異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
89 / 123
婚約騒動編

89 私はヴェインさんと殿下のやり取りに困惑する

しおりを挟む
 ヴェインさんの登場に少しだけ安心していた私だったけど、王子様にこんな口の聞き方をしてヴェインさんは大丈夫なのかとだんだん心配になってきていた。
 それなのに、二人はお互いの身分とか全然気にしていない感じで話が進んでいっていたのだ。

「おや?ヴェインじゃないか?見回りか?それはご苦労だな」

「ああ、道端で困っている女の子を助けるのも俺の仕事の内だ。だから、迷惑行為はやめろ。で、すぐに王宮に帰れ。お前、また護衛を撒いてきたのか?」

「ふふふ。私に撒かれるようではまだまだだな」

「はぁ……」

 王子様に対して、親しい友人に話すように気軽に会話をするヴェインさんだったけど、私の様子に気が付いてくれたみたいで、状況を説明してくれたのだった。
 
「シズ、ごめんな。こいつとは、腐れ縁の悪友なんだよ。同い年ということで、学園で共に学んだ間柄と言うか……。公式の場では恭しく接するが、非公式の場では何時もこんな感じなんだよ」

「お、おともだち?」

「まぁ、そんな感じだ……」

 ヴェインさんが、微妙な表情でそう言うと、セレフィンさんは、然も心外だと言わんばかりの表情で肩を竦めて言ったのだ。
 
「ヴェイン……、私たち大親友だろう?学生時代は苦楽を共にし、卒業後も互いに切磋琢磨する間柄じゃないか?」

「どの口が!!学生時代の苦行は全部お前の尻拭いだ!!卒業後だって、何だかんだ理由をつけては、中隊本部に気軽に来やがって!!」

「まぁまぁ」

「お前なぁ……」

 なるほど、二人は学生時代からのお友達なんだ。それなら、王子様に対して、気軽に話しても大丈夫なのかな?
 ヴェインさんの学生時代かぁ。
 きっと、同級生の女の子とかにモテモテだったんだろうなぁ。
 
「はぁ……」

「シズ?疲れたか?」

 あれ?私どうしてため息なんて?
 疲れてたのかな?う~ん、またこう、お腹らへんがモヤモヤしてきたのはどうしてなのかな?
 もしかして私、悪い病気にでも掛かっているのかも……。
 それならと、考えた私は、アイテムリストからポーションとキュアポーション一式を出して、飲みだしていた。
 これを飲めばきっと、謎のモヤモヤもなくなるはず。
 そんな訳で、突然ポーションを飲みだした私にヴェインさんは、驚いていたけど何も言わずにいてくれた。
 
 数本のポーションを「ぷはっ!」とがぶ飲みした私は、改めてヴェインさんにお礼を言っていた。
 
「ヴェインさん、ありがとうございます。私、どうしたらいいのか分からなくて……。それに、セレフィン殿下……、とお呼びしても?」

 不敬にならないように、セレフィンさんに改め、セレフィン殿下にそう尋ねていた。
 すると、セレフィン殿下は、一際優しい微笑みを浮かべて言ったのだ。
 
「嫌です。私のことは、セレフィンと気安く呼んで欲しいです」

 まさかの返事に私は、困惑していた。
 気安すぎるその呼び方は出来ないと、首を横に振っていると、周囲の温度が少しだけ低くなったような気がした私は、驚きに顔を上げていた。
 すると、セレフィン殿下が一瞬だけ意地悪そうな表情をしていたような気がしたけど、気の所為だったみたいで、変わらず優しそうに微笑んでいた。
 そのことに首を傾げていると、セレフィン殿下は、さっきよりも強めに要求してきたのだった。
 
「私がいいと言うんです。セレフィンと気安く呼んでいいんですよ?」

 表情と言い方はとても優しげだったけど、紫水晶の瞳は何故か冷たい光を放っていたように感じた私は、思わず息を呑んでしまっていた。
 
 すると、ヴェインさんがセレフィン殿下と私の間に立って、私を庇うように言っていたのだ。
 
「セレフィン!!お前の悪い癖が出てる!!シズは普通の女の子なんだ!!お前の好むような女の子じゃないから、そういう空気を出すのはやめろ」

「くすくす。お前って、意外と過保護だよね?ふ~ん。そう?そうなんだ?」

「悪いか?」

「別に。むしろその方が私にとって2倍美味しい状況だ。くくく。これは、どう転がっても楽しくなりそうだ」

 そう言って、セレフィン殿下は楽しそうに笑っていたけど、それに比例するようにヴェインさんの機嫌は急降下していったのだった。
しおりを挟む
感想 160

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~

咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】 あらすじ 「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」 ​聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。 彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。 ​しかし、エリーナはめげなかった。 実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ! ​北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。 すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。 ​「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」 ​とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。 以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。 ​最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?

処理中です...