欠陥姫の嫁入り~花嫁候補と言う名の人質だけど結構楽しく暮らしています~

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
上 下
95 / 97
お礼のおまけ話

第六話 気持ちいいこと

しおりを挟む
 それは『スーパーリゾート☆テイハーセンター』にやってきて3日目の、朝という時間には遅い時間のことだった。
 頬を膨らませたミリアリアが、朝食兼昼食を食べながらジークフリートに異議申し立てをしていた。
 
「わたしとジークフリートさまは夫婦なのでそういう行為だって……。でもでも、折角の旅行なのに……」

「ごめん。でも、ミリアリアが悪い」

「わ、わたしですか?」

「そうだ。俺以外の男の裸を熱い視線で見つめていたら、俺は嫉妬でどうにかなってしまう。だから、出来るだけでいいから、俺以外の男を見ないで欲しい」

 そう言われたミリアリアは、昨夜見たショーに出ていた半裸の男たちを一瞬思い出してしまい、カっと頬を赤らめてしまっていた。
 それを見たジークフリートは、ムッとした表情を隠そうとはせずにミリアリアの細い顎を掬っていた。
 そして、頬を赤く染めたミリアリアの小さな唇を奪ったのだ。
 初めから激しく呼吸さえも奪うような口付けにミリアリアは、あっという間に降参していた。
 激しい口付けの合間に息を切らしながら、ジークフリートに許しを乞うたのだ。
 ジークフリートは、最後にミリアリアの唇を舐めてからチュッと音を鳴らして離れて言ったのだ。
 そして、蕩けるような甘い微笑みで宣言したのだ。
 
「俺は、ミリアリア限定で心が狭くなる。お願いだから、俺を妬かせるようなことはしないでくれ。じゃないと、昨日みたいにミリアリアを貪ってしまう」

 そう言った後に、もう一度、今度は優しい触れるだけのキスを落としたのだった。
 
 ミリアリアは、ジークフリートの優しいキスを受けて、小さな声で素直に謝罪していた。
 
「ごめんなさい。でも、わたしはジークフリート一筋です。昨日は、初めて見るジークフリートさま以外の裸に驚いてしまって……」

 ミリアリアの言葉を聞いたジークフリートは、首を傾げながら聞いていた。
 
「初めて? プールにもいただろう?」

 そう言われたミリアリアは、首を傾げて言ったのだ。
 
「プールですか? わたし……、プールではジークフリートさま以外目に入っていなかったみたいで……」

 そう言って、両手で顔を覆っていたのだ。
 それを見たジークフリートは、途端に機嫌を良くしていた。
 少々だらしない笑みを浮かべたのは一瞬で、見たものが惚れ惚れするような美しい笑みを浮かべたのだ。
 
「そうか、そうか。うん。ごめん、無茶させて。今日はゆっくり過ごそう」

「は……はい」

 ジークフリートの言葉で朝方まで続いたあれやこれを思い出してしまったミリアリアは、これ以上ないほど全身を朱く染めた後にコクンと頷いたのだった。
 
 そして、食事を済ませた後、ジークフリートはミリアリアをある場所に連れて行ったのだ。
 そこは、エステ区画と呼ばれる場所で、全身をケアする場所だった。
 ジークフリートは、いつの間にか予約を入れていたようで、係員の女性従業員にミリアリアを託して、併設されているカフェに向かったのだった。
 
 一方ミリアリアは、全身を甘い香りのオイルでマッサージされて、その気持ちのよさに甘い吐息を漏らしていたのだった。
 
「はぁ……んぅ。き…きもちいい。王宮でもケアをしてもらっていたけど……。あぁんぅ……。全然違うぅ」

 ミリアリアを担当していた女性従業員は、中でも腕のいいエステ師だったため、ミリアリアは夢心地を味わったのだった。
 全身を磨かれたミリアリアは、次にヘッドスパを初体験していた。
 
 まさに頭の先から足の先まで、隈なく磨かれたミリアリアは、迎えに来たジークフリートの理性を奪う程の輝きを放っていたのだ。
 
「ジークフリートさま、お待たせいたしました。ありがとうございます。エステ、とても気持ちよかったです」

「ミリアリア……。綺麗だ。可愛い。愛してる」

 そう言って、まだ従業員が近くにいるにもかかわらず、ミリアリアに口付けをしていたのだった。
 
 それを見た従業員たちは、それを微笑まし気に見ていたのだった。
 因みに、エステを受けた女性を迎えに来た男性の反応は大体が今のジークフリートと同じようなものだったため、見慣れた光景とも言えたのだった。
 
 
 その日の夜、磨き抜かれたミリアリアの肌にジークフリートが溺れたのは言うまでもなかった。



しおりを挟む
感想 182

あなたにおすすめの小説

【完結】『婚約破棄』『廃嫡』『追放』されたい公爵令嬢はほくそ笑む~私の想いは届くのでしょうか、この狂おしい想いをあなたに~

いな@
恋愛
婚約者である王子と血の繋がった家族に、身体中をボロボロにされた公爵令嬢のレアーは、穏やかな生活を手に入れるため計画を実行します。 誤字報告いつもありがとうございます。 ※以前に書いた短編の連載版です。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

牢で死ぬはずだった公爵令嬢

鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。 表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。 小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ
恋愛
 ❈ 追記 長編に変更します。 16歳の時、私は第一王子と婚姻した。 いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。 私の好きは家族愛として。 第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。 でも人の心は何とかならなかった。 この国はもう終わる… 兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。 だから歪み取り返しのつかない事になった。 そして私は暗殺され… 次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

処理中です...