が合った。
 メガネを掛けたいかにも優男と言った外見で、例にもれずイケメンだ。
 この世界に来て思ったのだが、イケメン率がとても高いと変なところで感心してしまった。
 
 そんな事を考えていると、メガネのイケメン受付が優し気な声で僕たちにあいさつをしてきたのだ。
 
「こんにちは。今日はどうされました? ご依頼ですか?」

 声をかけられたのに無視をするわけにもいかず、僕は男性のカウンターに向かった。
 
「こんにちは。えっと、冒険者登録したいんですけど」

 僕がそう言うと、男性は表情を明るくして微笑みながら言った。
 
「そうですが。私は、キリル・ベンジャミンと言います。どうぞよろしくお願いします」

「あっ、はい。僕は、陽騎です。藍羽陽騎です。こっちは、鳳一生です」

「はい。ハルキ君ですね。可愛らしい方ですね。では、さっそく手続きしますね」

「はい?」

 キリルさんの言葉の一部が、ギルド内の喧騒の所為で聞き取れなかったけど、にこにこと微笑むキリルさんは、さっさと手続きを開始してしまっていた。
 キリルさんは、名刺サイズで半透明の薄い板を2枚取り出した。
 その半透明の板を何かの機会……魔具と思われる物の上に置いた。
 
「お二人とも、こちらに」

 そう言われた僕と一生は、受付に設置されている椅子に座って、キリルさんからの質問に答えていった。
 
「それでは、改めてお名前と年齢を教えてください。それと、お答えいただく時は、この板に触れた状態でお願いしますね」

 そう言われた僕と一生は聞かれたことに大人しく答えていった。
 
「藍羽陽騎。16歳」

「鳳一生。16歳」

「それでは、ハルキ君。趣味は?」

「えっ? えーっと、料理と裁縫かな?」

「俺は―――」

「イッセイ様はお答えいただかなくても結構です。次に、ハルキ君、好きな食べ物は?」

「えっ? 甘いのとかかな?」

「そうですか。甘いものがお好きなんですね。嫌いな食べ物はありますか?」

「えっ? えっ?? えっと……特にないかな?」

「そうですか。ふむふむ。嫌いな物はなしと。次に好きなタイ―――」

「ちょっと待てコラ!! 職権乱用して何プライベートなことべらべら聞き出してんだよ!!」

 そこで一生が怒鳴りだしていた。
 一生、お前も食べ物の好き嫌い話したかったんだな。なのに僕だけ聞かれて寂しかったんだな。よしよし、あとで僕が聞いてやるよ。まぁ、知ってるけど。
 
 そんな事を考えていると、掴みかかろうとした一生をひらりと躱したキリルさんが何故かバチンッとウインクをしながら僕に微笑みかけて言ったのだ。
 
「冗談はさておき、冒険者ギルド登録は完了しましたよ。はい。こちらがお二人の冒険者カードです」

 そう言って、さっきまで半透明だったのに今は白くなっている板を差し出して見せてくれた。
 そこには、僕の情報がいろいろと書き込まれていた。
 
 
 
 
名前:ハルキ・アイバ
年齢:16歳
ランク:F
職業:嫁
スキル:アイテムボックス アイテムボックス内複写 愛妻の手料理 パペット
称号:迷い人 

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

食べて欲しいの

夏芽玉
BL
見世物小屋から誘拐された僕は、夜の森の中、フェンリルと呼ばれる大狼に捕まってしまう。 きっと、今から僕は食べられちゃうんだ。 だけど不思議と恐怖心はなく、むしろ彼に食べられたいと僕は願ってしまって…… Tectorum様主催、「夏だ!! 産卵!! 獣BL」企画参加作品です。 【大狼獣人】×【小鳥獣人】 他サイトにも掲載しています。

異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)

藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!? 手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!

あの夜の過ちから

誤魔化
BL
 とある仮面舞踏会の夜。  お互いの正体を知らぬままに熱い一夜を過ごした皇子と側近の2人。  翌朝に側近の男はその衝撃の事実に気づき、証拠隠滅を図ろうとするが、一方で気づかない殿下は「惚れた」と言って当の本人に正体の分からない”あの夜の人”を探すように頼む。  絶対にバレたくない側近(色男) VS 惚れた仮面の男を見つけ出したい殿下(色男)のBL。側近の男、一応転生者です。  側近「どうしてこうなったーッ!」

腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います

たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか? そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。 ほのぼのまったり進行です。 他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが

なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です 酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります 攻 井之上 勇気 まだまだ若手のサラリーマン 元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい でも翌朝には完全に記憶がない 受 牧野・ハロルド・エリス 天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司 金髪ロング、勇気より背が高い 勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん ユウキにオヨメサンにしてもらいたい 同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

処理中です...