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第一話 プロローグ
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僕の名前は、藍羽陽騎だ。至って普通で、どこにでもいるような平凡な男子高校生だ。成績は中の下で、運動は……、まぁ、できる方かな?
僕は、普通だが、家族が異常だった。
父は、【天下無双流】という、謎の道場の師範をしている。姉は、そこの師範代をしている。
天下無双流は、祖父が立ち上げたという、謎すぎる武術だ。
謎の武術道場だっけど、意外にも門下生は沢山いた。基本は体術だけど、棒術や弓術などの技も存在している。まぁ、何でもありな武術だといえば分かりやすいだろう。
そんな、謎な道場をやっている家に生まれてしまった僕は、父からと言うよりも、姉によってすべての技を叩きこまれたのだった。
その所為で、僕も免許皆伝の身だ。
そんな僕は、体を動かすよりも趣味の裁縫や料理をしていたいのだが、周囲がそれを許してくれなかった。
僕は、目つきが悪いという理由でよく不良と呼ばれる武闘派の人たちに絡まれてしまうのだ。
年々視力が下がっていき、目を細めないと見えない状況なのだ。
その、目を細めた時の顔が、周囲の武闘派の人から見ると喧嘩を売っているように見えるらしいのだ。
僕にそんな気は全くないので本当に困る。
だけど、コンタクトは怖くて付けることが出来ないし、メガネは似合わないので絶対にかけたくなかった。
幸いなことに僕は、身長は170センチとそれなりにある方で、更には鬼姉の所為で素人の攻撃など簡単によけられる。
悲しいことに、身長はそれなりだったが、筋肉が付きにくい体質のようで体つきは細かった。
更に、イギリス人の祖母の血が濃く出た所為で、アッシュグレイの髪と榛色の瞳の色が、武闘派の人たち曰、「気に入らない」らしいのだ。
だからなのか、色々と面倒な手合いに絡まれることが多かった。
それに、僕に絡む武闘派の連中は、大抵同じようなことを言うのだ。
「その細い腰、たまんねぇなぁ!! 俺が勝ったら、ヤラセロよ!」
意味が分からない。仮に僕が負けた場合、その時点でヤラレテいるというのに、殺す気なのか?
まぁ、返り討ちにする自信があるからどうでもいいけど。
中学時代までは、喧嘩に巻き込まれることが多くてむさくるしい日々にうんざりしていたけど、高校に入って、運良く理解ある先輩たちと出会えたお陰で憧れの料理部に入ることが出来た。そのことで僕の世界は色づき広がっていったのだ。
それまでは、脳筋の父と、脳筋の鬼姉と僕に絡む武闘派の人たちしか周りにはいなかったから、自然と筋肉に囲まれるむさ苦しく汗臭い生活だったと言えた。
いや、違った。
中学の時、偶然知り合った親友は、爽やか好青年だな。というか、イケメンだな。
親友は、鳳一生という、とてもいいやつだ。
一生は、明るい茶髪に、ダークブラウンの瞳、身長は僕よりもでかくて、180センチもある。剣道部の次期主将と目されていて、尚且つエースでもある。
明るく、クラスのムードメーカーで、頭もいい。運動もできて、容姿端麗。
うん、出木杉君か!!
