異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
95 / 123
婚約騒動編

95 彼女と迎えた朝、俺は責任を取ろうと思う

しおりを挟む
 俺は、とても混乱していた。
 目が覚めると、目の前には茶色の毛に覆われたシズがいたのだ。
 以前も見たから直ぐにゴリラになったシズだと気がついたが、これは一体どういうことなのだ?
 確か……、そうだ。
 セレフィンの所為で、シズと離れられないようになって……。
 それで、一緒に風呂に入り…………、そこまで思い出したところで意識が落ちる寸前までの記憶が蘇ってきた。
 
 無防備なシズと湯船に浸かって、限界に達した俺は……、一刻も早くシズに服を着て欲しくて彼女を抱き上げて湯船から上がったが、アレは失敗だった。
 目隠しをした状態で、湯船に浸かる彼女は、まるで俺を試しているかのように、色々と悩ましい姿だった。
 なんというか、そう、倒錯的な姿で俺は心を無にしてこの天国のようで地獄な時間をやり過ごしていたのだ。
 
 彼女から、上がろうと声がかかった時、一刻も早くこの天国のような地獄から抜け出したかったために、彼女を抱き上げたのだ。
 しかし、彼女の火照った滑らかな肌に触れてしまった俺は、限界のさらに先に来ていたと思う。
 
 シズから支度が終わったと聞いて、目を開けた瞬間に意識がぶっ飛んだのだった。
 まぁ、鼻血を吹き出すという醜態をシズに晒さなかったことだけは、自分を褒めたいと思うよ……。
 
 その後、一つの寝具で寝たはいいが、隣に感じるシズの体温に眠れるわけもなく。
 だが、精神的な疲労から明け方に意識を失うように落ちていたのだ。
 そして、今目の前には、ゴリラ化したシズが居るわけで……。
 そこまで考えたところで俺は、自分の格好を再確認していた。
 ゴリラ化したシズを背後から抱きしめるような格好で、しかも足を絡めるようにしている……。
 
 自分の格好を改めて確認した俺は、さっと血の気が引いていった。
 全力でシズから離れるのと同時に、無意識にシズにいやらしいことをしてしまったのではないのかと言う考えが頭を過ぎっていたのだ。
 
「シズ、すまない!!」

 俺がそう言うと、目が覚めていたのだろう、シズが言ったのだ。
 
「ウホウホ……。ウホウホウホ」

 シズ……、本当にすまない。何を言っているのかわからない……。
 そんなことを思っていると、シズがその事に気がついたようで、何かを出してから俺にそれを見せたのだ。
 それは、一冊のノートだった。
 それには、こう書かれていた。
 
 
『ごめんなさい。えっと、朝起きたら、ヴェインさんに抱かれていて、恥ずかしくて……、それで焦ってゴリラになっちゃいました。えっと、気恥ずかしくて……期限までゴリラのままでいようと思います』

 そう書かれていたのだ。
 そして、俺は驚愕した。
 俺に抱かれた?
 俺は、寝ている間にシズを抱いてしまったというのか?
 寝具にそれらしき痕跡は無いが、シズの言い方から自分ですべて片付けた可能性はある……。
 と言うか、無意識にシズを抱いて、その事自体を覚えていない上に、後始末も彼女にさせるなんて俺はなんて最低な男なんだ。
 それなのに、彼女は俺を責めることもなく……。よし、結婚しよう。
 
「結婚しよう」
 
「ウホ?」

 はっ!つい、思っていたことが口を突いて出てしまった。
 いや、責任とか、口実とかそんな事関係ない。
 俺がシズを幸せにしたいんだ。
 既成事実を作ってからというのも、男として最低だが……。
 だが、俺はシズを世界一幸せにすると誓う。
 
「シズ、聞いてくれ。俺は、シズに誠実な男でいたい。だから、嘘は言いたくないんだ。だから、最低なことをした俺を許さなくてもいい。だが、俺は本気なんだ」

 俺の必死の言葉を聞いたシズは、「ウホ?」と言って首を傾げていたが、俺の言うことを最後まで聞いてくれた。
 
「眠っているシズを無理やり抱いた俺は最低な男だ。だけど、俺は本気でシズが好きなんだ。シズを世界一幸せにすると誓う。だから、俺と結婚してくれ。俺と一緒になってくれ。俺とシズの二人で幸せになろう」

 精一杯のプロポーズをした俺だったが、次のシズの反応で、自分の最低さを思い知ることとなった。
 
『無理やりだなんて……。あれは、無意識みたいだったし、恥ずかしかったけど、事故みたいなものです。だから、私は大丈夫です』

 やっぱり俺は最低な男だ。無意識に、眠っているシズに自分の欲望をぶつけるだなんて……、男として最低だ。
 
「分かった……。それなら、男として責任を取る。俺は……去勢する」

 俺が決意を込めてそう言うと、シズはキョトンとした表情で首を傾げていた。
 その姿も可愛らしく思える俺は、自分の浅ましい男の欲にウンザリしながらも続けて言ったのだ。

「俺は、生殖器を切除して男として責任を取る!」
しおりを挟む
感想 160

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

処理中です...