57 / 97
本編
第七章 真実と隠された心の叫び(3)
しおりを挟む
何かに気が付いた様子のジークフリートは、それを否定するように自問自答したが、最後には自身の口でその答えを導きだしていたのだ。
「俺の服に花の香り、もしくは花粉が付いていて、それが何かしらの影響を与えた?」
「俺はそう思う」
シューニャの考えを聞いたジークフリートは、硬く握った拳を壁に打ち付けていた。
「俺の所為だ……。もっと慎重に行動すべきだった……」
「皇帝さんの所為じゃないよ。花を渡されて、それに毒があるとか普通考えないしさ。それに、皇帝さんはちゃんとお姫様を守ろうとしたじゃん。たぶんだけど、ロッサって花は、お姫様にだけ効果がでる特別な物なんだと思う……。お姫様から口止めされてたけど、もうここまで来たら真実を言うよ」
そう言って、シューニャは隠された真実を口に出したのだ。
「お姫様の視力と声は、毒によって失われたんだよ」
そう言った後に、セイラのことを省いて、ミリアリアの身に起こったことをジークフリートに告げていたのだ。
その場に居合わせた者たちは、ミリアリアの身に起こった悲劇に悲しみの声を上げていた。
そして、ジークフリートに至っては、ミリアリアを苦しめるメローズ王国に対する怒りが今にでも爆発してしまいそうになっていたのだ。
そして、シューニャは最後に推測を口に出したのだ。
「たぶん、お姫様が飲まされていた毒の成分と反応する何かが、ロッサっていう花にあったんじゃないかな? お姫様の知識が漏れるのを恐れて口封じしたのに、テンペランス帝国でいつの間にかその知識が出回っていると知ったら、普通に考えて暗殺を考えると思う。それで、俺たちみたいな人間には分からない、技術を持っているメローズ王国は、何の変哲もない花に何かを仕込んだんだ」
シューニャの推測は、どこか納得のいくものがあった。
その場に居合わせた者は、ミリアリアの殺害を考えたメローズ王国への怒りが爆発していた。
「陛下、メローズ王国に攻め入りましょう! 王女殿下にあのようなことをする国など滅ぼしてしまいましょう!!」
「メローズ王国を滅ぼしましょう!! あんな国、この大陸から消してしまいましょう!!」
「王女殿下に酷いことをする国なんて消してしまいましょう!!」
その後、物凄いスピードで準備が整い、ジークフリートはメローズ王国に攻め込んだのだった。
テンペランス帝国を出る際、曇り空のような瞳の人形のようになってしまったミリアリアを抱きしめたジークフリートは、聞こえていないと思いながらも言わずにはいられなかった言葉を告げていた。
「ミリアリア、愛している。メローズ王国で、君の症状を治せる何かをきっと掴んでくるから、待っていてくれ。ミリアリア、行ってくるよ」
こうして、ジークフリートを筆頭にテンペランス帝国軍は、破竹の勢いでメローズ王国に攻め込んで行ったのだった。
しかし、不思議なことにメローズ王国にジークフリートが攻め入ったとき、特に抵抗されることもなく王城まで攻め入ることが出来たのだ。
国民たちは、何故かテンペランス帝国の軍事侵攻を喜んで受け入れ進んで村を、街を、明け渡したのだった。
王城にあっという間に到着したジークフリートは、呆気ないほど簡単に王城を制圧していた。
王族を捕らえて、重臣たちも捕らえたところで、騎士団長が意外な、と言っても、そこまで意外でもない報告をしてきたのだ。
「陛下。捕らえた者から聞き出した話によりますと、メローズ王国国王の圧政で国は傾きつつあったそうです。最近では、重税に耐えかねた国民たちで反乱の計画も出ていたそうです。そのため、国民たちは、我が国の進軍を喜んで受け入れたようです」
報告を受けたジークフリートは、鼻を鳴らした後に捕らえた愚王を見下ろした。
その横には、ミリアリアに死の花を届けようとしたロザリーナの姿もあったのだ。
「俺の服に花の香り、もしくは花粉が付いていて、それが何かしらの影響を与えた?」
「俺はそう思う」
シューニャの考えを聞いたジークフリートは、硬く握った拳を壁に打ち付けていた。
「俺の所為だ……。もっと慎重に行動すべきだった……」
「皇帝さんの所為じゃないよ。花を渡されて、それに毒があるとか普通考えないしさ。それに、皇帝さんはちゃんとお姫様を守ろうとしたじゃん。たぶんだけど、ロッサって花は、お姫様にだけ効果がでる特別な物なんだと思う……。お姫様から口止めされてたけど、もうここまで来たら真実を言うよ」
