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本編
第九章 欠陥姫だった少女は皇帝陛下の愛で満たされる(1)
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その後、ミリアリアとジークフリートの婚礼の準備が始まったのは、秋になってからだった。
ミリアリアの体を考えてのことだったが、メローズ王国のことや、呪毒の効果がなくなり、自由に動けるようになったミリアリアのもたらす知識を取り入れることで、それどころではなかったともいえた。
結局、翌年の春に盛大な婚礼の儀が執り行われたのだった。
テンペランス帝国中がその盛大な婚礼を喜んだのだった。
ミリアリアは、ジークフリートが用意した純白の婚礼衣装を身に纏い、天使のような微笑みを浮かべていた。
そんなミリアリアを甘く見つめるジークフリートは、真っ白な軍服のような婚礼衣装に身を包んでいた。
ミリアリアは、ジークフリートの格好を見て頬を染めていた。
「ジークフリートさま、格好いいです。はぁ、好き……」
「くすくす。俺のミリアリアも可愛いよ。俺も、好きだよ」
そう言って、人目も憚らずにミリアリアの額に口付けを贈ったのだ。
それに対してミリアリアは、心の声が口に出ていたとは思ってもみなかったようで、あたふたと慌ててしまっていた。
「きゃうぅ。恥ずかしい……。声に出ていたなんて。でも、えへへ。リートさま大好きです」
「うん。俺も、ミリアリアが大好きだよ」
そう言って、お互いに抱きしめ合っていたのだった。
王宮に勤める者にとっては、いつもの甘々な二人の行動に、多少の免疫は出来ていたため、口中に広がる甘さに何とか耐えていられたが、それを知らない、国民たちは、何とも言えない甘すぎる光景に、本気で口から砂糖が溢れるという貴重な体験をしたのだった。
婚礼の儀の後に行われる、舞踏会も終えたミリアリアとジークフリートは、それぞれ湯あみを済ませて、夫婦の寝室のベッドの上にいた。
ミリアリアは、準備を手伝ってくれる侍女に、「えっ? これは何? 向こうが透けて見えるんですけど?」と言って、用意された衣装に困惑する場面もあったが、侍女たちに「えっ? 夫婦になったらこれくらい普通ですよ?」と丸め込まれて、スケスケ衣装に袖を通していたが、恥ずかしさから、シーツを被ってジークフリートの到着を待つこととなったのだ。
そんな事情を知らないジークフリートは、貴族たちとの挨拶など面倒ごとの所為で遅くなり、ミリアリアが眠ってしまったと残念に思いながらも、無理に起こそうとはせずにその細い体をシーツごと抱きしめて横になったのだ。
ミリアリアは、自分を抱きしめるジークフリートの方に向き直ってから、恥ずかしそうに言ったのだ。
「リートさま、末永くよろしくお願いします。えっと、ミリアリアのこと可愛がってくださいね?」
ミリアリアとしては、侍女たちにこう言えば、ジークフリートがいろいろ指南してくれると言われたのでその通りに言っただけだったが、それを知らないジークフリートは、それだけでいちころだった。
「ミリアリア!! 愛してる!! 優しくするから、俺に何もかも委ねてくれるか?」
「はい。よろしくお願いします」
そう言って、ジークフリートに身を委ねるように体の力を抜いたミリアリアは、美しい微笑みを浮かべたのだった。
そして―――。
ミリアリアの体を考えてのことだったが、メローズ王国のことや、呪毒の効果がなくなり、自由に動けるようになったミリアリアのもたらす知識を取り入れることで、それどころではなかったともいえた。
結局、翌年の春に盛大な婚礼の儀が執り行われたのだった。
テンペランス帝国中がその盛大な婚礼を喜んだのだった。
ミリアリアは、ジークフリートが用意した純白の婚礼衣装を身に纏い、天使のような微笑みを浮かべていた。
そんなミリアリアを甘く見つめるジークフリートは、真っ白な軍服のような婚礼衣装に身を包んでいた。
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「くすくす。俺のミリアリアも可愛いよ。俺も、好きだよ」
そう言って、人目も憚らずにミリアリアの額に口付けを贈ったのだ。
それに対してミリアリアは、心の声が口に出ていたとは思ってもみなかったようで、あたふたと慌ててしまっていた。
「きゃうぅ。恥ずかしい……。声に出ていたなんて。でも、えへへ。リートさま大好きです」
「うん。俺も、ミリアリアが大好きだよ」
そう言って、お互いに抱きしめ合っていたのだった。
王宮に勤める者にとっては、いつもの甘々な二人の行動に、多少の免疫は出来ていたため、口中に広がる甘さに何とか耐えていられたが、それを知らない、国民たちは、何とも言えない甘すぎる光景に、本気で口から砂糖が溢れるという貴重な体験をしたのだった。
婚礼の儀の後に行われる、舞踏会も終えたミリアリアとジークフリートは、それぞれ湯あみを済ませて、夫婦の寝室のベッドの上にいた。
ミリアリアは、準備を手伝ってくれる侍女に、「えっ? これは何? 向こうが透けて見えるんですけど?」と言って、用意された衣装に困惑する場面もあったが、侍女たちに「えっ? 夫婦になったらこれくらい普通ですよ?」と丸め込まれて、スケスケ衣装に袖を通していたが、恥ずかしさから、シーツを被ってジークフリートの到着を待つこととなったのだ。
そんな事情を知らないジークフリートは、貴族たちとの挨拶など面倒ごとの所為で遅くなり、ミリアリアが眠ってしまったと残念に思いながらも、無理に起こそうとはせずにその細い体をシーツごと抱きしめて横になったのだ。
ミリアリアは、自分を抱きしめるジークフリートの方に向き直ってから、恥ずかしそうに言ったのだ。
「リートさま、末永くよろしくお願いします。えっと、ミリアリアのこと可愛がってくださいね?」
ミリアリアとしては、侍女たちにこう言えば、ジークフリートがいろいろ指南してくれると言われたのでその通りに言っただけだったが、それを知らないジークフリートは、それだけでいちころだった。
「ミリアリア!! 愛してる!! 優しくするから、俺に何もかも委ねてくれるか?」
「はい。よろしくお願いします」
そう言って、ジークフリートに身を委ねるように体の力を抜いたミリアリアは、美しい微笑みを浮かべたのだった。
そして―――。
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◇【R18/BL】シューニャとセドルの話【if】◇
女装メイドの俺がヘタレ宰相に絆された結果、大変なことになってしまった話。
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