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第四章 ランドールとサラ①
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「あの日、サラが俺の命を救ってくれたんだ」
そう言ったランドールは、遠くに流れる白い雲を見つめた後、サラの黒い瞳を見つめた。
「サラは知っていると思うけど、俺の首元の痣」
そう言ったランドールは、首元の痣が見えるようにシャツのボタンを外した。
少し日に焼けた肌の一部を指さした。
そこには、鱗のような痣があった。しかし、昔見た時よりも濃くそして本物の鱗のように見えたのだ。
「綺麗……」
黒曜石のようなそれはとても美しい物に見えたサラはそう口にしていた。
「ははっ。サラにそう言われるとなんか照れるな」
「むっ! わたしにも美的感覚はあるぞ! それにラン兄ちゃんは顔も髪も美人で綺麗だ!」
「…………まっすぐにそう言われると本当に照れるよ」
そう言ったランドールの顔はうっすらと赤くなっていた。事実を述べただけのサラは、何が恥ずかしいのか分からず首を傾げた。
そんなサラの頭を撫でたランドールは、優しい笑みを浮かべて話を続けた。
「あの日、俺が死にそうになっていたのはこれが原因なんだ」
そう言ったランドールは、鱗のような痣を指さしたのだ。
「俺は……この国の王子だったんだ」
「えっ……」
「よくある話だよ。俺は庶子だったんだ。国王がメイドに手を出して生まれたんだ。だけどな、俺に王家の証が現れたことで話が変わったんだ……」
そう言ったランドールは、ディエイソ王国の王家についてサラに語って聞かせた。
ディエイソ王国の王族を語るには国の成り立ちを話す必要があった。
千年ほど前のことだ。
国とも呼べない民衆の集まりを取りまとめていたのが王族の祖先だった。
人同士の争いの末、王家の祖先が国をまとめるに至ったのだ。
その際に、真龍ディエィソーンの加護を得たのだというのだ。
代々の王家の者には、真龍ディエィソーンから得た異能と呼ばれる能力が継承されていたのだが、代を重ねるうちに異能を持って生まれる者が減っていったのだ。
そんな中、百年ぶりに異能を持って生まれた王子が誕生したのだ。
それがランドールだった。
しかし、異能を持たずに生まれた国王や兄たちから疎まれる存在になってしまう。
異能を持つ者はある証を体のどこかに持って生まれるのだ。
その証とは、竜の鱗だ。
ランドールには、生まれた時に喉元にその証を持って生まれたことでその人生はとても困難なものとなってしまったのだ。
ランドールの母親は、彼を産んですぐに死んでしまった。
そんな彼を育てたのは、ランドールを嫉む正妃の侍女たちだった。
そう言ったランドールは、遠くに流れる白い雲を見つめた後、サラの黒い瞳を見つめた。
「サラは知っていると思うけど、俺の首元の痣」
そう言ったランドールは、首元の痣が見えるようにシャツのボタンを外した。
少し日に焼けた肌の一部を指さした。
そこには、鱗のような痣があった。しかし、昔見た時よりも濃くそして本物の鱗のように見えたのだ。
「綺麗……」
黒曜石のようなそれはとても美しい物に見えたサラはそう口にしていた。
「ははっ。サラにそう言われるとなんか照れるな」
「むっ! わたしにも美的感覚はあるぞ! それにラン兄ちゃんは顔も髪も美人で綺麗だ!」
「…………まっすぐにそう言われると本当に照れるよ」
そう言ったランドールの顔はうっすらと赤くなっていた。事実を述べただけのサラは、何が恥ずかしいのか分からず首を傾げた。
そんなサラの頭を撫でたランドールは、優しい笑みを浮かべて話を続けた。
「あの日、俺が死にそうになっていたのはこれが原因なんだ」
そう言ったランドールは、鱗のような痣を指さしたのだ。
「俺は……この国の王子だったんだ」
「えっ……」
「よくある話だよ。俺は庶子だったんだ。国王がメイドに手を出して生まれたんだ。だけどな、俺に王家の証が現れたことで話が変わったんだ……」
そう言ったランドールは、ディエイソ王国の王家についてサラに語って聞かせた。
ディエイソ王国の王族を語るには国の成り立ちを話す必要があった。
千年ほど前のことだ。
国とも呼べない民衆の集まりを取りまとめていたのが王族の祖先だった。
人同士の争いの末、王家の祖先が国をまとめるに至ったのだ。
その際に、真龍ディエィソーンの加護を得たのだというのだ。
代々の王家の者には、真龍ディエィソーンから得た異能と呼ばれる能力が継承されていたのだが、代を重ねるうちに異能を持って生まれる者が減っていったのだ。
そんな中、百年ぶりに異能を持って生まれた王子が誕生したのだ。
それがランドールだった。
しかし、異能を持たずに生まれた国王や兄たちから疎まれる存在になってしまう。
異能を持つ者はある証を体のどこかに持って生まれるのだ。
その証とは、竜の鱗だ。
ランドールには、生まれた時に喉元にその証を持って生まれたことでその人生はとても困難なものとなってしまったのだ。
ランドールの母親は、彼を産んですぐに死んでしまった。
そんな彼を育てたのは、ランドールを嫉む正妃の侍女たちだった。
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