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私、この子飼うわ
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子犬の頭目がけて振り下ろされた鋭い爪は、ふわふわの頭をかち割って……。
ないね。
あるぇれ~?
私の目に映ったのは、想像もしていなかったもので、とても不可解なものだった。
ダブルヘッドのアリクイもどきと対峙している子犬の足元の影が……、なんかこう、ぶあって!!
実体を持ったように広がって、アリクイもどきの爪を防いでいたのよ。
もうね。驚きすぎて、何が何やら……。
それでも、何の力もない私は、腰が抜けて、身動きすら出来ずにいたのよ。
だけど、子犬の足元から広がった影は、ぐぐって、アリクイもどきの爪を押し返していたのよ。
だからって訳ではないけど、私にできる限りのことをしたわ。
「子犬ちゃんとその影ちゃん!! 頑張って! 負けるなーー!」
すいません。私にできるのは、ただ応援することだけです。
うん。本当に不甲斐ないですけど、腰は抜けてるし、武器もないし。まぁ、あっても使えないと思うけどね。
情けないけど、私は力の限り応援をした。
でも、私の精一杯のエールが届いたのか、ただの偶然だと思うけど、なんか、子犬の足元から広がる影が濃くなった通った次の瞬間、パクって、ダブルヘッドのアリクイもどきを影が飲み込んでいたのよ。
もうね、目が点になるってこのことだと思うのよ。
子犬の影が、もぐもぐ~って感じで蠢いた後、すすす~って感じに、元の大きさの陰に戻って行ったのには、もう驚きを超えて感心しちゃったよ。
なんか、感覚がマヒしてきたのか、私は戦いに勝利した子犬に抱き着いていたわ。
「わ~~ん。子犬ちゃん。無事でよかったよぉ。そして、助けてくれてありがとう~」
私がそう言って、子犬に頬ずりしていると、子犬も私のほっぺたを舐めて、尻尾を振って見せたの。
まるで、「やってやったぜ!!」的な感じでね。
数分くらいは、そうやって抱きしめあっていた私たちだけど、次の脅威が来る前に移動するに限るってことに思い至って、こそこそと移動を始めていた。
移動する間、私は言葉は通じないと分かっていたけど、言わずにはいられなかったのよ。
「子犬ちゃんって、すごく強いのね。助かっちゃったよ。あはは~。私、めちゃくちゃ、無力で、非力で、お荷物で……。はぁ……」
愚痴をこぼす私だったけど、子犬は、私のほっぺたを舐めて励ましてくれたのよね。
あぁ、なんて可愛い生き物なの。
うん。私、この子飼うわ。
「子犬ちゃん、頑張ってここから出ても、一緒にいてくれる?」
私がそう言うと、子犬は、「わお~ん」って。多分だけど、OKしてくれたみたい。
嫌だと言っても連れて行くけどね。ふふん。
「ありがとう。それじゃ、力を合わせて頑張ろう! えいえいお~」
私は、気合を入れるように、子犬と自分自身にエールを贈ったのだった。
ないね。
あるぇれ~?
私の目に映ったのは、想像もしていなかったもので、とても不可解なものだった。
ダブルヘッドのアリクイもどきと対峙している子犬の足元の影が……、なんかこう、ぶあって!!
実体を持ったように広がって、アリクイもどきの爪を防いでいたのよ。
もうね。驚きすぎて、何が何やら……。
それでも、何の力もない私は、腰が抜けて、身動きすら出来ずにいたのよ。
だけど、子犬の足元から広がった影は、ぐぐって、アリクイもどきの爪を押し返していたのよ。
だからって訳ではないけど、私にできる限りのことをしたわ。
「子犬ちゃんとその影ちゃん!! 頑張って! 負けるなーー!」
すいません。私にできるのは、ただ応援することだけです。
うん。本当に不甲斐ないですけど、腰は抜けてるし、武器もないし。まぁ、あっても使えないと思うけどね。
情けないけど、私は力の限り応援をした。
でも、私の精一杯のエールが届いたのか、ただの偶然だと思うけど、なんか、子犬の足元から広がる影が濃くなった通った次の瞬間、パクって、ダブルヘッドのアリクイもどきを影が飲み込んでいたのよ。
もうね、目が点になるってこのことだと思うのよ。
子犬の影が、もぐもぐ~って感じで蠢いた後、すすす~って感じに、元の大きさの陰に戻って行ったのには、もう驚きを超えて感心しちゃったよ。
なんか、感覚がマヒしてきたのか、私は戦いに勝利した子犬に抱き着いていたわ。
「わ~~ん。子犬ちゃん。無事でよかったよぉ。そして、助けてくれてありがとう~」
私がそう言って、子犬に頬ずりしていると、子犬も私のほっぺたを舐めて、尻尾を振って見せたの。
まるで、「やってやったぜ!!」的な感じでね。
数分くらいは、そうやって抱きしめあっていた私たちだけど、次の脅威が来る前に移動するに限るってことに思い至って、こそこそと移動を始めていた。
移動する間、私は言葉は通じないと分かっていたけど、言わずにはいられなかったのよ。
「子犬ちゃんって、すごく強いのね。助かっちゃったよ。あはは~。私、めちゃくちゃ、無力で、非力で、お荷物で……。はぁ……」
愚痴をこぼす私だったけど、子犬は、私のほっぺたを舐めて励ましてくれたのよね。
あぁ、なんて可愛い生き物なの。
うん。私、この子飼うわ。
「子犬ちゃん、頑張ってここから出ても、一緒にいてくれる?」
私がそう言うと、子犬は、「わお~ん」って。多分だけど、OKしてくれたみたい。
嫌だと言っても連れて行くけどね。ふふん。
「ありがとう。それじゃ、力を合わせて頑張ろう! えいえいお~」
私は、気合を入れるように、子犬と自分自身にエールを贈ったのだった。
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