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番外編
ミリアリアの超真剣な悩み(4)
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しかし、ジークフリートの好みの胸を手に入れていないミリアリアには、ジークフリートの提案を拒むことは出来なかった。
「わかり……ました。それでは、今日から寝所を別に致しましょう……」
そう言ったミリアリアだったが、その瞳からは大粒の涙が零れていた。
涙を流すミリアリアに驚いたジークフリートは、咄嗟にミリアリアを抱きしめていた。
そして、抱きしめられたミリアリアもジークフリートの背に両手を回して抱きしめ返していたのだ。
そんな二人を見ていたシューニャは、なんだかアホらしい気持ちになっていた。
どう見てもお互いに想い合っていることは明白で、胸の大きさなど些細なことに思えたのだ。
しかし、ここでシューニャが何を言っても当人たちの問題に変わりはなく、部外者がとやかく言っても解決しないように思えたのだ。
それでも、それでもだ。
シューニャは、好きあう二人のこじれる様子を見ていられなくなり、とうとう口を挟んでしまっていた。
「あのさ……。これ、どう思うよ」
そう言って、ミリアリアが作ったプニコンをジークフリートに渡していた。
シューニャとしては、本物のおっぱいのような揉み心地のプニコンを触ったジークフリートの反応を見て、ジークフリートが本当におっぱい星人なのかを確かめる意図があったのだ。
ミリアリアもすぐにシューニャの意図を悟り、ジークフリートの答えに固唾をのんでいた。
そんなシューニャの意図を知らないジークフリートは、プニコンを受け取ってから首を傾げて眉間に皺を寄せてシューニャに言ったのだ。
「なんだこれは?」
「それ握ってみて、何かを思い出さないか?」
突然の意味不明な問いかけにジークフリートは、シューニャを無視しようとしたが、腕の中のミリアリアが、謎の期待に満ちた瞳でジークフリートの答えを待っていることに気が付いたのだ。
そこでジークフリートは、この回答によってこの先の運命が左右されると感じ取ったのだ。
手の中にある、柔らかくそれでいて弾力のある謎の物体を何度か握ってみてから何かに気が付いたような表情でジークフリートは言ったのだ。
「はっ! これはもしや……、体術訓練の際に怪我をしないように、模型人形に付けるためのクッション材だな!! すごいぞミリアリア!! これで体術訓練の練度が上がるぞ」
そう言って、偽乳にしようとしていたプニコンを衝撃吸収材だと勘違いしたジークフリートは、ミリアリアがもたらした新素材に称賛を贈ったのだった。
そんなジークフリートのまさかの勘違いに何も言えないでいるミリアリアとシューニャは、ジークフリートに調子を合わせるようにしていた。
「おう、そうなんだよ! お姫様が訓練中の事故を減らせるようにって試作してくれたんだよ」
その言葉にミリアリアもうんうんと頷いていた。
そんなミリアリアにジークフリートは、感動したように表情を緩めた後に言ったのだ。
「そうか……。ありがとうミリアリア」
ミリアリアは、違うとは言い出せずに視線を泳がせながら「大したことではありません……」というのが精一杯だった。
「わかり……ました。それでは、今日から寝所を別に致しましょう……」
そう言ったミリアリアだったが、その瞳からは大粒の涙が零れていた。
涙を流すミリアリアに驚いたジークフリートは、咄嗟にミリアリアを抱きしめていた。
そして、抱きしめられたミリアリアもジークフリートの背に両手を回して抱きしめ返していたのだ。
そんな二人を見ていたシューニャは、なんだかアホらしい気持ちになっていた。
どう見てもお互いに想い合っていることは明白で、胸の大きさなど些細なことに思えたのだ。
しかし、ここでシューニャが何を言っても当人たちの問題に変わりはなく、部外者がとやかく言っても解決しないように思えたのだ。
それでも、それでもだ。
シューニャは、好きあう二人のこじれる様子を見ていられなくなり、とうとう口を挟んでしまっていた。
「あのさ……。これ、どう思うよ」
そう言って、ミリアリアが作ったプニコンをジークフリートに渡していた。
シューニャとしては、本物のおっぱいのような揉み心地のプニコンを触ったジークフリートの反応を見て、ジークフリートが本当におっぱい星人なのかを確かめる意図があったのだ。
ミリアリアもすぐにシューニャの意図を悟り、ジークフリートの答えに固唾をのんでいた。
そんなシューニャの意図を知らないジークフリートは、プニコンを受け取ってから首を傾げて眉間に皺を寄せてシューニャに言ったのだ。
「なんだこれは?」
「それ握ってみて、何かを思い出さないか?」
突然の意味不明な問いかけにジークフリートは、シューニャを無視しようとしたが、腕の中のミリアリアが、謎の期待に満ちた瞳でジークフリートの答えを待っていることに気が付いたのだ。
そこでジークフリートは、この回答によってこの先の運命が左右されると感じ取ったのだ。
手の中にある、柔らかくそれでいて弾力のある謎の物体を何度か握ってみてから何かに気が付いたような表情でジークフリートは言ったのだ。
「はっ! これはもしや……、体術訓練の際に怪我をしないように、模型人形に付けるためのクッション材だな!! すごいぞミリアリア!! これで体術訓練の練度が上がるぞ」
そう言って、偽乳にしようとしていたプニコンを衝撃吸収材だと勘違いしたジークフリートは、ミリアリアがもたらした新素材に称賛を贈ったのだった。
そんなジークフリートのまさかの勘違いに何も言えないでいるミリアリアとシューニャは、ジークフリートに調子を合わせるようにしていた。
「おう、そうなんだよ! お姫様が訓練中の事故を減らせるようにって試作してくれたんだよ」
その言葉にミリアリアもうんうんと頷いていた。
そんなミリアリアにジークフリートは、感動したように表情を緩めた後に言ったのだ。
「そうか……。ありがとうミリアリア」
ミリアリアは、違うとは言い出せずに視線を泳がせながら「大したことではありません……」というのが精一杯だった。
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