そう言って、シューニャは隠された真実を口に出したのだ。
「お姫様の視力と声は、毒によって失われたんだよ」
そう言った後に、セイラのことを省いて、ミリアリアの身に起こったことをジークフリートに告げていたのだ。
その場に居合わせた者たちは、ミリアリアの身に起こった悲劇に悲しみの声を上げていた。
そして、ジークフリートに至っては、ミリアリアを苦しめるメローズ王国に対する怒りが今にでも爆発してしまいそうになっていたのだ。
そして、シューニャは最後に推測を口に出したのだ。
「たぶん、お姫様が飲まされていた毒の成分と反応する何かが、ロッサっていう花にあったんじゃないかな? お姫様の知識が漏れるのを恐れて口封じしたのに、テンペランス帝国でいつの間にかその知識が出回っていると知ったら、普通に考えて暗殺を考えると思う。それで、俺たちみたいな人間には分からない、技術を持っているメローズ王国は、何の変哲もない花に何かを仕込んだんだ」
シューニャの推測は、どこか納得のいくものがあった。
その場に居合わせた者は、ミリアリアの殺害を考えたメローズ王国への怒りが爆発していた。
「陛下、メローズ王国に攻め入りましょう! 王女殿下にあのようなことをする国など滅ぼしてしまいましょう!!」
「メローズ王国を滅ぼしましょう!! あんな国、この大陸から消してしまいましょう!!」
「王女殿下に酷いことをする国なんて消してしまいましょう!!」
その後、物凄いスピードで準備が整い、ジークフリートはメローズ王国に攻め込んだのだった。
テンペランス帝国を出る際、曇り空のような瞳の人形のようになってしまったミリアリアを抱きしめたジークフリートは、聞こえていないと思いながらも言わずにはいられなかった言葉を告げていた。
「ミリアリア、愛している。メローズ王国で、君の症状を治せる何かをきっと掴んでくるから、待っていてくれ。ミリアリア、行ってくるよ」
こうして、ジークフリートを筆頭にテンペランス帝国軍は、破竹の勢いでメローズ王国に攻め込んで行ったのだった。
しかし、不思議なことにメローズ王国にジークフリートが攻め入ったとき、特に抵抗されることもなく王城まで攻め入ることが出来たのだ。
国民たちは、何故かテンペランス帝国の軍事侵攻を喜んで受け入れ進んで村を、街を、明け渡したのだった。
王城にあっという間に到着したジークフリートは、呆気ないほど簡単に王城を制圧していた。
王族を捕らえて、重臣たちも捕らえたところで、騎士団長が意外な、と言っても、そこまで意外でもない報告をしてきたのだ。
「陛下。捕らえた者から聞き出した話によりますと、メローズ王国国王の圧政で国は傾きつつあったそうです。最近では、重税に耐えかねた国民たちで反乱の計画も出ていたそうです。そのため、国民たちは、我が国の進軍を喜んで受け入れたようです」
報告を受けたジークフリートは、鼻を鳴らした後に捕らえた愚王を見下ろした。
その横には、ミリアリアに死の花を届けようとしたロザリーナの姿もあったのだ。
51
お気に入りに追加
3,366
あなたにおすすめの小説

【完結】『婚約破棄』『廃嫡』『追放』されたい公爵令嬢はほくそ笑む~私の想いは届くのでしょうか、この狂おしい想いをあなたに~
いな@
恋愛
婚約者である王子と血の繋がった家族に、身体中をボロボロにされた公爵令嬢のレアーは、穏やかな生活を手に入れるため計画を実行します。
誤字報告いつもありがとうございます。
※以前に書いた短編の連載版です。

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
牢で死ぬはずだった公爵令嬢
鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。
表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。
小説家になろうさんにも投稿しています。

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!
志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。
親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。
本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる