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番外編
ミリアリアの超真剣な悩み(5)
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そんなやり取りをしている内に、部屋の中の空気は先ほどよりもよくなっていたことに気が付いたジークフリートは、更に空気を換えるべく部屋に入る時に持っていた箱をミリアリアに差し出して言ったのだ。
「そうだ。これをミリアリアに」
そう言って差し出した箱をジークフリートは開けて見せたのだ。
そこには、紫に輝くフルーツが沢山飾り付けられた大きなパイがあったのだ。
それを見たミリアリアは、その美しいパイに瞳を輝かせたのだ。
ジークフリートは、そんなミリアリアの頭を撫でた後に言ったのだ。
「喜んでくれたみたいでよかった。やっぱり、セドルの意見は取り入れずに大きなオパールパイを作る様に手配して正解だった」
「オパールパイ?」
聞きなれない言葉にミリアリアは、小さく首を傾げていた。
それを見たジークフリートは、優しい微笑みを浮かべて言ったのだ。
「このフルーツは、他大陸のものだよ。それをつい最近ザンクティン大陸で根付かせて収穫するに至ったんだ。それで、一ヶ月ほど前に、オパールの実が付いたらミリアリアの好きなパイにしてプレゼントしようと考えたんだよ。その時、俺は大きなパイの方が見た目もいいしミリアリアも喜ぶと言ったんだが、セドルのやつは、大きすぎるのは良くないって、意見が食い違ってな。結局、間を取ってこのサイズにしたんだ。どうだ、オパールパイは美味しそうだろう?」
ジークフリートの話を聞きながら、ミリアリアとシューニャの頭の中には一ヶ月前のことが頭を過っていた。
そして、あの時聞いた、途切れ途切れに聞こえた「ぱい」「お……ぱい」「おぱ……い」と言った不穏なワードの数々が、「おっぱい」ではなく、「オパールパイ」だったのだとこの時気が付いたのだ。
それに気が付いたミリアリアは、全身を真っ赤に染めて、両手で顔を覆ってしまっていた。
シューニャはというと、そんな羞恥に震えるミリアリアを見てどう慰めていいのかと頭を悩ませることとなったのだった。
その後ミリアリアは、ジークフリートからプレゼントされたオパールパイを美味しくいただいた後、ジークフリートの服を小さく引いていた。
そして、恥ずかしそうにジークフリートの耳元に唇を寄せて言ったのだ。
「ジークフリートさま……。ごちそうさまでした。とても美味しかったです。えっと……今日の夜のデザートに…………わたしを食べてみませんか……なんて……」
そう言って、恥ずかしそうに両手で顔を隠したミリアリアを見たジークフリートは、謎の禁欲生活期間が明けたことを知り、歓喜したのだ。
ただし、何故こうなったのか追及するのは危険だと本能的に感じたジークフリートは、何も言わずにミリアリアの提案に蕩けるような微笑みで答えたのだった。
「ああ……。たっぷりくまなく隅々まで頂こう」
その日の夜は、初夜以来の激しさでミリアリアはジークフリートに翻弄されることになるが、自分の勘違いでジークフリートに我慢させた自覚があるミリアリアは、ジークフリートからの甘い責め苦に翻弄されつつも必死に応えたのだった。
「そうだ。これをミリアリアに」
そう言って差し出した箱をジークフリートは開けて見せたのだ。
そこには、紫に輝くフルーツが沢山飾り付けられた大きなパイがあったのだ。
それを見たミリアリアは、その美しいパイに瞳を輝かせたのだ。
ジークフリートは、そんなミリアリアの頭を撫でた後に言ったのだ。
「喜んでくれたみたいでよかった。やっぱり、セドルの意見は取り入れずに大きなオパールパイを作る様に手配して正解だった」
「オパールパイ?」
聞きなれない言葉にミリアリアは、小さく首を傾げていた。
それを見たジークフリートは、優しい微笑みを浮かべて言ったのだ。
「このフルーツは、他大陸のものだよ。それをつい最近ザンクティン大陸で根付かせて収穫するに至ったんだ。それで、一ヶ月ほど前に、オパールの実が付いたらミリアリアの好きなパイにしてプレゼントしようと考えたんだよ。その時、俺は大きなパイの方が見た目もいいしミリアリアも喜ぶと言ったんだが、セドルのやつは、大きすぎるのは良くないって、意見が食い違ってな。結局、間を取ってこのサイズにしたんだ。どうだ、オパールパイは美味しそうだろう?」
ジークフリートの話を聞きながら、ミリアリアとシューニャの頭の中には一ヶ月前のことが頭を過っていた。
そして、あの時聞いた、途切れ途切れに聞こえた「ぱい」「お……ぱい」「おぱ……い」と言った不穏なワードの数々が、「おっぱい」ではなく、「オパールパイ」だったのだとこの時気が付いたのだ。
それに気が付いたミリアリアは、全身を真っ赤に染めて、両手で顔を覆ってしまっていた。
シューニャはというと、そんな羞恥に震えるミリアリアを見てどう慰めていいのかと頭を悩ませることとなったのだった。
その後ミリアリアは、ジークフリートからプレゼントされたオパールパイを美味しくいただいた後、ジークフリートの服を小さく引いていた。
そして、恥ずかしそうにジークフリートの耳元に唇を寄せて言ったのだ。
「ジークフリートさま……。ごちそうさまでした。とても美味しかったです。えっと……今日の夜のデザートに…………わたしを食べてみませんか……なんて……」
そう言って、恥ずかしそうに両手で顔を隠したミリアリアを見たジークフリートは、謎の禁欲生活期間が明けたことを知り、歓喜したのだ。
ただし、何故こうなったのか追及するのは危険だと本能的に感じたジークフリートは、何も言わずにミリアリアの提案に蕩けるような微笑みで答えたのだった。
「ああ……。たっぷりくまなく隅々まで頂こう」
その日の夜は、初夜以来の激しさでミリアリアはジークフリートに翻弄されることになるが、自分の勘違いでジークフリートに我慢させた自覚があるミリアリアは、ジークフリートからの甘い責め苦に翻弄されつつも必死に応えたのだった。
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