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私はこの異世界で好きな人と幸せに暮らしてます
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その後、いつの間にか鞄に入っていた男物の服に着替えたジオラルドとご飯を食べていた。
だけど、いつもとは逆で、私がジオラルドに抱っこされてご飯を食べている。
「あの……。食べづらくない?」
「全然」
「そうですか……」
そんなやり取りをしつつ、ご飯を食べて、温泉に入って、二つ並んだ布団で寝て……。
朝……。
ねぇ、おかしくない? おかしいでしょう? おかしいわよね?!
朝目覚めると、隣同士の布団で寝ていたはずが、私はワープ能力でもあるのか、ジオラルドの布団で、彼に抱きしめられるようにして眠っていた。
どうリアクションしていいのか分からない私は、じっと息を潜めるのみだ。
だけど、ジオラルドは、そんな私に気が付いたみたいで……。
「くすくす。チヤは、甘えん坊さんだよね? 夜中に僕の布団に入ってくるなんて」
まじかぁ……。
私から侵入したってことかぁ……。
信じられないけど、ジオラルドが嘘を言う必要もないよね……。
「ごめん……」
「ううん。大歓迎だよ?」
「かっ……可愛いかよ!!」
ジオラルドが可愛く見えて、どうしたらいいのか。
だけど、子狼の時から抱きしめて寝ていたからなのか、ジオラルドの腕の中はとても安心する。
このまま、まだ眠っていたいと思っていたら、本当に眠ってしまっていた。
気が付いたら、お昼を過ぎていた。
おっきな欠伸をして起きた私に、ジオラルドはふにゃって感じの可愛い笑顔を向けてくる。
うん。年上に見えるけど、可愛いなぁ。
そう言えばと、私は気になったことを聞いていた。
「そう言えば、私、ジオラルドのこと名前しか知らない……」
「そうだね。なら、改めて自己紹介しようか。僕は、ジオラルド・ジルニトラ。歳は、十八になったよ。好きなものはチヤ。嫌いなものは、チヤに粉を掛けるやつ。趣味は、チヤを甘やかすこと。チヤ、末永くよろしくね」
「はい……って、ええ? ジルニトラ? ままままま、まさか……」
「うん。そうだね。元王子だよ。でも、元だからね。王位継承争いで、兄弟から呪いを掛けられて、高難易度ダンジョンに捨てられた、元王子だよ」
情報量過多で頭がパンクしそう……。
王子で、家族に呪い掛けられて、捨てられて……。
私以上にハードモードじゃないのよ!!
ジオラルドの境遇にウルってしてしまっていた私だったけど、ジオラルドに抱きしめられてアワアワすることになる。
「じ、ジオラルド?」
「へへへ。チヤのことずっと抱きしめたかったから、嬉しくって」
そんなこと言いながら、ふにゃって笑うジオラルドが可愛くて、私も釣られるように笑っていた。
「ふふ。それなら、好きなだけそうしててもいいよ?」
「本当?!」
「えっ?」
ジオラルドがめっちゃ食いついてきて驚いたけど、小さく頷いて見せる。
すると、すごーく可愛い笑顔でとんでもないことを言いやがりましたよ。この子は!!
「わーい。それじゃ、遠慮なく……。僕、初めてらから……下手かもしれないけど、頑張るね!」
「な、ナニを? ナニですか?!」
「うん! だって、チヤも僕のことそういう意味で好きでしょ?」
「いや~、そこはほら……」
「だ~め」
「えっ、えぇぇ!! あっ、ああああーーーーーーーーん!!」
こうして、ジオラルドに美味しく頂かれてしまった私だけど、それは嬉しくもあり……って、何言わすのよ!!
とりあえず、私はこの異世界で好きな人と幸せに暮らしてますってこと!! オーケー?!
