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本編
第八章 欠陥姫の嫁入り(1)
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テンペランス帝国に戻ったジークフリートは、毎日欠かすことなくミリアリアの手の甲にキスを贈り、愛の言葉を囁いていた。
「ミリアリア、愛している。俺だけの小さな小鳥。お願いだ、目を覚まして、俺に君の可愛い笑顔を見せてくれ」
見ているものが恥ずかしさで、扉を打ち破って王宮内を駆け出したい気持ちになっていることも知らないジークフリートは、毎日愛の言葉をミリアリアに捧げたのだ。
結婚式を挙げようとしていた秋もとうに過ぎてしまってもミリアリアの心が戻ることはなかった。
それでも、ジークフリートは、ミリアリアに愛を注ぎ続けたのだ。
持ち帰った本の中で、呪毒のことが書かれていると思われる本の研究は難航していた。それは、禁書と呼ばれる古代文字で書かれた本だったからだ。
メローズ王国から連れ帰った学者や研究者とテンペランス帝国の研究者で古代文字の解読を試みるも、遅々として進まなかったのだ。
メローズ王国の中で古代文字の解読が出来た研究者は、高齢のため既にこの世を去っていたのだ。そして、その研究者の弟子も病の所為でこの世を去っていたのだ。
そのため、ミリアリアを治すための研究が難航していたのだった。
そして、雪の降る季節。
ジークフリートは、雪の積もった庭園にミリアリアを連れ出していた。
雪の積もる庭園をいつかの様にミリアリアを抱きかかえてゆっくりと歩いていた。
そして、ミリアリアに今度は、ジークフリートが小さな雪だるまを作って差し出したのだ。
「ほら、ミリアリア。雪だるまだよ。くすくす。実は、あの日の雪だるまは、新設した氷室にいるんだ。よし、俺が作った、雪だるまをミリアリアが作った雪だるまの隣に置いておこう。こうすれば、雪だるまも寂しくないよな?」
そう言った後、ジークフリートは、黙ってしまっていた。
そして、震える声で懇願するように言ったのだ。
「ミリアリア、お願いだ。戻ってきてくれ……。俺を一人にしないでくれ……」
そう言って、腕の中のミリアリアに縋るように懇願していたのだ。
どの位そうしていただろう、ミリアリアの体が冷えてしまっていることに遅れて気が付いたジークフリートは、明るい笑みを浮かべてから、ミリアリアに言ったのだ。
「そろそろ、戻ろうか。ごめんな。すっかり冷えてしまったな……」
そして、季節へ巡りテンペランス帝国は、春を迎えていた。
その日は、とても風の気持ちのいい暖かい日だった。
いつものようにジークフリートは、ミリアリアに朝の挨拶をしていた。
恭しく、その白く華奢な手を取り、膝を付いたジークフリートは、祈りを込めて手の甲にキスをしたのだ。
その日は、ミリアリアの桜貝のような可愛らしい爪や指先にもキスを贈ってから、愛の言葉を囁いたのだ。
「ミリアリア、愛している。俺だけの小さく可愛い小鳥よ。君の可愛い笑顔を俺に見せてくれないか?」
「ミリアリア、愛している。俺だけの小さな小鳥。お願いだ、目を覚まして、俺に君の可愛い笑顔を見せてくれ」
見ているものが恥ずかしさで、扉を打ち破って王宮内を駆け出したい気持ちになっていることも知らないジークフリートは、毎日愛の言葉をミリアリアに捧げたのだ。
結婚式を挙げようとしていた秋もとうに過ぎてしまってもミリアリアの心が戻ることはなかった。
それでも、ジークフリートは、ミリアリアに愛を注ぎ続けたのだ。
持ち帰った本の中で、呪毒のことが書かれていると思われる本の研究は難航していた。それは、禁書と呼ばれる古代文字で書かれた本だったからだ。
メローズ王国から連れ帰った学者や研究者とテンペランス帝国の研究者で古代文字の解読を試みるも、遅々として進まなかったのだ。
メローズ王国の中で古代文字の解読が出来た研究者は、高齢のため既にこの世を去っていたのだ。そして、その研究者の弟子も病の所為でこの世を去っていたのだ。
そのため、ミリアリアを治すための研究が難航していたのだった。
そして、雪の降る季節。
ジークフリートは、雪の積もった庭園にミリアリアを連れ出していた。
雪の積もる庭園をいつかの様にミリアリアを抱きかかえてゆっくりと歩いていた。
そして、ミリアリアに今度は、ジークフリートが小さな雪だるまを作って差し出したのだ。
「ほら、ミリアリア。雪だるまだよ。くすくす。実は、あの日の雪だるまは、新設した氷室にいるんだ。よし、俺が作った、雪だるまをミリアリアが作った雪だるまの隣に置いておこう。こうすれば、雪だるまも寂しくないよな?」
そう言った後、ジークフリートは、黙ってしまっていた。
そして、震える声で懇願するように言ったのだ。
「ミリアリア、お願いだ。戻ってきてくれ……。俺を一人にしないでくれ……」
そう言って、腕の中のミリアリアに縋るように懇願していたのだ。
どの位そうしていただろう、ミリアリアの体が冷えてしまっていることに遅れて気が付いたジークフリートは、明るい笑みを浮かべてから、ミリアリアに言ったのだ。
「そろそろ、戻ろうか。ごめんな。すっかり冷えてしまったな……」
そして、季節へ巡りテンペランス帝国は、春を迎えていた。
その日は、とても風の気持ちのいい暖かい日だった。
いつものようにジークフリートは、ミリアリアに朝の挨拶をしていた。
恭しく、その白く華奢な手を取り、膝を付いたジークフリートは、祈りを込めて手の甲にキスをしたのだ。
その日は、ミリアリアの桜貝のような可愛らしい爪や指先にもキスを贈ってから、愛の言葉を囁いたのだ。
「ミリアリア、愛している。俺だけの小さく可愛い小鳥よ。君の可愛い笑顔を俺に見せてくれないか?」
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