そんな、一生にも可愛いところがある。
あいつは、僕の料理が大好きというところが可愛いと思うんだよなぁ。
僕の作った弁当を、美味しそうに食べる姿は、180センチの野郎であろうとも、微笑ましく見えるのだ。
そんな一生が、弁当を食べながら僕に言ったのだ。
「陽騎、夏休みだけどさ」
「夏休み?」
「そう、今年はうちの別荘で過ごさないか? 海が近くて、とっても綺麗なところなんだよ」
「海かぁ。う~ん」
嫌いじゃないけど、祖母譲りの容姿の僕の肌は白く、陽にあたるとすぐ肌が赤くなってヒリヒリするんだよなぁ。
そんな事を考えてると、一生が僕の背中に頭をぐりぐりとしながらぶーたれはじめた。
「行こうよぉ。二人でお泊り楽しいと思うよ? 一緒に泳ごうぜ! なぁ、いいだろう?」
「やめーや! ちょっ、ぐりぐりすんなし!」
「やだ。陽騎がうんって言ってくんなきゃ、やめない~」
「駄々っ子かよ!!」
結局、一生の根気に負けた僕は、首を縦に振ることになった。
そして、この時の僕は、この行動が僕たちの運命を変えることになるとは思っていなかったんだ。
僕は、普通だが、家族が異常だった。
父は、【天下無双流】という、謎の道場の師範をしている。姉は、そこの師範代をしている。
天下無双流は、祖父が立ち上げたという、謎すぎる武術だ。
謎の武術道場だっけど、意外にも門下生は沢山いた。基本は体術だけど、棒術や弓術などの技も存在している。まぁ、何でもありな武術だといえば分かりやすいだろう。
そんな、謎な道場をやっている家に生まれてしまった僕は、父からと言うよりも、姉によってすべての技を叩きこまれたのだった。
その所為で、僕も免許皆伝の身だ。
そんな僕は、体を動かすよりも趣味の裁縫や料理をしていたいのだが、周囲がそれを許してくれなかった。
僕は、目つきが悪いという理由でよく不良と呼ばれる武闘派の人たちに絡まれてしまうのだ。
年々視力が下がっていき、目を細めないと見えない状況なのだ。
その、目を細めた時の顔が、周囲の武闘派の人から見ると喧嘩を売っているように見えるらしいのだ。
僕にそんな気は全くないので本当に困る。
だけど、コンタクトは怖くて付けることが出来ないし、メガネは似合わないので絶対にかけたくなかった。
幸いなことに僕は、身長は170センチとそれなりにある方で、更には鬼姉の所為で素人の攻撃など簡単によけられる。
悲しいことに、身長はそれなりだったが、筋肉が付きにくい体質のようで体つきは細かった。
更に、イギリス人の祖母の血が濃く出た所為で、アッシュグレイの髪と榛色の瞳の色が、武闘派の人たち曰、「気に入らない」らしいのだ。
だからなのか、色々と面倒な手合いに絡まれることが多かった。
それに、僕に絡む武闘派の連中は、大抵同じようなことを言うのだ。
「その細い腰、たまんねぇなぁ!! 俺が勝ったら、ヤラセロよ!」
意味が分からない。仮に僕が負けた場合、その時点でヤラレテいるというのに、殺す気なのか?
まぁ、返り討ちにする自信があるからどうでもいいけど。
中学時代までは、喧嘩に巻き込まれることが多くてむさくるしい日々にうんざりしていたけど、高校に入って、運良く理解ある先輩たちと出会えたお陰で憧れの料理部に入ることが出来た。そのことで僕の世界は色づき広がっていったのだ。
それまでは、脳筋の父と、脳筋の鬼姉と僕に絡む武闘派の人たちしか周りにはいなかったから、自然と筋肉に囲まれるむさ苦しく汗臭い生活だったと言えた。
いや、違った。
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親友は、鳳一生という、とてもいいやつだ。
一生は、明るい茶髪に、ダークブラウンの瞳、身長は僕よりもでかくて、180センチもある。剣道部の次期主将と目されていて、尚且つエースでもある。
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そんな、一生にも可愛いところがある。
あいつは、僕の料理が大好きというところが可愛いと思うんだよなぁ。
僕の作った弁当を、美味しそうに食べる姿は、180センチの野郎であろうとも、微笑ましく見えるのだ。
そんな一生が、弁当を食べながら僕に言ったのだ。
「陽騎、夏休みだけどさ」
「夏休み?」
「そう、今年はうちの別荘で過ごさないか? 海が近くて、とっても綺麗なところなんだよ」
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嫌いじゃないけど、祖母譲りの容姿の僕の肌は白く、陽にあたるとすぐ肌が赤くなってヒリヒリするんだよなぁ。
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「行こうよぉ。二人でお泊り楽しいと思うよ? 一緒に泳ごうぜ! なぁ、いいだろう?」
「やめーや! ちょっ、ぐりぐりすんなし!」
「やだ。陽騎がうんって言ってくんなきゃ、やめない~」
「駄々っ子かよ!!」
結局、一生の根気に負けた僕は、首を縦に振ることになった。
そして、この時の僕は、この行動が僕たちの運命を変えることになるとは思っていなかったんだ。
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