『拝啓。聖女召喚で得た加護がハズレらしくダンジョンに置いてきぼりにされた私ですが元気です。って、そんな訳ないでしょうが!責任者出て来いやオラ!』 おわり
だけど、いつもとは逆で、私がジオラルドに抱っこされてご飯を食べている。
「あの……。食べづらくない?」
「全然」
「そうですか……」
そんなやり取りをしつつ、ご飯を食べて、温泉に入って、二つ並んだ布団で寝て……。
朝……。
ねぇ、おかしくない? おかしいでしょう? おかしいわよね?!
朝目覚めると、隣同士の布団で寝ていたはずが、私はワープ能力でもあるのか、ジオラルドの布団で、彼に抱きしめられるようにして眠っていた。
どうリアクションしていいのか分からない私は、じっと息を潜めるのみだ。
だけど、ジオラルドは、そんな私に気が付いたみたいで……。
「くすくす。チヤは、甘えん坊さんだよね? 夜中に僕の布団に入ってくるなんて」
まじかぁ……。
私から侵入したってことかぁ……。
信じられないけど、ジオラルドが嘘を言う必要もないよね……。
「ごめん……」
「ううん。大歓迎だよ?」
「かっ……可愛いかよ!!」
ジオラルドが可愛く見えて、どうしたらいいのか。
だけど、子狼の時から抱きしめて寝ていたからなのか、ジオラルドの腕の中はとても安心する。
このまま、まだ眠っていたいと思っていたら、本当に眠ってしまっていた。
気が付いたら、お昼を過ぎていた。
おっきな欠伸をして起きた私に、ジオラルドはふにゃって感じの可愛い笑顔を向けてくる。
うん。年上に見えるけど、可愛いなぁ。
そう言えばと、私は気になったことを聞いていた。
「そう言えば、私、ジオラルドのこと名前しか知らない……」
「そうだね。なら、改めて自己紹介しようか。僕は、ジオラルド・ジルニトラ。歳は、十八になったよ。好きなものはチヤ。嫌いなものは、チヤに粉を掛けるやつ。趣味は、チヤを甘やかすこと。チヤ、末永くよろしくね」
「はい……って、ええ? ジルニトラ? ままままま、まさか……」
「うん。そうだね。元王子だよ。でも、元だからね。王位継承争いで、兄弟から呪いを掛けられて、高難易度ダンジョンに捨てられた、元王子だよ」
情報量過多で頭がパンクしそう……。
王子で、家族に呪い掛けられて、捨てられて……。
私以上にハードモードじゃないのよ!!
ジオラルドの境遇にウルってしてしまっていた私だったけど、ジオラルドに抱きしめられてアワアワすることになる。
「じ、ジオラルド?」
「へへへ。チヤのことずっと抱きしめたかったから、嬉しくって」
そんなこと言いながら、ふにゃって笑うジオラルドが可愛くて、私も釣られるように笑っていた。
「ふふ。それなら、好きなだけそうしててもいいよ?」
「本当?!」
「えっ?」
ジオラルドがめっちゃ食いついてきて驚いたけど、小さく頷いて見せる。
すると、すごーく可愛い笑顔でとんでもないことを言いやがりましたよ。この子は!!
「わーい。それじゃ、遠慮なく……。僕、初めてらから……下手かもしれないけど、頑張るね!」
「な、ナニを? ナニですか?!」
「うん! だって、チヤも僕のことそういう意味で好きでしょ?」
「いや~、そこはほら……」
「だ~め」
「えっ、えぇぇ!! あっ、ああああーーーーーーーーん!!」
こうして、ジオラルドに美味しく頂かれてしまった私だけど、それは嬉しくもあり……って、何言わすのよ!!
とりあえず、私はこの異世界で好きな人と幸せに暮らしてますってこと!! オーケー?!
『拝啓。聖女召喚で得た加護がハズレらしくダンジョンに置いてきぼりにされた私ですが元気です。って、そんな訳ないでしょうが!責任者出て来いやオラ!』 おわり
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